噺の話

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あらためて、落語による笑いの効能を認識する、入院生活。


 手術明けから三日が経った。

 差額など払いたくないし、寝るだけと思っているので六人の大部屋にいる。
 耳鼻咽喉科の専門病院で、私のような鼻の病気に限らず、扁桃腺の手術をした方も同室にいらっしゃる。
 昨日私と同じ副鼻腔手術をされた方もいるのだが、術後の状況は辛そうだ。
 看護師さんとのやりとりから、実に生真面目な五十代の会社員と想像している。

 また、昨日、副鼻腔と併せて鼻中隔の矯正手術をした二十代の若者の術後の辛さは、見るに忍びない状況が続いている。
 病院のサイトでは、鼻中隔の矯正のみなら約30分の手術と紹介している。
神尾記念病院サイトの該当ページ
 彼の手術所要時間自体は、私より短く1時間半だったようだが、鼻の骨を削るのだから、きついよね。
 関西からお見舞いにご両親が来られていて、一昨日-彼の手術前日で私の手術翌日-食堂でお会いし、「麻酔から醒めたら無事終わっていますよ」と、私は励ましていたのであるが・・・・・・。

 扁桃腺の手術の方が二人、鼻中隔の手術の方がもう一人、という病室の構成。

 自慢でもなんでもないが、私がもっとも術後の経過が良いと思う。

 手術の当日から、看護師さんが「痛み止めは、いりませんか」と聞くのだが、痛くないのだから、決まった以上のクスリはもらっていない。

 もちろん、病気にもよるし、その症状もそれぞれ、手術の内容によっても違うことなのだが、私自身は、今回の入院で落語による笑いの効能を再認識した。

 手術前夜も寝る時に携帯音楽プレーヤーで聴いていたし、手術の夜も、聴いていた。
 早い話が、毎晩聴いている。
 22時に消灯されても、すぐ眠れるはずもない。
 また、同じ部屋の他のベッドからは、さまざまな声や音が聞こえてくる。
 辛い声は、聞く側も・・・辛くなる。

 だから、落語を聴くに限る。日中、少し横になる時も、聴いている。
 聴きながら眠くなり、イヤホンをはずして、すぐ眠れる。麻酔より効くのではないか(^^)

 入院してから聴いた落語を、ランダムにあげてみよう。
   枝雀『口入屋』『替り目』『軒づけ』
   米朝『京の茶漬け』『稲荷俥』
   古今亭志ん生『風呂敷』『火焔太鼓』
   三代目春団治『お玉牛』『寄合酒』
   春風亭柳枝『四段目』『花色木綿』『喜撰小僧』
   春風亭一之輔『代脈』『雛鍔』
   春風亭勢朝『荒茶』
   柳家権太楼『人形買い』

 こう並べてみると、ポッドキャスト系の音源が多い。
 時間的にも手ごろだし、マクラも結構楽しいものが多い。
 今思えば、ニフティのぽっどきゃすてぃんぐ落語や、フジポッドの、懐かしの塚ちゃんのお台場寄席には、大変にお世話になった。

 また、現役の噺家さんの音源は、途中で寝ちゃってもいいや、と軽い気持ちで聴ける。 
 好対照なのは、志ん朝。
 聴きながら寝れないように思うので、もう少し先にと思っている。
 そうか、大須のマクラだけ、という手もあるか。

 笑いが免疫力を向上させる、といったことについては、日本やアメリカで学会もでき、「笑い療法士」という資格まであるそうな。
「一般社団法人 癒しの環境研究会」サイトの該当ページ
 この「一般社団法人 癒しの環境研究会」サイトから、「笑い療法士」に関する記述を引用する。
笑い療法士の誕生と今後についてのメッセージ

 社)癒しの環境研究会(理事長=高柳和江)では、『笑い療法士』の認定を2005年10月23日に行い、第1回の認定者として49人を3級に認定しました。2015年に認定した11期生までで、およそ785名が全国各地で実践を重ねています。

 この笑い療法士とは、笑いをもって自己治癒力を高めることをサポートする人のことです。笑いは、人が幸せに生きることを支え、また病気の予防にもつながっていきます。そうした笑いをひきだすのが「笑い療法士」です。

 笑い療法士は癒しの環境の理念から生まれました。 そこにいるだけでほっとして元気になる。これが癒しの環境の基本です。落ち着いた環境でその人らしい生き方を取り戻せば、ふつふつと自分の力が湧いてくるのです。患者さんがどんなに落ち込んでも、自己治癒力が高まるこうした環境を提供していきたい。この理念から、笑いによって自己治癒力を高める笑い療法士の活動が始まったのです。

 患者さんやストレスをたくさん抱えている人は、笑おうと思ってもなかなか笑えません。その人といると、いつの間にか笑っている。笑い療法士とは、笑いの感染力が強い人のこと。心温まる笑いを引き出すのが笑い療法士です。特別な療法があるわけではなく、笑い療法士のメソッドは、各自が相手と心の交流をするなかで模索していくものと考えています。ここで重要なことは、単に援助の手をさしのべることではなく、その人自身の生きる力を引き出すことです。

 その人といると、いつのまにか笑っている――。笑い療法士とは、笑いの感染力が強い人のこと。そのような人を、社会にどんどん送り出していきたいと考えます。

 そして、もっとも大切なことは、笑い療法士がそれぞれに地道な活動を長く続けること、質を高めることです。私たちは、この課題に全員が一致して取り組みたいと思います。

癒しの環境研究会理事長 高柳和江

「笑い療法士」認定評価委員会
委員長:山崎陽子(童話作家・ミュージカル脚本家)
委 員:田辺 功(ココノッツ・元朝日新聞編集委員)
委 員:土井章弘(一般財団法人 操風会 岡山旭東病院・院長)
委 員:阪口周二(JA尾道総合病院 精神科医)
委 員:高柳和江(癒しの環境研究会・理事長)


 熊本、大分での大地震災害後、お笑い系のテレビ番組を自粛すべきかどうか、巷では、私にとってどうでもいい議論(つぶやき合いか?)があるようだが、問題は、その内容であり、質である。

 上記に、“患者さんやストレスをたくさん抱えている人は、笑おうと思ってもなかなか笑えません。その人といると、いつの間にか笑っている。笑い療法士とは、笑いの感染力が強い人のこと”と書かれているが、今必要な芸人やタレントは、まさに「笑い療法士」のような人なのだろう。
 その番組を観ることで、ストレスを抱えた震災の被害者の方が、「自然と笑える」強い「笑いの感染力」を持った番組であり、人であるか、ということが重要であるということだ。
 しかし、そう考えると、現在のテレビ界に、該当する番組は、正直見当たらないかもしれない。
 「笑ってやるぞ」と待ち受けている人に対しても、必ずしも笑いを提供できない人や内容なのに、そんな状況にない人に、いったい何を提供できるのか。

 いわゆるバラエティの笑いと、落語の笑いは違う。
 落語には、話芸としての味わいがあり、そこに人に共通して「伝わる力」、そう、「感染力」があると思う。

 もちろん、「笑い療法士」さんの役割と、落語家のそれとは違うだろうが、根っこの部分はつながっていそうな気がする。

 被災地の状況が落ち着いたら、出前の落語会や、落語のCDなどによる「笑いの感染力」で、「自然」な笑いを被災者の皆さんに取り戻して欲しいと、現在は「患者」の側の私は思うばかり。
 
 さて、今夜は誰の何を聴こうかなぁ。

 残念ながら、旧暦3月16日の満月、今年地球からもっとも遠くにあって小さく見える満月「ミニマムーン」は、雲に隠れているようだ。
 以前は「マイクロムーン」と言っていたはず。逆に、もっとも地球に接近した大きな満月は「スーパームーン」。
 ミニマムとムーンを合成して「ム」を一つ減らしたわけだね。
 「無」を減らすことはできない。
 「夢」は減らしてはいけない」。
 将来の見通しを邪魔する「霧」は、ぜひ減らしたいね!

 さあ、看護師さんが検温にやってくる前にベッドに戻らねば。

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Commented by saheizi-inokori at 2016-04-22 21:38
これだけ長い文章を書けるならもう退院ですね。
私は毎晩落語をテープとCDで(両方聴けるラジオ)聴いてますが、30分のタイマーをセットしてだいたいマクラで寝てしまいます。
二時とか四時とかに目が覚めるとその繰り返し。
たまにちゃんとぜんぶ聴くと寝不足。
問題は入院とか旅行で聴くのにはスマホしかないのですが、志ん生の二席しか録音していないのです。他のを入力する方法をドコモショップで訊こうと思いつつ今に至るのです。
Commented by 山茶花 at 2016-04-22 21:45 x
私の鼻は卑しいほど嗅覚が良く、美味しい物の香りには敏感です。(^^ゞ 風邪を引いてもニオイは感じられる程ですので、今のところは鼻の手術には無縁でありがたい事です。

痛みには笑いは効果があるでしょうね。医学的にも証明されていますし、私自身も実感しました。米団治襲名披露公演の時に酷い片頭痛でしたが、笑っていると少し楽でした。他にもリリパットアーミーのお芝居を見に行った時も片頭痛でしたが、これも笑いがテーマの芝居ですから。

ただ開腹手術で枝雀版「代書屋」等は笑いすぎてダメですが。

阪神大震災でも「笑いは不謹慎」と当初は言われたのですが、何しろ神戸の人も関西人。避難生活も落ち着いてくると笑いを欲しがって来られた様で、お笑いの慰問で笑って悲しみを癒しておられたとか。

その経験があったので、間寛平さんが東日本大震災でお笑い慰問をされたという事でした。笑いは痛みも悲しみも癒してくれます。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-23 08:58
>佐平次さんへ

無理はしないようにと思いながらも、パジャマでベッドにいると、精神面で病人になってしまうので、できるだけ朝早く普段着に着替え、できるだけ夜遅くパジャマに着替えるようにしています。
よって、だるくない、眠くない時は、ほとんど食堂でパソコンを開いています。
軽くベッドで横になる時も、落語を聴いています。
私は携帯音楽プレーヤーにジャズ・落語・オールディーズの3種類が常時入っているのに加え、今回はノートPCを持ち込んでいるので、所蔵しているデジタル音源の落語はすべて手元にある状態です。
逆に、多すぎて選択に悩むほど。
昨夜は、枝雀『日和違い』を聴いているうちに寝ていました。

生の落語は、いつになるかなぁ。
少なくとも、小満んの会が来月はありますから楽しみですね。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-23 09:03
>山茶花さんへ

こういう大きな災害、いろんな意味で、時間が解決することも多いと思います。
発生直後は、どんな感染力の強い笑いでも、伝わらないかもしれない。
どうにか、客観的な視点を取り戻し、「いつまでメソメソしていても、しょうがない」という心境になれてから、心の底から笑いを求めるような、そんな気がします。

私は落語会、寄席でも、大きな声を出して笑うタイプではなく、くすっと笑う方ですが、それでも、その笑いの免疫力の高さは自分の身で実証されました。

熊本や九州出身の噺家さん、結構いますから、何か動きがあるような、そんな気がしています。
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by kogotokoubei | 2016-04-22 19:46 | 幸兵衛の独り言 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛