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林隆三の死を悼む。

林隆三が、4日に腎不全で亡くなったことが分かった。スポニチの該当記事

林隆三さん死去、腎不全 70歳 「天下御免」「竹山ひとり旅」

テレビや映画で活躍した俳優の林隆三(はやし・りゅうぞう)さんが4日、腎不全のため東京都内の病院で死去した。70歳。東京都出身。通夜、葬儀は故人の遺志により近親者のみで行われた。

 所属事務所のホームページには訃報が伝えられ「林隆三と仕事を共にしていただいた関係各位の皆様、林隆三の活動を愛し、支えてくださったファンの皆様に、心より御礼申し上げます」と感謝の言葉が掲載された。

 1966年、俳優座養成所を卒業。翌年、NHK「ある愛の奇跡の物語」でデビュー。70年、TBS「俄」で初主演。71年、平賀源内の青春時代を描いたNHK「天下御免」で人気を博した。

 77年、新藤兼人監督に請われ、津軽三味線の名手・高橋竹山の若き日を描いた映画「竹山ひとり旅」に主演。鬼気迫る演技を披露、一躍スターの仲間入りを果たす。

 ほかに「国盗り物語」「たけしくん、ハイ!」「炎立つ」「徳川慶喜」など。近年はフジテレビ「チーム・バチスタ」などに出演。2001年から宮沢賢治作品の朗読公演を精力的に行った。長女の林真里花(39)も女優。
[ 2014年6月9日 11:15 ]


 
 林隆三は、「俳優座(養成所)花の15期生」の一人。Wikipediaから、どんな顔ぶれかを引用。Wikipedia「俳優座花の15期生」

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メンバー (※五十音順)

赤座美代子
秋野太作
小野武彦
片岡五郎
河原崎次郎
栗原小巻
柴田侊彦
太地喜和子
高橋長英
地井武男
夏八木勲
浜畑賢吉
林隆三
原田芳雄
前田吟
溝口舜亮
三田和代
村井国夫
竜崎勝
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 この中で、竜崎勝(没年満44歳)、太地喜和子(48歳)、原田芳雄(71歳)、地井武男(70歳)、夏八木勲(73歳)がすでに旅立っている。竜崎の肝硬変での死、太地の事故死は、早すぎる。林隆三の70歳での旅立ちだって早すぎるだろう。ちなみに、原田が亡くなった2011年から、2012年の地井、昨年の夏八木に続き、“花の15期生”からは毎年訃報を聞くことになった。

 私にとっての役者林隆三は、まず何と言ってもNHK「天下御免」。

「天下御免」は、昭和46(1971)年10月から翌47(1972)年の9月まで、全46話が金曜八時から放送された。
 平均視聴率は30%を超えたという。今と単純に比較できないが、大変な人気を誇った番組で、私は高校時代、毎週楽しみにしていた。
 
 Wikipediaから、キャストの一部をご紹介。Wikipedia「天下御免」

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主なキャスト

平賀源内:山口崇
小野右京之介:林隆三
稲葉小僧:秋野太作(当時は津坂匡章)
紅:中野良子
八萬:山田隆夫
杉田玄白:坂本九
前野良沢:内藤武敏
中川淳庵:吉水慶
田沼意次:仲谷昇
半六:谷啓
北々斎:三遊亭圓生
桜:津山登志子
レンゲ:太地喜和子
平賀茂左衛門:ハナ肇
平賀はつ:内海好江
平賀里与:二木てるみ
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    ・
    ・
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 源内、右京之介、稲葉小僧の三人が物語の中心。
 稲葉小僧役は同じ“花の15期生”の秋野太作。同期生では太地喜和子も出演。そして、あの圓生も出ていたんだよ。

 小野右京之介役の林隆三は、昭和18(1943)年9月29日生まれなので、当時まだ二十代。主役の山口崇も昭和11年生まれなので、まだ三十代半ばだったわけだ。
 若い芸達者たちが、現代にも通じるゴミ問題や公害問題、受験戦争などの難題を解決するために奮闘する話なのだが、社会風刺も十分に効いていたし、山本直純の音楽の軽快さ、水前寺清子のナレーション、タイトルバックの黒鉄ヒロシのイラストなどで、良質な娯楽番組に仕上がっていたと思う。「痛快時代劇」という形容がピッタリだった。

 “山口崇さんを中心とした、時代劇・懐かしドラマ・アニメ・海外ドラマなどの感想ブログ”と題する「ヲタ嫁日記」さんのブログから、主題歌「川はいいな」のジャケット写真を拝借。
ブログ「ヲタ嫁さん日記」の該当ページ

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 三人とも若い!
 「ノリはいいな」じゃなくて、「川はいいな」なのでお間違いなく。作詞は同ドラマの脚本家である早坂暁、作曲は音楽担当の山本直純。この歌、よく口ずさんだものだ。

 今、政治的な問題への風刺を込めた時代劇など、NHKで企画すらできないだろう。もし、そういう発想のある数少ない制作者がいても、安倍の息がかかった会長に睨まれないように自主規制していると思う。あの会長は、国民を無知にしておこうと思い、政治とは無関係なバラエティ番組づくりを進めそうなので、今後はどんどん民放と区別がつかなくなっていくと思う。

 和田勉や吉田直哉などの制作陣、早坂暁、山田太一などの優れた脚本家がバリバリの現役、良き時代のNHKの傑作番組の一つが、「天下御免」だった。
 残念ながら、当時はテープが高価だったので何度も上書きして使っていたため、NHKには録画が残っていない。山口崇が個人的に所有していた第一回と最終回(後半はカット)の映像がアーカイブに収録されているのみというのは、あまりに惜しい。昨年BSプレミアムで放送されたようだが、見逃してしまった。

 林隆三は、同じNHK、同じ早坂暁脚本「夢千代日記」の山根刑事役も良かったなぁ。昭和56(1981)年放送なので、「天下御免」からほぼ十年後、四十路を手前にして若さに渋い味がいい具合に混じり出してきた頃だ。
 原爆症をもつ夢千代との間のきわどい関係がどう進展するのか気になったものだ。「夢千代日記」は、しっかりライブラリーが残っており、今でもBSやCSで再放送されている。

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*「チャンネル銀河」のサイトより借用。
「チャンネル銀河」サイトの該当ページ


 林隆三は、新聞の記事にあるように、晩年(と言わざるを得ないのが、残念)は宮澤賢治作品の朗読会に注力していたらしい。四谷生まれだが、五歳から六年間を仙台で過ごした。若き日の高橋竹山を演じたことや、後年の宮澤賢治作品朗読公演は、この多感な仙台時代が何等かの影響をしているように思う。

  「林隆三総合企画/カロゼロ」という事務所のサイトに、まだ公演に関する紹介ページが残っていたのでご紹介したい。
林隆三の事務所「カロゼロ」サイトの該当ページ

公演のご案内
はじめに
2001年から始めました朗読公演は、全国各地でご好評をいただき2007年3月までに110ヶ所を超えることが出来ました。

この朗読公演は、宮沢賢治を敬愛する林隆三が、賢治作品の中でも数少ない花巻弁を使った作品の朗読を試み、賢治童話の魅力と朗読の楽しさを再発見してゆきます。

これらの作品には、家族の絆や愛、自然との共生やふるさと、といった普遍的なテーマが描かれています。

その感動的な朗読に、 愉快なトークとピアノの弾き語りが加わった宮沢賢治にふさわしい公演を、充分に楽しんで頂きたい-。



 実際に各地で朗読会が開かれたようだ。サイトには公演内容が次のように紹介されている。

公演内容
1. 朗読  「虔十(けんじゅう)公園林」
野生児のような少年が、周囲の人たちにバカにされながら、家族の愛情に支えられて自宅の裏の荒地に杉の苗を植えていく話です。

2. トーク

3.  朗読 「鹿(しし)踊りのはじまり」
木立の中に、手ぬぐいを忘れてきた農夫が見た、手ぬぐいの正体を調べる鹿たちの話です。

4.  質問コーナー

5. ピアノの弾き語り


 こういった活動から、私は高木仁三郎さんを思い出す。

 高木さん(この方は“さん”づけとしたい)は、三里塚闘争を経験したことが大きく影響したようだが、宮澤賢治の思想や著作に強く興味を持ち、『宮澤賢治をめぐる冒険‐水や光や風のエコロジー』という著作もある。
高木仁三郎著『宮澤賢治をめぐる冒険—水や光や風のエコロジー』

 林隆三の公演に関する説明に、“家族の絆や愛、自然との共生やふるさと、といった普遍的なテーマ”という表現がある。これは高木さんの思いと相通じるのではなかろうか。

 調べると、結構私の住まいの近くでも朗読会は開催されていたようだ。林隆三が、そのような活動をしたことを、亡くなってから知った自分が情けなくもあり、聴く機会がなかったことが残念でならない。

合掌。
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Commented by 佐平次 at 2014-06-09 21:46 x
同年生まれ、学年は一年下。
感慨ひとしお、なことの多い昨今です。

Commented by 小言幸兵衛 at 2014-06-10 08:46 x
干支は癸未ですね。
私のちょうど一回り上です。
いい役者でしたねぇ。

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by kogotokoubei | 2014-06-09 12:10 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛