噺の話

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BSプレミアム「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」(落語)を観て。

 事前に記事に書いていた「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」を観た。これまでの「漫才」「コント」に続き、ようやく「落語」がテーマ。

 あらためて、NHKサイトから、同番組の案内を引用。
NHKサイトの該当ページ

ザ・プレミアム 「たけしのこれがホントのニッポン芸能史」(3)
10月10日(土)午後7時30分~
ビートたけしが落語の魅力を語り尽くす!SPゲストに笑福亭鶴瓶を迎え“爆笑&真剣”落語論を展開。めったに見られないたけしの高座姿も必見?貴重な名人映像もたっぷり! ▽たけし&鶴瓶!二人の落語エピソードは秘話満載!▽落語は敷居が低い?たけし的落語入門に目からウロコ▽小さん、三平、小三治、志ん生、志ん朝、貴重なアーカイブス映像満載!▽必見!落語の世界を映像化してみると…▽たけしの師匠、立川談志とは何者だったのか?たけし&談春SP対談!▽鶴瓶の師匠、笑福亭松鶴爆笑エピソード▽いろもの界のレジェンド、林家ペー登場!▽曲独楽(きょくごま)スタジオ実演も!。
【出演】ビートたけし、笑福亭鶴瓶、所ジョージ、松井玲奈、荒俣宏、三増紋之助、立川談春 【アナウンサー】片山千恵子


 感想などを、私がもっとも興味を抱いていたアーカイブ映像を中心に記したい。

 期待していた古今亭志ん朝は、1988年7月30日「演芸指定席」の『酢豆腐』。
 今月NHKエンタープライズから発売されるDVDの第一巻にある1982年6月18日収録 の東京落語会の高座ではなく、1988年7月15日の同落語会だろうから、志ん朝五十歳での充実の高座、と言えるだろう。
 若旦那の仕草の、なんとも楽しいこと。
 あえて、発売する内容以外のものを放送するあたり、NHK、さすがに東京落語会における豊富な文化的財産がある、ということだ。

 番組の最初に放送されたアーカイブ映像は、小さんの『うどんや』で、1992年1月24日に「日本の話芸」で放送されたもの。流石だ。
 私が仲間内で披露した『うどんや』は、小三治の動画を参考にしたものなので、あらためて小さんの映像を見て、弟子小三治に小さんの芸の真髄、無理に笑わせようとしないのに楽しい芸、が伝わっていると思った。

 林家三平の『源平盛衰記』は、度々放送される1979年1月26日「夜の指定席」放送の高座で、まくらの途中で入場したお客さんをいじる部分は、何度観ても楽しい。

 続いて小三治『小言念仏』は2011年1月3日「初笑い東西寄席」の放送。
 手の仕草で陰と陽を表すことをまくらでふっていたが、こういったネタに相応しいまくらなら大いに楽しいし、勉強になる(^^)
 しかし、ネタとは関係のない内容を延々とふられるのは、小三治以外には客も許せないだろうなぁ。

 番組では、たけしが「まくらを制する者は落語を制す」と持論(?)を語り、鶴瓶がネタごとのまくらのメモなどを見せていたが、これを観た若い噺家さんが勘違いをして欲しくないものだ。
 若手の場合は、まくらに凝るより、ぜひ本編を磨くことに精を出して欲しいと思う。

 古今亭志ん生の映像は、貴重な対談場面を少しはさんで、1955年9月18日、とだけテロップがあった『巌流島』。
 いかにも志ん生らしい船頭や町人の姿が楽しい。こういう映像は、永久保存ものだ。

 1982年5月21日の「夜の指定席」での笑福亭松鶴の『らくだ』を観ることができたのは、嬉しかった。
 らくだが死んだ、という紙屑屋の知らせに、嬉しさが腹の底からこみ上げてくる長屋の住人の様子は、映像でしか味わえないものだろう。

 たけしと談春の対談の後、1985年12月6日の演芸指摘席から立川談志の『紙入れ』。
 このくらいの女性の描き方には、抵抗はない。しかし、私は評判の高い晩年の『芝浜』における女房の造形は、あまり好きではない。
 たけしと談春の対談では、さすがの談春がおとなしかったねぇ。「赤めだか」の話題がなかったなぁ。

 色物については、番組でも所ジョージが言っていたが、林家ぺーにあれだけの時間を割いたのは意外だった。
 三増紋之助の実演は、相変わらずの楽しさ、上手さ。

 全体として、落語入門としては、よく出来ていた番組だと思う。

 アーカイブ映像は、それぞれが短いのはやむを得ないだろう。
 ぜひ、子会社の商売抜きに、選ばれた珠玉の高座の全編を、今後番組で放送されることを願う。

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Commented by ほめ・く at 2015-10-12 11:25 x
出演者の顔ぶれで見る価値なしと判断し見過ごしましたが、失敗しました。松鶴の『らくだ』はCDで聴いてますが、映像は見ておくべきでした。
「まくらを制する者は落語を制す」の意見には反対です。すべては根多の出来次第です。近ごろは演目に無関係のマクラを延々と聞かされ閉口してます。
Commented by kogotokoubei at 2015-10-12 11:39
>ほめ・くさんへ

私は、最初からアーカイブ目当てでした(^^)
まくらについては、私も同感です。
たけしは漫才出身なので、「つかみ」という意味でまくら重視という意見なのでしょうが、落語で肝腎なのは噺そのものですよね。
「らくだ」の松鶴の表情は、ご覧になる価値があったと思います。
再放送があるのではないでしょうか。
Commented by 山茶花 at 2015-10-12 13:45 x
この番組、楽しみにしていまして録画しながらリアルタイムで見ていました。

「まくらを制する……」は、私もお二方と同じ意見です。実際三代目春団治師は、まくらを振りません。小さな声で喋り始められるので、聞き手が集中しています。米朝さんのまくらは、本編に出てくる難しい言葉や今は廃れた習慣等を説明しておられました。つかみを目的にされていません。

一方「まくらはやたら面白いのに、本編がそれ程面白くなかった」と友人が雀々さんの「くっしゃみ講釈」を聞いた時の感想です。盛り上げすぎての失敗なのか。こういう事もあるので、プロローグは派手すぎない方が良いのでしょう。

六代目の「らくだ」は、一部だけでしたが笑えました。昔鶴瓶さんが担当しておられたラジオで「らくだ」全編を流しましたが、夜中に涙を流して笑いました。「死人のカンカン踊り」後の家主の様子を見たかったですね。

噺家の表情での演技は、橋田ドラマとは対極にあるといって良いでしょう。橋田ドラマはト書きはないそうです。長台詞なのはそれが理由だそうです。

映像にした「茶の湯」も傑作でした。この噺は映像化に向いているでしょう。映像に不向きなのは「愛宕山」や「住吉駕籠」ですね。

談春さんとの対談、あんな短い時間でなくあれだけで1本番組を放送して欲しかった。1時間半編集では無理な番組だった様な。
Commented by kogotokoubei at 2015-10-13 08:50
>山茶花さんへ

コメント、ありがとうございます。

まくらですが、若手の噺家で、ネタをまったく関係のないプライベートなことをふる人が多いように思います。
客席にいるのがお客さんではなく、友達感覚なんでしょうかね。
松鶴の「らくだ」は音源で浮かんだイメージをほぼ同じ表情だったのが、嬉しかった。

映像化した三三の「茶の湯」は、試みとしてはおもしろかったのですが、私は、やはり落語の方が好ましいイメージが膨らむものだなぁ、と思って見ていました。
自分のイメージのご隠居ではなかったものですから。
三三のご隠居は、そのままのイメージで不都合ないですね。ふけ役はぴったり(^^)

たけしと談春との対談は、「赤めだか」の話題も出たはずなのでしょうが、民放の話題はカット、でしょうか。

こういう番組を観ると、やはり、NHKはもっと東京落語会の貴重な財産を放送すべきだとあらためて思います。
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by kogotokoubei | 2015-10-12 09:44 | テレビの落語 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛