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アンケート:「六部」を知っている人は?-『合本 東京落語地図』より。


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佐藤光房著『合本 東京落語地図』(朝日文庫)

 朝日新聞の編集委員であった著者による『合本 東京落語地図』(朝日文庫)は、座右の書の一つ。今では古書でしか入手できないが、この本、落語愛好家にとっては実に有益なのだ再刊を期待したい。

 立川龍志の『花見の仇討ち』が実に良かった。
 帰宅してこの本のこの噺の部分を開いてみたら、おもしろいことが書いてあったので紹介したい。


六十六部を知ってるのは16パーセント

 「六部」には説明が必要なようだ。演芸評論家の中野良介さんが以前、落語に出てくる言葉の理解度を調べるため、首都圏の百人を無作為に抽出してアンケートをとった。「六十六部または六部」を知っているのはわずか16.1パーセントに過ぎなかった。ついでに紹介すると、「半ドン」は80.6パーセント、「廓」は83.9パーセントが知っていたが、「舫(もや)う」は71パーセント、「幇間」は61.3パーセントの人が知らなかった。
「六部」は「六十六部」の略。書写した六十六部の法華経を全国六十六カ所の霊場に一部ずつ納める回国巡礼僧、ねずみ木綿の着物で、笈という衣服や経典を入れた箱を背負い、鈴を振って家ごとに銭を乞い歩いた。広辞苑に挿絵がある。

 補足すると、後に六部の多くは、物乞いの聖になったのだが、いずれにしても、今では落語の世界、それもこの噺にしか残っていないのではないかとも思われる言葉だろう。

 この本は、1988年1月、90年2月に朝日新聞社から刊行された正編と続編に、その後、「朝日新聞」東京版(90年8月~91年8月)に連載したものを加え、92年6月に発行されたもの。

 アンケートの時期が定かではないが、少なくとも今から30年近い前のことだろう。

 だから、もし今、「六十六部」「六部」を知っているかとアンケートをしたら、知っている人は一桁台に違いない。

 もちろん、知っていたから“偉い”、というわけではないが、知っていることでより一層落語や江戸時代のことがを楽しくなると思う。
 どんどんかつての文化や風俗を表す言葉が死語になりつつある。
 そういう意味でも、落語の「学校じゃ教えない」‘古い’ことを伝える役割は、重要だと思う。
 この私の思いへの賛同者は、四分か六分か、できれば六分であって欲しい^^


Commented by saheizi-inokori at 2015-05-01 09:48
六十六部は知りませんでしたよ。
Commented by kogotokoubei at 2015-05-01 12:05
>佐平次さんへ

えっ、佐平次さんでさえ!
私は興津要さんの「古典落語」のこの噺で勉強しました^^
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by kogotokoubei | 2015-05-01 08:16 | 落語のネタ | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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