噺の話

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「クローズアップ現代」という良識ある番組を葬った政府の罪を忘れない!

 昨日は、スポーツ選手のギャンブル問題報道において、「ギャンブル依存症」という病気に関する視点が欠けている、ということを書いた。

 その後、朝日に、「ギャンブル依存症問題を考える会」代表である田中紀子さんの記事が掲載されたのは、良いことだと思う。
朝日新聞の該当記事

 昨日の記事の中で、2014年11月に放送された「クローズアップ現代」からも引用した。

 いただいたコメントに、国谷キャスターを懐かしむお声があった。
 あらためて、あの番組は、国谷裕子さんという得難いキャスターの存在を含め、良い番組だったと思う。
 NHK朝の連続ドラマが終了したり、話題の出演者の出番がなくなると「○○ロス」(シンドローム)などと表現する傾向が強い。
 「あまちゃん」が終了した時の「あまロス」あたりから流行り始めたと思うが、一つ前の「あさが来た」では、五代友厚役の俳優がドラマの中で亡くなった際、「五代ロス」などという言葉が出現した。
 この言葉が流行ること自体は個人的に歓迎しないのだが、あえて、時流(?)に乗って使うなら、私は「国谷ロス」シンドロームである。

 NHKは、4月の改編で、まったく違う番組に「クローズアップ現代 +(プラス)」というとんでもないタイトルを付けて、女子アナ日替わり出演という、民放やAKBを真似た番組をスタートさせた。
 週刊誌系のWebサイトでは「神セブン」などと煽っているが、NHKの販促効果(?)なのだろうか。
 昨夜、少し見て、しばらくしてチャンネルを替えた。
 民放でよく見る、あのオネイ言葉の教育評論家が出演していたからだ。
 別に差別するわけではない。
 あの人の、発言などに対して、しばしば違和感を覚えるからである。
 この度のバドミントン選手の賭博問題も、ブログで若手選手の精神面の問題を指摘して「残念です」なんて書いている。他のスポーツと比較して、バドミントンにおいて特に選手教育が欠如しているかのように書いているが、これでは問題の本質を見失っている。
 この「つぶやき」的なブログは、他に自分の出演番組などの告知で溢れていて、何ら、骨のあるメッセージは存在しない。
 多くの人が賛同するであろう弱い者いじめでは、橋下と変わらない。
 私には、この人、害のないコメントを発するするタレントとしか思えない。
 こんな人に「教育」など語って欲しくない。

 「+」の内容、報道番組の体裁をとってはいるが、日替わり局アナキャスターという番組構成もコメンテーターの顔ぶれからも、民放のバラエティ番組的になっている。

 これは、実に酷い、あの番組の継続的な視聴者への裏切りだと思う。
 番組名は、替えて欲しかった。

 「クローズアップ現代」では、たしかに「やらせ」があったのだろう。
 しかし、その責任は、国谷キャスターにはなく、暴走した記者と、その管理をできなかったNHK上層部にある。
 あの2014年の4月から5月にかけて二度放送された「出家詐欺」への追跡番組について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、昨年11月に報道機関などに公開した検証結果資料には、次のように記されている。
色つきの太字は管理人。
BPOサイトの該当資料(PDF)

 今回の問題を受けて、NHKは、再発防止のためにいくつかの具体策を公表した。
 この中で、NHKは、本来は実名を原則とするインタビューを匿名とする場合の「正確さと事実確認」を徹底するため、緊急の討議・勉強会で「匿名での放送の原則」を確認し「匿名での取材・制作チェックシート」を導入するとしている。
 また、試写などでのチェックの強化のために「取材・制作の確認シート」を活用するとともに、ジャーナリストとしての再教育も実施するとのことである。問題の背後にある要因を取り除くために、いずれも一定の効果は期待できるであろう。
 しかし、放送局に不祥事が起きると、再発防止策はどうしても制作現場の管理を強化するという方向に傾きがちである。新たな防止策によって報道現場の管理が必要以上に強化され、「情報源の秘匿」を損なったり事件の真相に迫る取材活動の萎縮を招くことのないよう十分な配慮を期待する
 また、今回の問題が生じた原因のひとつに、番組スタッフ間の率直な対話の欠如があった。真実に迫る取材は報道番組の命であるが、その成果を視聴者に分かりやすく伝える演出も、欠くことのできないものである。両者が結びつき、番組が深化し向上するためには、番組制作に携わる者の間での真に率直な対話が必要である。現場のありようや空気を劇的に変化させる即効性の特効薬はないであろうが、番組にかかわる者すべてが心がけ、真摯な対話が活発に行われるように体制を整えていくべきである。
 『クローズアップ現代』は、「最終報告書」が公表された4月28日の放送を、すべてこの問題の検証にあてた。
 キャスターは、番組の最後を「22年間この番組が続いてきたのは、多くの視聴者の方々の番組への信頼という支えがあったからこそであり、今回のことはそのことを損ねてしまいました。この信頼を再び番組の支えとしていくためには、これからの一本一本の番組を今回の調査報告の指摘も踏まえて、真摯な姿勢で制作し続けていくことしかありません」と結んだ。調査報告書自体の不十分さはさておき、番組内で説明を尽くそうとする自律的な検証の姿勢と真摯さは十分に評価されるべきであろう。
 今回の問題によって番組の活力が削がれることなく、キャスターの言葉どおり、視聴者に信頼され社会の真実に迫る意欲的な番組が今後も生み出されていくことを強く期待している。

 BPOは、結構、真っ当な指摘をしていると思う。
 国谷キャスターの2015年4月28日の検証番組の発言内容は、評価されてはいても、キャスターの責任などは、一切指摘していない。
 
 すでに知っている人は知っていることではあるが、国谷キャスターが降ろされたのは、「やらせ」問題による“けじめ”の一環でもなんでもなく、政府にとって、邪魔な存在と思われたからである。

 2014年7月11日のハフィントンポストが参考になる。
ハフィントンポストの該当記事
 引用する。記事で引用されている「フライデー」の内容はイタリックで表記する。

「NHK『クローズアップ現代』を首相官邸が叱責」フライデー報道 菅官房長官は否定
The Huffington Post
投稿日: 2014年07月11日 19時43分 JST 更新: 2014年07月12日 00時38分 JST

7月11日発売の週刊誌「フライデー」が、「国谷キャスターは涙した 安倍官邸がNHKを"土下座"させた一部始終」と題して、首相官邸側が放送内容を巡りNHKを叱責したと報じた。これに対し菅義偉官房長官は「ひどい記事だ」と述べ、事実に反しているとの認識を示した。

フライデーが報じたのは、7月3日にNHKで放送された「クローズアップ現代」をめぐる首相官邸とNHKのやりとり。この日の番組では、集団的自衛権を特集。菅官房長官がゲストとして招かれ、番組キャスターや記者からの質問に答えた。しかし、フライデーによると、番組終了後に菅官房長官に同行していた秘書官が「いったいどうなっているんだ」とクレームをつけたという。同誌は「国谷裕子キャスターの質問が鋭かったうえ、国谷さんが菅さんの質問をさえぎって『しかしですね』『本当にそうでしょうか』と食い下がったことが気にくわなかった」とした。

国谷キャスターと菅官房長官は番組中、次のようなやりとりを行っていた。

国谷キャスター:解釈の変更は日本の国のあり方を変えると言うような事だと思うのですが、国際的な状況が変わったというだけで憲法の解釈を本当に変更してもいいのかという声もありますよね。
 
菅官房長官:これはですね、逆に42年間、そのままで本当によかったかどうかですよね。今、大きく国際化という中で変わってることは、事実じゃないでしょうか。そういう中で、憲法9条を私たちは大事にする中で、従来の政府見解、そうしたものの基本的論理の枠内で、今回、新たに我が国と密接な関係がある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立そのものが脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が、根底から覆される明白な危険ということを入れて、今回、閣議決定をしたということです。
 
(中略)
 
国谷キャスター:密接な関係のある他国のために、もし集団的自衛権を行使した場合、第三国を攻撃することになって、第三国から見れば日本からの先制攻撃を受けたということになるかと思うんですね。戦争というのは、自国の論理だけでは説明しきれないし、どんな展開になるかわからないという危険を持ったものですから…
 
菅官房長官:いや、こちらから攻撃することはありえないです。
 
国谷キャスター:しかし集団的自衛権を行使している中で、防護…
 
菅官房長官:ですからそこは、最小限度という、3原則という、しっかりした歯止めがありますから、そこは当たらないと思いますよ。

国谷キャスターは番組の終了間際まで「解釈を変更したことに対する違和感や不安をどのように払しょくするのか」などと質問。菅官房長官が回答を返す途中で、番組は終了してしまった。

その数時間後、再び官邸サイドからNHK上層部に「君たちは現場のコントロールもできないのか」と抗議が入ったという。局上層部は『クロ現』制作部署に対して「誰が中心となってこんな番組作りをしたのか」「誰が国谷に『こんな質問をしろ』と指示をしたのか」という"犯人探し"まで行ったというのだ。
 
さらに、別のNHK関係者からは驚きの証言が飛び出す。
 
「放送が終わったあと、国谷さんや番組スタッフは居室(控室)に戻るのですが、この日、国谷さんは居室にもどると人目もはばからずに涙を流したのです」
 
(フライデー 2014年7月25日号より)


インターネットでは、「事実なら、安倍政権を倒すことになる内容」、「国谷さんとその隣にいた記者は、国の偉い人にそれ聞きたかったということを代弁して聞いてくれた」という意見や、「国谷キャスターは気骨のある人と評判なので、恫喝された程度で涙をみせないはず」と記事は誤りだとする意見などが出ていた。

 あの番組をきっかけに、国谷降ろしを政府側が意図したことは明白だろう。
 籾井という安倍のお気に入り会長が、その意向を受けて、今回の改編につながったと見て、間違いないと思う。

 古館のいない「報道ステーション」も、見るに堪えなくなった。

 安倍の食事接待を受けているテレビ朝日の早河という会長は、橋下の番組をスタートさせた。
 今のテレビ界は、政府への批判能力を失うどころではなく、経営者が“あっち側“に入ろうとしている。権力に追従しているメディアに、存在意義などあるのだろうか・・・・・・。

 少しは、明るい話題も。
 TPP交渉締結は、野党が結構頑張って今国会では見送りになる可能性が出てきた。
 アメリカでは、政府が議員に交渉内容の詳細を公開しているのに、日本政府は、すべからく「黒塗り」にしようとしたことが、野党の反発を煽り、攻勢を強めたと言えるだろう。

 夏の参院選に向けて、安倍政権は、自分たちの非を明らかにするようなメディアや人物への攻撃を続けるだろうし、言論の自由を奪う憲法違反を続けるに違いない。

 しかし、潮目は完全に変わっている。

 気に入らない番組や人は、思うままに消してしまえ、という政府の暴力に屈していれば、日本からは真っ当な新聞記事や報道番組は、なくなっていくばかり。
 しかし、そうはさせない、と思う国民が増えていると確信する。

 彼らの暴挙を決して忘れないために、この記事を書いた次第だ。

 それにしても、国谷裕子さんの元気な姿を、どこかで、ぜひお目にかかりたいと願うばかり。

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Commented by saheizi-inokori at 2016-04-14 10:34
まったく同感!
Commented by kogotokoubei at 2016-04-14 12:18
>佐平次さんへ

ご賛同いただき、ありがとうございます。
NHKは民放化し、民放は権力の犬に成り下がる。

信頼できるメディアは、IWJやHUNTERのようなミニメディアや日刊ゲンダイなどの夕刊紙系、そしてSNSの一部に限られてきました。
Commented by 山茶花 at 2016-04-14 23:06 x
NHKといえば、ニュースウォッチ9の前キャスター大越さんの降板も納得のいかないものでした。

高市大臣の「電波を止める」という脅し(?)も恐ろしいなと感じましたが、政府におもねる放送しかしてはいけないのだったら、北朝鮮等と同じです。NHKのスポンサーは受信料を払っている国民のはずです。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-15 08:39
>山茶花さんへ

籾井体制になってからは、とにかく政府の犬になりつつある堕落ぶり。
おっしゃる通り、国民がスポンサーです。
受信料不払い運動をがもっと大きくなって不思議はないのですが、あまり事を大袈裟にしないところも、日本人の美徳なのかなぁ。
怒る時は怒らなきゃ、と私などは思うのですがね。
せいぜい、こんなちっぽけなブログででも吼えてやろう、と思う次第です。
Commented by kensan at 2016-04-20 09:15 x
よきエントリーですね。おっしゃる通りの感想を私も持っています。
同時に、地デジ化以降の、NHK受信料収入の激増を背景とした、番組制作費の大幅アップがとても気になります。
いまや、制作陣、俳優陣、文化人(お笑いも…)の、NHK依存度が10年前に比べて比較にならないほど高まっていると感じます。無用の海外ルポ、無用のひな壇芸人、無用の有名人コメンテーター、そして時代劇を初めとする、ちょっと豪華すぎるセット。
製作にきちんとお金を掛けることに意味はありますが、国民はそこまで望んでいるとは思えません。そしてその事が、この国の「メディア産業に係わる人々」のNHK支配、ひいては官邸支配になっている、その構図はかなり周到に練られていたものだと感じています。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-20 09:40
>kensanさんへ

コメントを頂戴し、誠にありがとうございます。
安倍-籾井、少し前の百田、といった顔ぶれから、NHKが「公共的」なるものではなくなった、という感が強いです。
たしかに、地デジ化による受信料増加を背景に、やりたい放題、という構造もあるのでしょうね。
海外ドキュメンタリーなども、かつてのような輝きが薄れてきたように思います。
とにかく国谷キャスターが、近いうちに、民放でもいいので復活してくれることを期待しています。
Commented by kousagi at 2016-04-20 23:16 x
国谷キャスターにはほぼ同世代の女性として、若い頃からその知的な話し方やファッションまで憧れてきました。
日本のジャーナリズム自由度が世界で72位にまで落ちた今こそ、必要な人です。5月に大阪弁護士会(確かパートナーは大阪の弁護士さんだったような)で憲法について木村草太教授と対談される由。今後もどんどん活躍、発信していただきたい!
https://www.osakaben.or.jp/event/2016/2016_0514.php
Commented by kousagi at 2016-04-21 00:02 x
先ほど言葉足らずでしたので:
国谷キャスターの「知的な話し方」は、日本語と英語がまったく同等で、最近は少なかった気がしますが、以前の海外の要人へのインタビューなども見事でした。(海外特派員あがりのNHK男性キャスターのトツトツとした英語とは比べ物にならず。)
その意味でも希有な方で、さらなる活躍の場を願うものです。
Commented by kogotokoubei at 2016-04-21 10:58
>kousagiさんへ

そうか、女性が惚れる女性なんですね。
なかなか同性から支持されるのは難しいと思うので、それだけ貴重な人でもあったことを再認識します。

5月のイベント、すでに定員に達していますね。
国谷さんへの期待の高さを物語っています。

たしかに、英語も「しゃべれる」というレベルを超えていましたね。
実にクール(頭)で、かつホット(心)な方だと思います。
そういうジャーナリストは、ほとんど死滅してしまっているので、なおさら目立ちましたね。

民放で水が合いそうなのは、金平さんのいる「報道特集」(TBS)あたりかなぁ。

ぜひ、早期の国谷“ジャンヌ・ダルク”の復帰を願っています。
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by kogotokoubei | 2016-04-13 21:58 | 幸兵衛の独り言 | Comments(9)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛