噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

NHK新人演芸大賞(落語部門)の放送を見て。

今、放送を見たところ。事前に出演者のプロフィールを含めて書いた通り、聴いたことのない人も多く今回は予想ができなかった。
2013年9月20日のブログ

 落語協会のサイトで大賞受賞者を事前には知っていたが、いったい五人がどんな高座をした結果そうなったのかを確認するためにも放送を見た。

次の七名の審査員が五点満点で審査していた。(いつものように敬称略)
東京落語界から金馬、上方からは病後の回復状況を心配していた染丸。繁昌亭支配人の恩田。なぜか赤井英和。堀井憲一郎。神津友好。NHK大阪放送局のチーフプロデューサー藤澤。

出演順に寸評と私の五点満点評価。

立川志の春『ナンシー』
 初めて聴くこの人は、新作。喬太郎の『夜の慣用句』に似た上司と部下の盛り場での会話が中心。しかし、上司一人、部下一人なので空間の広がりに欠けるし、一本調子の語り口に、ほとんど“間”が入らない客を疲れさせる高座。金馬や堀井憲一郎は褒めていたが、社交辞令としか思えなかった。採点は3。

春風亭昇吉『たけのこ』
 喜多八がたまに演るらしいが、私は初めて聴くネタ。侍役は確かに恰好がつくが、自分でその姿に酔っていたような印象。染丸が講評していたが、口調がまだたどたどしくて痛々しかったなぁ。昇吉は昨年の旬を無視した『たがや』よりはネタ選びの工夫を含め良かったが、4どまり。

鈴々舎馬るこ『平林』
 演者によって細工のしやすい噺だが、この人の好きな歌入りでの改作。かつて落語会で聴いた頃からは成長が見える落ち着いた高座だったが、評価は4を越えない。たい平の質問に「これが師匠馬風ゆずりの鈴々舎の芸です」と答えていたが、そうかなぁ。小せんだっている。

露の紫『厩火事』
 聴くのを楽しみにしていた人。“芋蛸南京”ばかり食わせている、と亭主が怒ったので喧嘩になった、というのが噺の発端だった。兄さん(東京落語の隠居役)は「あんな酒飲みなんか、やめとき」と言って唐土(もろこし)の学者と“さる”旦那の例からサゲまでは、ほぼ東京版と同じ。
 非常に結構だった。ネタ選びも良かったと思うし、演じ分け、間の取り方も他の四人から頭一つ抜けていたように思う。誰か一人には最高点5をつける決まりがあるのなら、私は迷わずに5をつける。

月亭太遊『たまげほう』
 初めて聴く。新作だった。古典で言うなら『てれすこ』に似たシュールな筋書き。しかし、あそこまで造語が続くと、聴いていてしんどい。とはいえ、最年少で私は将来性を強く感じた。期待をこめて4とする。


最後に審査員が五点満点で点数をつけ一人づつ公開していた。
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       金馬  染丸  恩田  赤井  堀井  神津  藤澤    計
志の春    4   4   4   4   4   4   4    28
昇吉      5   5   5   4   4   5   4    32
馬るこ     5   4   5   5   5   5   5    34
露の紫    5   5   5   5   5   5   4    34
太遊      4   4   4   5   3   3   4    27
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 馬ること紫が同点となり七人がどちらかの名札を挙げる決選投票。染丸、恩田、赤井は紫、他の四人が馬るこで大賞となった。
 藤澤審査員は、大阪放送局の人なのに出身は東京なのだろうか・・・・・・。それとも逆に地元の上方を押しづらかったのか。いずれにしても彼の審査結果が左右して露の紫は大賞を逃した。私の審査結果では差をつけて大賞は紫だ。私の評価が染丸に近いのが、なぜかうれしい。紫には来年もう一度挑戦してもらいたい。東京の立川こはるに加え上方の露の紫、この二人が女流落語家において私が期待する若手となった。

 今年は予選で敗れたのかもしれないが、来年こそ小辰、一蔵に本選に出場してもらいたい。予選に出ていたら、決して馬るこにひけをとることはないはずなのだがなぁ。
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Commented by 楠運平 at 2013-10-20 22:45 x
二度目のコメントです。以前、新人演芸大賞で鯉八さんの事を書いたと思います拙者も本日テレビで見ました。結果は同点決戦でしたが露の紫さんの方が良く思えましたがね。上方にこれほど上手な噺家がいるとは知りませんでした。
馬るこさんも悪くはなかったが歌を入れるのが…。正攻法で攻めた方がより良かったなと思います。鈴々舎の芸風と言っていましたが馬風師匠が美空びばりの歌を唄う漫談?を寄席で数回見ていますが…。それを芸風っていうのかな?馬風師匠の禁酒番屋とか落語は面白いのになぁ~。
昇吉さんのたけのこは喜多八殿下のバワフルなのを聴いているので少しパワー不足って感じです。殿下以外でもやるんですね。
最後の「たまげほう」にはたまげた(びっくりした)です。全く面白くなかったし聴いていて辛くなりました。なんで予選を通ったか不思議なくらいつまらない時間を過ごした気がします。おじぎもきちんと出来ない噺家でした。ちょっといただけないと思いました。
生意気な事を書きましてすいません。

Commented by 小言幸兵衛 at 2013-10-21 09:07 x
コメントありがとうございます。
私の評価は、記事に書いた通りで間違いなく露の紫が上です。彼女の力量は、東西合わせた女流落語家の若手の中でもトップクラスだと思います。基本ができていますし、笑いのツボも分かっている。
馬るこは、新聞に掲載されている受賞のコメントを読んでも分かりますが、客に媚びた演出と言わざるを得ない。師匠の馬風を真似たのでしょうが、彼の年齢でナツメロなど歌ってもらいたくないものです。

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by kogotokoubei | 2013-10-20 16:24 | テレビの落語 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛