噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

健さんが愛した歌、「ミスター・ボージャングル」についての補足。

 NHKの「プロフェッショナル」を見て、高倉健が好きだった歌、「ミスター・ボージャングル」のニーナ・シモンのYoutubeを掲載した。

 この歌について、もう少し書いてみたい。

 この歌は、作者Jerry Jeff Walkerの体験に基づいている。
 彼は、二十代の若き日、ちょっとしたいさかいで、ブタ箱に入ることになった。
 この歌では、そこにいた男が、「ボージャングル」と名乗った、とされている。
 しかし、この男が、本当にこの名であったかのか・・・・・・それについては後で書くことにしよう。
 まず、歌詞をご紹介。
 (和訳は、ネットで見つけたいくつかの訳を参考にし、管理人なりに作ったものです)

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Mr.Bojangles

I knew a man Bojangles and he'd dance for you
In worn out shoes
With silver hair, a ragged shirt, and baggy pants
The old soft shoe
He jumped so high, jumped so high
Then he lightly touched down

 僕は、ボージャングルという男を知っている
 彼は、擦り切れた靴を履いて、みんなにダンスを踊ってくれたんだ
 白髪頭で、よれよれのシャツにだぶだぶズボン、古いタップ用のシューズ
 彼は、とても高く跳んだ、とても高くね。そして、軽やかに着地したんだ

I met him in a cell in New Orleans I was
down and out
He looked to me to be the eyes of age
as he spoke right out
He talked of life, talked of life, he laughed
clicked his heels and stepped

 僕が彼に会ったのは、僕がどん底の頃の
 ニューオーリンズのぶた箱さ
 彼は、年月を感じさせる目で僕を見つめ
 語り出した
 彼は人生を語りだした
 笑いながら、時に膝を叩いてステップを踏んでね

He said his name "Bojangles" and he danced a lick
across the cell
He grabbed his pants and spread his stance,
Oh he jumped so high and then he clicked his heels
He let go a laugh, let go a laugh
and shook back his clothes all around

 彼はボージャングルと名乗った
 そして、監房の中を踊って横切った
 ズボンをつかんで足幅を広げ、彼は高く跳びあがった
 そして、踵を鳴らした
 彼は笑った
 そして、服の乱れを直した

Mr. Bojangles, Mr. Bojangles
Mr. Bojangles, dance

 ボージャングルさん、ボージャングルさん、
 ボージャングルさん、踊っておくれよ
 
He danced for those at minstrel shows and county fairs
throughout the south
He spoke through tears of 15 years how his dog and him
traveled about
The dog up and died, he up and died
And after 20 years he still grieves

 彼はミンストレル・ショーや南部中のダンス大会で踊ったらいい
 愛犬を連れて旅回りをした15年の歳月を涙ながらに語ってくれた
 彼の愛犬は命を全うしたらしい
 それから20年、彼はずっと愛犬の死を悲しんでいる

He said I dance now at every chance in honky tonks
for drinks and tips
But most the time I spend behind these county bars
'cause I drinks a bit
He shook his head, and as he shook his head
I heard someone ask him please

Mr. Bojangles, Mr. Bojangles
Mr. Bojangles, dance..

 彼はチャンスさえあれば、酒とチップのために
 今でも安酒場で踊るそうだ
 でもほとんどの時間は、ぶた箱で過ごすんだ
 ちょっと 飲み過ぎるんだ
 そう言って彼は 首を何度も振った
 その時誰かのリクエストが聞こえた
 
 ボージャングルさん、ボージャングルさん
 ボージャングルさん、踊っておくれよ
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この歌は、私が好きなニッティ・グリッティ・ダート・バンド、そして紹介したニーナ・シモンの他にも、たくさんの人が歌っている。
 サミー・デイビスJr.も有名。
 サミーは、タップダンスの名人、ビル・ボージャングル・ロビンソンをイメージして歌っていると言われてる。
 Wikipediaで確認できるように、ビルは、1878年5月25日生まれで 1949年11月25日没。
Wikipedia「ビル・ボージャングル・ロビンソン」
 あら、今日は、ビルの命日だ。
 ビルの誕生日は、「タップダンスの日」となっている。それほど有名な人なんだねぇ。

 作者のJerry Jeff Walkerは1942年生まれで、この曲を作ったのは1968年。
 もちろん、ビルはこの世にいない。
 ウォーカーの体験に基づく歌ではあり、留置場で会った老ボードビリアンをヒントに、彼はこの曲を創作したらしい。
 老いた犯罪者が、本当の名を明かしたくないために「ボージャングル」と名乗り、彼の犬のことを語り、タップダンスを踊った。そのウォーカーの経験が土台となって、この名曲が誕生したようだ。
 
 年老いた酔いどれの売れない芸人の姿が、美しいメロディに乗って、様々な歌手に歌われてきた。
 
 高倉健が、この歌を好きだったのは、その曲の美しさとともに、そんな一人の老いた芸人に対して、彼が深く思い入れする何かを感じたからではなかろうか。
 ぶた箱仲間に、「踊ってよ、ミスター・ボージャングル」と言われて、嬉しそうに飛び上がる老人の姿に、自分自身を重ね合わせたのかもしれない、と言えば言い過ぎだろうか。

 稀代の俳優となった自分も、一つ間違えば、どうなっていたか分からない、という思いもあっただろう。そして、フィクションとはいえ、彼はぶた箱を疑似体験しており、そこを、いろんな人が通り過ぎていったことを知っている。

 たまたま、ビル・ボージャングル・ロビンソンの命日に、もう一人のボージャングルと名乗った酔いどれ芸人を歌った曲と、その曲が好きで、遺作となった映画の撮影最終日の朝も、好きなコーヒーを飲みながら聴いていた高倉健のことにも思いが至るのだ。

 やはり、私の好きな、Nitty Gritty Dirt Bandのライブ版で、ぜひお聴きのほどを。彼らは、Mr.Bojanglesと呼びかけた後、'watch dance'と言っています。

 ライブで、最後のコーラスは、観客も歌ってますね。それだけ、アメリカでは有名な歌、かと思います。


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by kogotokoubei | 2014-11-25 00:36 | 今週の一曲、あるいは二曲。 | Comments(0)

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by 小言幸兵衛