噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

サッカーの神様が祝福するもの、罰を与えるものとは。

サッカーワールドカップの一次リーグが終了した。1億総サッカー評論家状態の中、素人の私が今回の日本代表の敗因などについて偉そうなことを言うつもりはないが、少しだけ思ったことを書きたい。

 闘う姿を見て、勝てそうな気がしなかった。
 つい先月行われたサッカー女子アジアカップや、2011年のサッカー女子ワールドカップでの“なでしこジャパン”メンバーの気迫、目つき、献身的な動きなどを思い浮かべると、今回の男子ジャパンに、そういったひたむきさや一所懸命さを感じなかったのだ。
 自分達は弱いから、ガムシャラにやるんだ、という思いが伝わらなかった。
 
 日本代表は出場国における位置づけを正確に把握していなかったように思う。
 日本はFIFAランクでは46位、32チームの出場国の中で、オーストラリア62位、韓国57位、カメルーン56位の次、下から4番目のチームなのだが、どうも気分だけは上にいるつもりだったようだ。
 
 日本と同組のFIFAランク8位のコロンビアは、アメリカ大会以来16年ぶりの出場で出場回数は日本と同じ五回目。FIFAランク12位のギリシャは、十年前のヨーロッパチャンピオンだが、まだ三度目の出場で決勝トーナメントには初進出。

 こういうことを書くと、FIFAランキングについての問題提起もあるかもしれないが、まずはこの指標を正しいとして考える。

 6月時点のFIFAランキングで日本より上位で今大会に出場できなかった国を太字、決勝トーナメントに出場する国を赤字にする。

1 スペイン
2 ドイツ
3 ブラジル
4 ポルトガル
5 アルゼンチン
6 スイス
7 ウルグアイ
 コロンビア
9 イタリア
10 イングランド
11 ベルギー
12 ギリシャ
13 アメリカ
14 チリ
15 オランダ
16 ウクライナ
17 フランス
18 クロアチア
19 ロシア
20 メキシコ
21 ボスニア・ヘルツェゴビナ
22 アルジェリア
23 デンマーク
23 コート・ジボワール
25 スロベニア
26 エクアドル
27 スコットランド
28 コスタリカ
29 ルーマニア
30 セルビア
31 パナマ
32 スウェーデン
33 ホンジュラス
34 チェコ共和国
35 トルコ
36 エジプト
37 ガーナ
38 アルメニア
39 カーボベルデ諸島
40 ベネズエラ
41 ウェールズ
42 オーストリア
43 イラン
44 ナイジェリア
45 ペルー
(46 日本)

 出場するだけでも大変であること、もちろん決勝進出はそれ以上に難しいことが、よく分かるのではなかろうか。

 日韓大会での日本と韓国の決勝トーナメント出場は地の利もあった。前回南アフリカ大会での両国の決勝トーナメント出場は、“快挙”と言えることだった。そのことを、“当り前”と考えるのは、錯覚である。

 もっともハードルが低いと言って良いアジア地区代表の日本は、自分達の位置づけを十分に認識して準備できたのだろうか。
 頭では分かっていても、心の中には、「なんとかなるさ」という根拠のない自信、言わば過信があったのではないか。
 そういう過信と錯覚を、監督も選手も、そしてマスコミも持っていたような気がする。あえて言うなら“奢り”があった。それが最大の敗因だと私は思う。 本田が「優勝」を口にしたのは自己暗示のためでもあっただろうが、マスコミは客観的な視野や批判精神を忘れ、まるで応援団のようにその言葉を鵜呑みにしたのではないか。
 
 そういった甘えの空気の中で、私も含め日本人の多くが、「勝てるんじゃないか!」と根拠のない過信、楽観に陥ってしまっていたように思う。

 しかし、その思いは本物の自信ではないので、初戦で1点取ったとたんに・・・・・・。

 「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の兵法で言うならば、「自分達は弱いのだ」という自己認識ができていただろうか。敵の長所と弱点、自分達の強味と弱みとをしっかり分析し、その関係からどういう展開が勝ちにつながるのかを夢に見るまで考えて、体と頭に叩き込んだだろうか。どうも、私にはそう思えない。

 選手たちの敗戦の弁には、「できるはずだった」「いけると思った」というような言葉をよく聞くが、それは自信ではなく過信と奢りの言葉に聞こえてしょうがない。正直なところ「そんなに甘いもんだと思っていたの?」「そこまで錯覚していたの?」と聞きたくなる。


 しかし、本選に出場したことは、誇って欲しい。大変なのだ出るだけでも。

 出るだけではなく勝つためには、サッカーの神様を味方にしなければ無理である。
 2011年の女子サッカーワールカップで日本チームが優勝した時、次のような記事を書いた。
 題は「サッカーの神様から祝福される価値あり、なでしこジャパン!」であった。
2011年7月18日のブログ

 震災、原発以降で、もっとも明るく、そして日本人を元気にさせるニュースだ。
 今日が休日だったことも日本が勝ちそうな気にさせていたし、二度リードされても、1億2千万人の“負ける気がしないオーラ”が、極東からドイツに注がれたような、そんな気がする。PK戦の前の日本選手達の笑顔と、アメリカの選手達の緊張した表情を見比べて、私を含むテレビの前の多くの人が、「ひょっとしたら、いける!」と思ったのではなかろうか。
 サッカーの女神は、佐々木監督曰く、「ちっちゃな娘たち」に微笑んだ。

 海外、それもアメリカのメディアはどう評しているかというと、次のように讃えてくれていた。
 
Japan rewarded by the soccer gods
 アメリカのスポーツニュース専門局ESPN、Ravi Ubhaの署名記事は、なでしこジャパンの優勝をこう表現した。ESPNの該当ニュース

“rewarded“は、「かいがある」「見返りがある」とか「報酬がある」という意味だが、“その努力・功績にふさわしい報酬がある”というニュアンスなので、まさにこの大会での活躍にふさわしい賛辞と言えるだろう。
 ESPNは、佐々木監督に対して“Charismatic Japanese coach Norio Sasaki”と、カリスマ的な監督であると表しているのが、やや不思議な気もするが、アメリカではそのように見えるのだろう。インタビューでも常にニコニコしていて泰然としているからかもしれない。 彼の表情からは緊張感を読み取れない。澤というチームリーダとともに、佐々木監督の存在は、確かに大きかったと思う。また、ESPNは、日本がドイツ、スウェーデン、そしてアメリカに勝ったことを「ハットトリック」と称しているが、なるほどそうも言えるだろう。
 
 日本がもし負けていれば、スポーツ新聞の論調は、「よくやった、なでしこジャパン!」とか、「なでしこジャパン 栄えある準優勝!」「胸を張れ、なでしこジャパン!」というようなタイトルになりそうなものだが、スポーツというルールにのっとった戦いに関して、アメリカのメディアの姿勢は公正で公平な気がする。もちろん、ESPNは全世界のスポーツファンが見るメディアだから、こういう冷静客観的な記事にもなるのだろう。


 2011年、大震災で沈み込む日本国民を少しでも元気に、という熱い思いで最後まであきらめず体を投げ打って献身的に競技したなでしこジャパンに、その姿に見合う“祝福”を与えてくれたサッカーの神様。
 今回の男子ジャパンに、神様が祝福を与えるに相応しい何かがあったのだろうか。逆に、「サッカーを甘くみてはいけない」、「奢りがあってはいけない」という“罰”を与えてくれたのだろうと思えてならない。
 しかし、10人で守り切ったギリシャ、最後まで諦めなかったギリシャには、神様はうれしいプレゼントを用意していた。

 私はすべてのスポーツや芸能に神様がいると信じている。落語の神様も、もちろんいる。

 なでしこジャパンだって、奢りや甘えがあったら、来年のワールドカップでは神様が“祝福”ではなく“罰”を用意しているかもしれない。
 どんなスポーツや芸能でも神様が祝福するのは、謙虚に、ひたむきに、そして見てくれなど気にせずガムシャラになって闘う姿なのではないか。

 男子選手が登場するコマーシャルを見ると、どうしてもサッカーに“浮かれ”ていたような気がしてならない。
 なでしこジャパンが勝った2011年、あの年はAC(公共広告機構)の映像ばかりだったことを思い出す。

 経済が回復しているのは事実かもしれないが、果たして、今の日本、特に政府に、過信や奢りはないか。
 アベノミクス、新国立競技場、集団的自衛権などなどを思うに、そういった“浮かれた”国のあり方にも、サッカーの神様は日本代表を通じて、“罰”をくださったのではないだろうか。

 日本がブラジルで残した得点は2点だが、もう1点あったことを最後に付け加えたい。それは、サポーターがゴミを拾う姿への賛辞である。そのことを4年後のロシアまでサッカーの神様が憶えていてくれることを期待したい。
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Commented by 佐平次 at 2014-06-28 09:20 x
まったくです。
優勝なんて論外ですが16位以内だって何の根拠もない。
傲慢、ちょっと大東亜戦争に突き進む日本を思わせましたね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-06-28 09:37 x
大きな敗因は書いた通りの精神面の問題だと思います。
あえて戦略・戦術での敗因の私見は、いわゆる「勝ちパターン」をつくれなかったことかと思います。
フォワードもミッドフィルダーも試合の度に先発の顔ぶれが替わっていたのでは、落ち着いてプレーできないでしょうね。

まぁ、少しは世の中が落ち着いてくれれば結構。
これから見ごたえのあるゲームが続きます。
個人的にはオランダに期待しています。日本とのお付き合いも長いですしね^^

Commented by 笑組・ゆたか at 2014-06-29 18:47 x
サッカーにはまるで無関係なんですが、
ビールを賭けたうちの文学ネタ第五弾
正解は喜瀬川さんの『毎日が落語日和』
をご覧くださいませっ!!

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-06-29 19:53 x
えっ、『高野聖』ですか!
私はお題は出したものの、当たったとは言えませんね^^

中村獅童と玉三郎、葉山良二と月丘夢路ですなぁ。
寄席用に縮めるのは大変でしょうが、ぜひお聴きしたいものです。

Commented by 笑組・ゆたか at 2014-06-29 20:55 x
正解は『高野聖』でした~!!

当初は『夜叉ヶ池』で考えておりましたが
子供の頃テレビで視た左團治丈の『高野聖』が
鮮烈に残ってたもので。

以前、柳家系の某師匠から
「落語にも人情噺があるんだから、普段やるやらないは別にして
ゲラゲラ笑わさない、聞かせる漫才があっていいんじゃない?」
とご助言を頂いた事があったので書いてみました。

寄席では…
できないんじゃないかなぁと思っております。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-06-29 21:34 x
その柳家系の某師匠、ちょっと想像してしまいました^^
寄席では、たしかに難しそうですね。
ぜひ、寄席の文芸シリーズの新作もよろしくお願いします。

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by kogotokoubei | 2014-06-27 19:30 | 幸兵衛の独り言 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛