噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

桂春蝶の「特攻」ネタの高座のことを、NHKのニュースが紹介。

 先日、三代目桂春蝶が、「特攻」をテーマにした『明日ある君へ〜知覧特攻物語』という噺を手がけていることを書いた。
 一昨日6月3日、「天満天神繁昌亭」で春蝶がこの噺が披露したことを、NHK(関西)がWebニュースで、動画付きで伝えているので紹介したい。
NHKニュースの該当記事
落語で戦争の悲惨さ伝える
06月04日 05時30分

 特攻隊員をテーマにした創作落語で戦争の悲惨さや命の大切さを伝える活動を続けている落語家の桂春蝶さんの公演が大阪で行われました。
公演は戦後70年にあわせて、3日夜、大阪・北区の「天満天神繁昌亭」で行われました。
 3代目、桂春蝶さんは鹿児島県の知覧特攻平和会館を訪れたことをきっかけに、特攻隊をテーマにした創作落語をつくり、2年前から全国で公演する活動を続けています。
 内容は現代に生きる主人公が終戦間際の昭和20年の知覧にタイムスリップして、特攻隊の祖父と出会い、隊員の使命感や国のために犠牲になる葛藤などを知って戦争の悲惨さや命の大切さを理解していくというものです。
 会場には仕事帰りのサラリーマンや学生など、およそ250人が訪れ時折、笑いを誘う場面もありましたが特攻隊が家族にあてた手紙を読む場面では、涙を流す人もいました。
公演のあと50代の男性は、「落語で戦争の話をするとは、驚きましたが、春蝶さんの演技力に引き込まれとても良かったと思います」と話していました。
 また、10代の女性は、「戦争については、教科書でしか知らなかったのでどれだけ残酷だったか知りました。本当に、あすがあることを大切に生きていきたいと思いました」と話していました。

 この記事を読む限り、なかなか良い高座だったようだ。

 戦後70年ということや、戦争法案の審議などが背景にあるのだろうが、定席寄席の特定の高座のことを関西ローカルとはいえNHKが取り上げるのは、珍しいのではなかろうか。


 春蝶が、この噺を創作するきっかけとなったのは「知覧特攻平和会館」を訪ねたことだった。
 この会館のサイトに「特攻作戦に至る経緯」が説明されているので、引用したい。
知覧特攻平和会館のサイト


特攻作戦に至る経緯

 大東亜戦争(戦後は太平洋戦争ともいう)は、1941年(昭和16年)12月8日、ハワイの オアフ島真珠湾にあるアメリカ海軍基地への奇襲攻撃によって開始されました。 日本の陸・海軍主力は、真珠湾攻撃の後、東南アジアに進攻しました。先に述べたように、当時東南アジアのほとんどの国々が欧米列強の植民地となっており、現地守備隊しか残っていなかったこともあって、奇襲攻撃が成功し瞬く間にオーストラリア北側の線まで進出しました。

 ところが、1942年(昭和17年)8月になるとアメリカを中心とする連合軍が態勢を回復し反撃に転じました。その後の日本軍は連合軍の強大な戦力に押され防戦一方になり、開戦から3年後の1945年(昭和20年)初頭になると、沖縄はもちろん日本本土も空襲を受けるようになりました。特に1945年(昭和20年)5月7日、同盟国であったドイツが降伏すると、連合軍の攻勢は日本だけに集中するようになり、日本全土が苦戦を強いられるようになったのです。

 当時、日本政府は沖縄を本土の最前線と考えていましたので、その最前線を守るために採られたのが、特攻作戦でした。

 この段階では、圧倒的な物的戦闘力に勝るアメリカの進攻を阻止する日本軍としては、兵士一人一人の精神力を武器とした特攻戦法しか他に手段がないとの結論に達したのでした。

 つまり、日本の軍人が命を懸けた特攻を重ねることで、アメリカ軍にも大きな被害を与え、そうなると嫌戦気運(戦争を嫌がる気持ち)が広がっていき、お互いに損害を出したくないから、そのうち停戦になるのではないか・・・という期待を、政府はしていたのではないでしょうか。

 あの戦争を起こしたのも、そして、特攻という暴挙を国民に強いたのも、政府の愚行と言うより他にない。

 そして、70年という月日の経過がそうさせるのか、一人の軍国主義首相が、この国に歴史の間違いを繰り返させようとしている。

 落語という芸能が、戦争を知らない世代を含め、戦争のない平和な暮らしを希求するきっかけとなることができるなら、それは素晴らしいことかもしれない。

 ますます、一度聴かねば、と思う。

 
[PR]
Commented by 櫻川梅一郎 at 2015-06-06 15:04 x
ご無沙汰してます。
 知覧特攻隊の噺は、鹿児島出身の桂竹丸師も「ホタルの母」という題で何年も前から高座にかけています。 
 特攻隊の基地鹿児島知覧で食堂を営むおばさん(名前は失念しました!)と隊員の交流を描いた噺です。たしか、散っていった隊員の魂がホタルになっておばさんのもとに集う…という筋だったと記憶しています。末廣亭で聴いたとき、いつも爆笑を追求する竹丸師の意外な一面にふれた気がして、印象的でした。
Commented by hoshi-ake at 2015-06-07 08:59
またお邪魔します。元「明彦」です。
春蝶師は『地獄八景』の茶店の場で、「GHQが憲法を押し付けた」という台詞を入れています。
またブログでは「中国はオウム真理教のような国家」「安保でアメリカが日本を守ってくれると思うと安心する」といったことを書き、『永遠の0』を絶賛しています。
また在特会系のある活動家は、同じ上方の二世落語家で「改憲落語」なるものを演じている桂福若と並べて「愛国落語家」と絶賛しています。
そのため最近では春蝶師の高座に足が向かなくなりました。勿論実際に聴いたことがないので、『明日ある君へ』のことはとやかくは言えないのですが。
なお知覧の会館では、美辞麗句に満ちた展示に居心地の悪さを感じたものです。
Commented by kogotokoubei at 2015-06-07 16:18
>櫻川梅一郎さんへ

食堂のおばさんの名は、鳥濱トメさんかと思います。
竹丸のネタのことは、他の方からもコメントでお教えいただきましたが、一度聴きたいと思っています。
たしかに、彼の芸風からは、ちょっそ想像しにくいですが、出身地が鹿児島ということもあり、取り組んだのでしょうね。
Commented by kogotokoubei at 2015-06-07 16:29
>hoshi-akeさんへ

やはり、元明彦さんでしたね。
引越し先までお越しいただき、ありがとうございます。
春蝶、「愛国落語家」ですか・・・・・・。
『永遠の0』を絶賛、ということでは、私とは意見が合わないかもしれません。
しかし、ネタはネタとして、興味はあります。
竹丸、春蝶の作品、高倉健主演の映画『ホタル』に触発されたのかどうか分かりませんが、あの映画は、決して戦争や特攻を美化するだけの作品ではありませんでした。
落語とはいえ、どこまで、その作品に人間性を盛り込めるか、ということが重要から思います。
知覧特攻平和会館には行ったことはありませんが、貴重な記録や記憶が、訪問者に戦争のない世界を希求することにつながって欲しいですね。
Commented by U太 at 2015-08-03 22:49 x
失礼します。
今月の末廣亭の余一会(夜)が「ホタルの母」の竹丸師匠と春蝶師匠の二人会で、春蝶師の「知覧特攻物語」がネタ出しされています。

http://suehirotei.com/yoichikai/
Commented by kogotokoubei at 2015-08-04 08:40
>U太さんへ

情報ありがとうございます。
ただし、行けるかどうか、都合はちょっと微妙です。
また、春蝶があの作家の作品が好きであるとの情報も、ひっかからないではない・・・・・・。

名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2015-06-05 20:45 | 落語のネタ | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛