噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

「笑点」関連の検索などで、初めてアクセスしていただいた方々へ。

 今月一日に、4月の拙ブログへのアクセスランキングで、二年半近く前に書いた、「命日に、“キザな小円遊”という虚像を思う—『談志楽屋噺』より。」という記事へのアクセスがトップであったことを書いた。
 
 エキサイトブログの管理ページでは、月別に限らず、日別でも上位10のアクセスページのランキングが確認できるのだが、この記事は、その後も毎日トップの座にある。それも、二位以下を圧倒的に離しての一位。

 私は、一日のブログで、なぜこの記事がトップか分からないと書いたら、コメントで、歌丸が「笑点」の司会を降りるというニュースが出ていることと関係しているのではないか、とお教えいただいた。
 
 なるほど、そういうことだったか、と合点。
 その後、あの番組と歌丸に関するニュースは、日を追って増えている。
 
 検索キーワードでは「三遊亭小円遊」からのアクセスが急増している。

 また、実際に小円遊で検索して初めて拙ブログにアクセスしていただいた方からのコメントも頂戴した。

 そんな記事を書いた直後の今月二日、新宿末広亭夜の部の落語芸術協会新真打昇進披露興行が目当てであったが、歌丸が主任である昼の部から居続けした。
 少しは心の準備(?)はできていたのだが、あの昼の部でトリの歌丸の高座の際の混み具合は、私が過去末広亭で経験した中で最多人数であった。

 桟敷後ろの通路に、三重、四重の人が立ち見していたからねぇ。
 私は、二階席でなんとか座布団一枚の空席を発見したので、そこに座ることができたけど、足を伸ばすこともできない状況だった。

 その日は、午後一時少し過ぎに末広亭に入る時点で「立ち見」と案内されており、私の近くで、入場するかどうか悩んでいたご夫妻と思われるお客さんが、「どうしようか、立ち見だって?」「入ろうよ、歌丸さんだけでなく、好楽も出るんだよ」「そうだね、入ろう!」というような会話を耳にした。
 「ほら、歌丸だ!」と叫びながら入場された、男性複数のお客さんの姿も見かけた。

 察するに、あの方たちは、初めての寄席体験だったのではなかろうか。

 初めての寄席体験が、超満員で入場から三時間余りを立ち見で過ごすということが良かったのかどうか・・・・・・。
 「生の歌丸さんを見ることができた」という嬉しさが、少々の足腰の疲れなどを上回った人も、きっと、いらっしゃったのだろう。
 また、歌丸目当てで来て、新たな噺家さんとの嬉しい出会いができた人もいたかもしれない。
 しかしその反面、「寄席って、誰もが面白いわけじゃないだ」とか、「なんで木戸銭払ってずっと立ってなきゃなんねぇんだ」という思いを抱き、二度と寄席に来ない人もいるかもしれない。

 私としては、ある特定の寄席や落語会だけで、落語という芸を評価して欲しくないし、テレビに出ている人だけが落語家じゃないですよ、と言いたくなる。
 
 次の日曜で、司会者歌丸の放送は、最後らしい。
 ジャニーズの人気者も出るらしい。
 後任の司会者も発表されるのだろう。
 
 私は、見るつもりは、ない。

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『談志楽屋噺』(文春文庫)

 「笑点」は、五十年の間に、放送開始当初から、大きく様変わりしている。

 アクセスが急増した二年半前の記事でも引用したのだが、立川談志の『談志楽屋噺』から、放送開始直後のことに関する談志の回想を、少しだけ紹介したい。
 その頃はメンバー全員『笑点』の問題を一所懸命考えてきたもんだ。答えを持ち寄りアドリブはいっさい無しで、全部演出、その基は作家とメンバーが創り、それを割りふった。それでもいい。あの番組に基本はウィットにあったので、こんなときはこういうことを言おう、というWIT(ウィット)、それを許すユーモアにナンセンスを加えた番組だった。
 諺のパロディにこんなのがあった。
「よしのずいより天井のぞく」にあらず「よしのずいから戦場のぞく—大森実」だとか、「老いては子に従い」は「老いても子に従わず—美空ひばりのおっかさん」、傑作に「弘法も筆のあやまり」が何と「暴行も筆のあやまり」

 とても、今のあの番組では登場しそうにない内容。

 当初、談志が考えていた「笑点」が、間違いなく大人向けの番組だったことが分かる。

 そういう大人向けのウィットやブラックを含むユーモアについて番組関係者との意見が合わなくなり、談志は司会を降りた。

 談志、前田武彦、そして三波伸介が司会を務めていた時期は、司会者の技量、そして小円遊、小痴楽(のちの梅橋)などの持ち味などで、楽しませてくれた。

 私があの番組を観なくなったのは、先代円楽が司会の時代、昭和50年代の半ばからかと思う。
 まず、二十代半ばの独身男は、日曜の夕方五時に、アパートの自室にほとんどいなかった(^^)
 そして、たまに見ても、以前に比べてつまらなかった。
 この二つが主な理由だろう。
 
 歌丸が司会の最近の笑点を、テレビのチャンネルを切り替えている途中で短い時間眺めたことはあるが、チャンネルはとどまらない。やはり、つまらない。

 さて、ここからが、今回の本論(マクラが長い!)。

 きっと歌丸が司会降板のニュースで、「昔、小円遊ってのが出ていたなぁ」などと思い出されて、検索された少なくない方が、拙ブログにたどり着いたのだろうと察する。

 初めてアクセスしていただいた方も多いと思うので、あえて書かせていただきます。
 (なぜか、ここから「です、ます調」です)

 (1)大喜利は、あくまで余興であって、「落語」ではありません。
 (2)「落語」は、江戸時代からの歴史と伝統を持つ、日本固有の素晴らしい
   一人語りの“話芸”です。
 (3)その話芸「落語」を楽しみたいのであれば、「笑点」に出演している噺家
   より、もっと上手い、可笑しい、素晴らしい噺家さんが、たくさんいます。
 (4)落語を、ぜひ寄席や落語会で楽しんでください。
 (5)地域落語会なども探せば結構あちこちで開催されています。ぜひ、ご自宅
   近くでの落語会も探して、落語に接して、その魅力を味わってください。

 ここから、また調子が戻る。
 「笑点」出演者は、全国的な人気者になるので、その技量には関係なく、落語会の出演料も高くなる。
 しかし、その高座が、その木戸銭に見合うものかどうかは、他の噺家さんの高座を聴いてから、ご判断願いたい。
 テレビに出ている噺家さんは、全体のほんの一部。

 誤解なきように付け加えるが、私は、落語芸術協会会長としての桂歌丸という方は、偉いと思う。
 何度か記事に書いてきたが、同協会のホームページなども含め、若手協会員を応援する姿勢が明確だし、会長個人も若手に温かい声援を送っている。
 しかし、一人の噺家としての桂歌丸は、必ずしも傑出した存在だとは思っていない。
 他にも聴きたい噺家は、いくらでもいる。

 好みを押し付けることになるので、あえてお奨めの噺家などの名は、この記事では書かない。
 もし、ご関心があれば、ここ数年、年末に発表している、マイベスト十席をご覧のほどを。

 テレビの影響は大きく、寄席での観客動員力は、5月2日の末広亭昼の部に関しても書いた通り。

 歌丸人気、そして、笑点人気で、初めて寄席に行かれた方が、落語との接点がそれっきりで終わりではなく、ぜひ、それを縁に落語に接する機会を増やしていただければ、と思う。
 高座と客席が一体感の持てる寄席や落語会の一期一会を、一度でも多く経験されることを期待する。
 また、落語による笑いが、心身の健康につながるなら、そんな素晴らしいことはないだろう。
 落語好きなブロガーとして、あの番組をきっかけにご縁があった方に、以上のことを、ぜひお伝えしたかったのである。

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Commented by 通りすがり at 2016-05-16 23:38 x
簡単に。
いつだったか、ちょうど其の頃の「笑点」で
司会の歌丸師匠が小遊三師匠のことを間違えて
「小円遊師匠」と呼んでしまいました。
「もう死んでるよ」とみんなで笑ったわけですが、
それが検索数を増やした理由かと。
Commented by kogotokoubei at 2016-05-17 00:41
>通りすがりさんへ

そんなことがありましたか。
貴重な情報ありがとうございます。
なるほど、それで検索された方もいらっしゃるでしょうね。
ただし、このところ毎日、小円遊での検索でお越しの方が多いのです。
いろんなきっかけでアクセスされているのかと察しています。
Commented by at 2016-05-17 06:53 x
『笑点』は番組の前半に演芸コーナーがあって、
落語の場合、それを楽しみにみる、ということになります。

意外な大物がかつては出演していました。
先代小さんの時に先代圓楽は、
「この方のときは我々若手は静まり返って聴いたもんです」と持ち上げていました。
Commented by kogotokoubei at 2016-05-17 08:57
>福さんへ

たしかに、前半で、「かつては」大物噺家が「落語」を演じることも多かったですね。
今もたまにはあるのかもしれませんが、どんな人が出ているのでしょう。
BSなどで派生番組があり若手の大喜利などもあるようですが、どうも見る気になれません。
やはり、50年の歴史は、視聴率という「量」を追い求めるために「質」を失ってきたような気がします。
巷では円楽が後任の司会か、という噂も飛び交っているようですが、そうなればますます見ることはないでしょう。
Commented by 幾代太夫 at 2016-05-17 12:10 x
幸兵衛様

・世間の認識は「落語」=「笑点」
・落語ファンは笑点を見ない

ずっと当たり前だと思っていたことですが、こうして書いてみると中々面白いですね(笑)
歌丸師を目当てに初めて寄席へ行かれた方の中で、何人の方が「落語」の「寄席」の魅力に気づかれたのでしょうか。1人でも多いと嬉しいですね。
Commented by kogotokoubei at 2016-05-17 12:26
>幾代太夫様

その末広亭で、たまたま歌丸目当てで初めて寄席に来られた方と立ち話をする機会ができ、「テレビに出ているだけが落語家ではなく、もっと上手い人はたくさんいますよ」と申し上げました。
果たして、その後どうされたかな。

昨日も二年半前の記事へのアクセスがダントツでした。
検索からのアクセスは「小円遊」が、依然として一位。

22日のNHKスペシャルでは、歌丸が進行役で、最初にあの番組を降りることをにおわせた番組が放送されます。
水木しげるさんのことも含まれるようなので、これは見ます。
Commented at 2016-05-17 12:31 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kogotokoubei at 2016-05-17 15:35
>鍵コメさんへ

貴重な情報ありがとうございます。
おっしゃる通りです。
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by kogotokoubei | 2016-05-16 21:50 | 幸兵衛の独り言 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛