噺の話

kogotokoub.exblog.jp
ブログトップ

神田連雀亭 初席 第二部 1月3日

連雀亭の初めての初席、三日目の第二部に行った。
 三が日なので、まつやも藪蕎麦も、松栄亭も喫茶ショパンも、もちろんお休み。
 他で腹ごしらえをして連雀亭へ。

 前半は、初めて聴く落語芸術協会(芸協)の二ツ目さんが三人出演した。
 芸協のサイトから、香盤順に並べてみる。太字が出演した人だ。
落語芸術協会サイトの二ツ目のページ

(1)春風亭 笑松
(2)三笑亭 朝夢
(3)神田 きらり
(4)三笑亭 夢吉
(5)橘ノ 圓満
(6)三笑亭 可女次
(7)昔昔亭 桃之助
(8)笑福亭 和光
(9)桂 夏丸
(10)神田 蘭
(11)瀧川 鯉斗
(12)橘ノ 双葉
(13)柳亭 小痴楽
(14)昔昔亭 A太郎
(15)瀧川 鯉八
(16)春雨や 雷太
(17)三遊亭 小笑
(18)春風亭 昇々
(19)春風亭 昇吉
(20)笑福亭 羽光
(21)春雨や 風子
(22)桂 宮治
(23)神田 松之丞
(24)神田 あっぷる
(25)春風亭 柳若
(26)春風亭 昇也

 ご存知のように、笑松、朝夢、夢吉が今年五月真打に昇進する。年末に聴くことができた圓満が昇進しないのは残念だ。

 このまま三人づつの昇進が続けば、すでにNHK新人演芸大賞を受賞している宮治や、昨年のNHKで『紙屑屋』を演じて私が見直した昇吉は、いつ真打に昇進するのやら・・・・・・。

 この日出演した芸協会の三名。
 夏丸は平成15年3月入門、平成19年9月の二ツ目昇進、鯉斗は平成17年3月に楽屋入り、平成21年4月二ツ目昇進、昇也は、入門時期はサイトに記載されていないが、平成25年1月の二ツ目昇進である。
 では、24名のお客さんの前で披露された若手の高座を、登場順に記したい。

瀧川鯉斗『新聞記事』 (13分 *13:46~)
 小遊三に可愛がってもらっており、EXILEの公演に連れて行ってもらったらしい。会場で観客が持ったルミカライト(ペンライト)の演出を気に入った小遊三が、自分の独演会で使おうということで、受付で鯉斗がお客さんにライトを渡したのだが・・・という逸話は、まぁまぁ可笑しかった。
 本編は、少し落ち着きのなさが目立つ。目が泳ぐのだ。後から夏丸がバラしていたが、暴走族上がりらしい。また、楽屋入りもギリギリ(開演15分前の13:30)で、皆でするはずの準備に間に合わなかったようだ。
 暴走族から落語の世界に飛び込んだことは、個人的に支持するが、もっともっと稽古して欲しいし、連雀亭は出演者の手づくりの寄席なのだから、するべきことは、やろうよ。
 
春風亭昇也『庭蟹』 (16分)
 本来はお目当てだった小痴楽だが、代演でこの人。後で夏丸が、漫才上がりと言っていた。鯉斗は先輩だが、彼に小言を言えるのは私だけ、とのこと。鯉斗と仲が良く、相性も良いのかもしれない。
 私が好きな、しかし滅多に聴かない寄席らしいネタを演じてくれた。好楽に稽古してもらったらしい。志ん生の音源も残っているが、好楽は師匠正蔵から教わったのだろうか。
 番頭が洒落が上手いと伝え聞いた主人が、番頭を呼んで「洒落てみてくれ」と言う。お題がなければ出来ませんという番頭に、主人が「衝立(ついたて)」を題に出す。番頭、「ついたて、二日、三日」と洒落るが、主人は分からない。こんな調子で、主人が「庭に蟹がいるね」と題を出すと、番頭が「急に言われても、にわかには出来ません」。しかし、主人はまったく分からない、という具合。途中で、「こんな主人のような客ばかりの寄席は困るね」と言ったが、なるほどその通りだ。
 マクラの身内いじりも嫌味はなく、本編もなかなか結構だった。漫才上がりだからなのか、本来の持ち味なのか、リズムも良く、とても二年前に二ツ目昇進とは思えない高座。この日、一番の発見である。

神田真紅『紅白歌合戦の由来-半ば-』 (15分)
 年末でも聴いたなぁ。あの時よりは、聴かせた。
 なるほど、紅白歌合戦が今のようになるまでには、敗戦後(終戦後、ではない)にラジオでこの番組を始める際、NHKの若手ディレクターの苦労があったのか。「合戦」をBattleと訳したためにGHQの反対にも遭って苦労したことなども交えて、途中まで演じたが、次を聴きたくさせる内容だった。この人とは、どうも縁がありそうなので、今後もまた聴くことがあるに違いない。まさか、このネタの後半とはならないだろうが、聴くたびに印象が良くなることを期待しよう。

桂夏丸『風の神送り』 (19分)
 仲入り前はこの人。桂幸丸の弟子。見た目は歌丸似。葛根湯医者などの医者のマクラから本編へ。
 この噺を今松以外では初めて生で聴いた。誰に稽古してもらったのだろう。まさか今松・・・・・・。
 前半三人の中では、経験が長いだけ落ち着いていたが、ちょっとおとなしすぎるかな、という印象。基本は出来ているように思うので、将来さらに個性を上乗せしていくことで結構化ける可能性はあるのではなかろうか。今後が楽しみだ。

林家扇『金明竹』 (18分)
 仲入り後は、落語会でよくお目にかかるこの人。木久翁に平成20年入門。
 本編は、与太郎の掃除での水撒き→雨宿りの人への傘貸し→隣家からの猫借り依頼→他の骨董屋の旦那貸し(?)依頼→謎の上方人登場(言い立て四回)、を演じた。
 落語会でこれまで数回聴いていた高座よりは、今回の出来は良かったと思う。ただし、謎の上方人の言い立てが四回ともスピードがほぼ同じであることと、四回目に、「木ぃ~が違ってます」を繰り返さなかったのが、残念。
 それにしても、他の若手女流噺家と同じで、女性を描くのが上手いとは言えない。どうしても、自分たちの“素”が出てしまうのだろうか。このへんが、女性が落語家に向いていない、という指摘の理由なのかもしれない。難しいところだ。

三遊亭好の助『手紙無筆』 (13分)
 この人は昨年、この寄席で聴いている。好楽門下で平成17年入門。
 不思議な魅力がありそうなのだが、もしかすると勘違いかもしれない。もう少し聴く必要がある。それは、マクラでも感じた。
 この初席に第一部から第三部まで通しで来られるお客さんや、四日間通しで来られる方もいらっしゃる、と言いながら、素直にお礼を言うのではなく、「どうなんでしょうねぇ」と首をかしげる。寿輔や桃太郎風の路線を狙っているのかもしれないが、やはり、素直にお礼を言うべきだろうなぁ。
 マクラでそんなことをブツブツ言いながら、なかなか本編に入るキッカケがつかめず、一度入りかけたが自分で笑ってしまい、仕切り直し。「手紙無筆」をやります、と宣言してからネタへ。器用とは言えない。
 本編の高座そのものは、「拝啓で始まる手紙をもらったら、“よっしゃあー!”だろ」、などと可笑しいクスグリを挟みながらも結構真っ当なので、この人は今後どうなるのか、ある意味で気になる。

桂夏丸 歌「夕子のお店」 (6分)
 一部から三部まで、膝代わりは、誰かが色物的な芸を披露する、ということで、ここでは夏丸の歌。
 増位山が昨年発表した歌らしい。三番まであって、間奏で祝儀がないとずっとやめません、とのことで、ポチ袋を出し、小銭入れを見たが、五十円玉と十円玉しかない。昼食で五百円玉を使っていた。どうしようか迷っていると後ろにいた昇也が箸に一万千札を持って高座に走って行った。出しそびれた。
 歌は、なかなか上手い。落語より上手いかもしれない^^

林家たこ平『松山鏡』 (13分 *~15:50)
 トリは、正蔵に平成15年入門だから夏丸とほぼ同じこの人。初である。好きな井上真央の夢を見たというマクラで、やや色っぽい場面にかかると、お客さんで唯一若い女性の方に向かって「すいません、引いてますか?」と笑っていじっていたが、会場には、他にもベテランの女性がいたぞ^^
 本編は、正月らしく、また寄席らしいお目出度いネタ。こういう噺を取り上げることには好感が持てるが、リズムが少し良くなかったことと、持ち時間を余してのサゲになったのが残念。しかし、古風な見た目(?)も嫌いではないし、今後も聴きたくさせる高座であった。

 『庭蟹』『風の神送り』『松山鏡』といった、今では寄席で珍しいネタを聴かせてもらった。前座噺は誰かが演じるだろうから、連雀亭では、自ずとネタを増やす必要性に迫られるだろう。古典の埋もれかかったネタに挑戦することは、大いに結構だ、と思いながら帰宅の電車の中で志ん朝を聴く。

 最寄駅まで来ていた連れ合いと一緒に帰り道を犬の散歩。帰ってから越後土産を肴に飲みながら、ブログを書き始めていたのだが、連れ合いが朝日新聞の「新春特集 漢字抜け熟語」の分からないところを聞いてきた。これが、実に難問。「干渉莫邪」なんて、分からないよ^^

 結局、当日中にブログを書き終えることはなかったのだ。

 今年の落語初め神田連雀亭は、結構新鮮で良かった。
 5日以降の予定は現在不明。役所への書類再提出で問題が解決し、早期に復活することを期待している。
[PR]
Commented by at 2015-01-05 07:04 x
二つ目。
二軍から上がって来たばかりの投手が
ローテーションの谷間に先発を任された時のような立場なんでしょうか。

扇は何回か聴いたことがありますが、
噺の中に弁当を食べている客に対して配慮することばを織り込むなどして、感心した覚えがあります。
たこ平の「古風な見た目」。
よくわかります。落語家らしい風貌ですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2015-01-05 09:11 x
二軍から上がってローテーションの谷間で先発、という喩は、なるほどその通りかもしれませんね。

パイプ椅子で4列の会場ですので、噺家さんの汗を見えますし髭剃り跡も分かります^^

彼らにとっても、良い緊張感を与える場だと思います。
手作り感たっぷりの寄席、ぜひ早期の復活を期待しています。

Commented by 彗風月 at 2015-01-06 13:44 x
あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。好の助に関しては、実は言いたいことが結構あるんです。今度お会いした時にお話し致しますね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2015-01-06 14:16 x
こちらこそ、本年もよろしくお願いします。
好の助はマジックのナポレオンズのどちらかの方のご子息らしいですね。
詳しい話は、お会いした際、ぜひ!

Commented by U太 at 2015-01-20 22:23 x
鯉斗さんは正直、現在の芸術協会二ツ目の勢いに乗り遅れている印象が・・精進をしないと更に取り残されると思います。
春風亭昇也さんは桂宮治さんや柳亭小痴楽さんに比べると今まであまりスポットを浴びていない印象ですが、今後注目に値する存在だと思います。
例えば、落語協会の二ツ目さんだと定型のマクラばかりという印象が有りますが、昇也さんの場合は(というより最近の芸協二ツ目はマクラがオリジナリティにあふれていて非常に面白いです)、常連さんが多い会だと内輪受けする話題を、深夜寄席のような一見さんが多い場合ですと笑点メンバーでもある師匠の昇太師匠との話題を絡めたり、と場合場合でマクラを使い分けていて非常にクレバーな印象が。
その昇也さんと前述の小痴楽さんは今年の「さがみはら若手落語家選手権」に出場するので(今年の予選会は全て土曜日開催です)、是非ご覧になって欲しいです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2015-01-21 08:49 x
本年もよろしくお願いします。
おっしゃる通りで、芸協の二ツ目さんは充実していると思います。
昇也に限らず、連雀亭のおかげで見どころのある若手に出会えるのが、楽しみでなりません。
早期の再開は、ほんとに良かった。
さがみはらの予選、土曜開催は実に嬉しいのですが、今月は都合が合わず、2月にはなんとか駆けつけるつもりです。

名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2015-01-04 08:50 | 落語会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛