柳家三三が『嶋鵆沖白浪』を再演。
2016年 05月 31日
とはいえ、弟弟子のことではあるが。
まったくこれまで気が付かなかったが、毎日新聞の記事で、柳家三三が、あの『嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)』を再演することを知った。
毎日のネットの記事、無料会員での閲覧回数は制限されており、それ以上は有料となっている。
ネット時代で新聞社の経営も大変だとは思うが、こういう記事まで対象にすべきかどうか疑問だなぁ。
少しだけ引用する。
毎日新聞の該当記事
創作の原点
落語家・柳家三三さん 稽古は嘘をつかない
毎日新聞2016年4月9日 東京朝刊
現代の落語界を牽引(けんいん)する気鋭の一人、柳家三三さん。談洲楼燕枝(だんしゅうろうえんし)の長編噺(ばなし)「嶋鵆沖白浪(しまちどりおきつしらなみ)」を、自身の会「月例三三独演」で7月から6カ月連続で口演する。真打ち昇進から10年。今年は芸術選奨文部科学大臣新人賞を受けた。「落語が好きで、夢中で聴いていた子供の頃の自分が楽しいと思える落語がしたい」。原点を見つめ、目指す落語を明快に語る。
燕枝は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍。柳派を率い、同時代の三遊亭円朝とともに落語界の双璧をなした。
日程は、他のサイトから情報収集可能。
ここからは、拙ブログの過去の記事を含めてリンクが続くが、ご容赦のほどを。
「三三時代」と題するサイトの出演情報によると、この噺が演じられる「月例三三独演」は、次のような開催日程となっている。会場は、すべてイイノホール。
「三三時代」の該当ページ
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7月14日(木) 嶋鵆沖白浪 一、二 他
8月 5日(金) 嶋鵆沖白浪 三、四 他
9月15日(木) 嶋鵆沖白浪 五、六 他
10月19日(水) 嶋鵆沖白浪 七、八 他
11月10日(木) 嶋鵆沖白浪 九、十 他
12月 8日(木) 嶋鵆沖白浪 十一、十二 他
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すでに、7月と8月のチケット、一般販売分は完売のようだ。
私のこの噺への出会いの最初は、2010年11月16日、紀尾井ホールで行われた「談洲楼三夜」の初日だった。
2010年11月16日のブログ
その時の記事でも引用した岡本綺堂の『綺堂芝居ばなし』(旺文社文庫)から、再度引用。
燕枝の人情話の中で、彼が最も得意とするのは「嶋千鳥沖津白浪」であった。大坂屋花鳥に佐原の喜三郎を配したもので、吉原の放火や、伝馬町の女牢や、嶋破りや、人殺しや、その人物も趣向も彼に適当したものである。これは明治二十二年六月、大坂屋花鳥(坂東家橘)梅津長門(市川猿之助)佐原の喜三郎(中村駒之助)等の役割で、通し狂言として春木座に上演された。
なお、青空文庫の岡本綺堂『寄席と芝居と』の第六章「柳桜と燕枝」に引用部分が含まれている。
「青空文庫」サイトの岡本綺堂『寄席と芝居』
紀尾井ホールの口演では、三三が希望者に自分が書いた“あらすじ”を送ると約束してくれたので、希望する旨をアンケートに書いた。
少し時間は経ったが、しっかり約束を守ってくれたことを、拙ブログの記事で書いた。
2011年2月2日のブログ
↑これが、三三からの贈り物。手書きのコピー。なかなかの達筆。
読めないでしょう。読むのは、もらった人の特権です(^^)
最後には、「実は、この噺、もう少し続きがあるんですが、またいつか機会を見て申し上げるということで・・・・・・。」と結ばれていた。
その機会が、翌年訪れた。
三三は、この噺を、横浜にぎわい座で六か月連続で口演した。一回に二高座、六回で十二の高座となった。私はそのうちの二回に駆けつけることができた。
2011年7月7日のブログ
2011年8月5日のブログ
毎回、前回のあらすじを、今度はワープロの文字で書かれたものを受付で渡してくれた。
今回の口演も、基本は横浜にぎわい座版を踏襲するのかな、と思っている。
私は、にぎわい座の翌年にも、都内で再演するのではないかと、思っていたが、あれから五年。
この噺の作者である初代談洲楼燕枝のことは、紀尾井ホールの会の後に記事にしたので、ご興味のある方は、ご覧のほどを。
2010年11月19日のブログ
なお、この噺の一つのヤマ場の一つ、吉原炎上を含む部分は、『大坂屋花鳥』という題で先代の金原亭馬生によって演じられ、音源も残っている。
そして、三三の横浜にぎわい座の翌年、2012年11月、馬生の弟子むかし家今松が、滅多にやらない独演会で、拡大版『大坂屋花鳥』とでも言うべき長講を聴かせてくれた。なかなかの好演だった。
2012年11月9日のブログ
さて、悩ましいなぁ。
私がまだ聴いていない後半を聴きたい思いもあるが、改装されたイイノホールは、あまりにも大きくて、そして綺麗すぎて、落語を聴く会場とは、思えないのである・・・・・・。
都合とも相談しなくてはならない。
なんとか行こうかと思ってはいるが、さて、どうなるやら。
しかし、ご興味があって、ご都合が合う方は、一度でもお聴きになることを、お奨めしたい。
三三師匠に柳派を引っ張っていって貰いたいです。その為にも、三三師匠は「談洲楼燕枝」の襲名を考えてくれても良いとおもうのですが(笑)