噺の話

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『持参金』の元ネタは、結構悲惨だ。

先日の落語睦会で瀧川鯉昇が演じた『持参金』は、私も昨年、友人達との旅行の宴会で披露したネタでもある。ニフティポッドキャストの菊志ん(当時は菊朗)の音源を元に演じたが、意外に受けた。

 鯉昇は、甚兵衛さんが不精男に嫁を世話をする話をしたその日の夕方に嫁を連れて来る、という上方の型で演じていたが、東京の型では女は登場しない。
 
 このネタについて今日少し調べてみて、発見したことがある。

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『落語の鑑賞201』延広真治編(新書館)

 『落語の鑑賞201』は2002年9月5日の初版発行。延広真治の編集だが、二村文人と中込重明の著である。

 このネタの該当ページから引用。

持参金=逆さの葬礼、金は天下のまわり物、捨米

(【梗概】を省略)

【鑑賞】上方落語『逆さの葬礼』の一部。現立川談志が桂米朝から教わって東京に移したが、長く上方にいた四代目三遊亭円馬も演じた。米朝は大阪の古老桂南天に習ったという。
 (中 略)
 『逆さの葬礼』では、この後、産気づいた女が子供を産むが、その直後に亡くなる。寺に持って行くとき、棺桶に逆さまに入れたので、寺で葬式を断られてしまう。訳を聞くと、この仏には首がない。
 ここまでが『逆さの葬礼』で、さらに、産まれた子供が奇妙なので捨てると、それを見つけた連中が「子めが捨ててある」「米なら拾おう」「いや、赤子めだ」「赤米でもいい」「いや、人だ」「四斗なら、二斗ずつ分けよう」というのがサゲ。これが『捨米』という咄。このように、後半はかなり不道徳で、またさほど優れた笑いになっているとも思えない。しかも『捨米』のサゲは、書いたものならともかく、聞くには無理がある。演じられなくなるのもうなずける。
 この落語は現在でも頻繁に演じられ、それも比較的笑いをとりやすいようだが、実は、人間は追いつめられると、何にも増して金を優先させてしまうという現実を目の前に突きつけている怖い咄なのである。



 東京に移したのが談志だったことも意外だったが、とにかく上方の元ネタを知って驚いた。

 たしかに、『逆さの葬礼』や『捨米』の内容では今日演じにくいだろう。

 私が一杯呑んで友人達を結構笑わせていい気になっていたが、この噺の奥が深~いことを知った。

 東京版では、甚兵衛さんが世話をする女の名を“おなべ”とすることが普通。

 さて、猪瀬は5000万を貰う代償として、どんな“おなべ”を預かったのか・・・・・・。これから、その実態が明かされることを期待したい。

 『落語鑑賞201』は、編著者が良いので、非常に重宝しているのだが、このネタについては今日まで読むことがなかった。
 昨年、仲間との旅行の前にこの本を読んでいたら、気楽にこのネタを演じることはできなかったかもしれないなぁ。
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Commented by 水カステラ at 2013-12-21 11:18 x
「持参金」は「三軒長屋」の一節の様に演じ方次第では嫌みに聞こえたりする部分があり女性客が多いとハラハラしますが、好きだった古今亭右朝師匠や上方の米朝師匠のようにスラスラっとリズミカルに演じると何となくユーモラスな感じがして思わず吹いてしまいます。
演目すべてに言えることですが、一歩間違うと客が引きまくるこのような噺こそ腕が試される良い見本的作品ではないでしょうか。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-12-21 13:05 x
おっしゃる通りですね。
『猿後家』なども含め、女性の見た目を悪く言う内容が入っていますから、噺家の技量が低いと、後味の悪くなりますね。
鯉昇は、枝雀の影響が強いと思いますが、爆笑ネタにしていました。

この噺の元ネタを演じ切れる現役の噺家は、上方にはいるのでしょうか。
また、疑問が増えました^^

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by kogotokoubei | 2013-12-21 10:09 | 落語のネタ | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛