噺の話

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運動部の体罰、そして、橋下府知事時代の職員の自殺のことなど。

大阪市立桜宮高校の体罰問題で、市教委が体罰の調査、顧問の処分を行うという記事があった。
朝日新聞サイトの該当記事

2013年1月15日21時57分
大阪・高2自殺、顧問らを処分へ 市教委、体罰調査も 
 
 大阪市立桜宮(さくらのみや)高校のバスケットボール部主将の2年男子生徒(17)が顧問の男性教諭(47)の体罰を受けた翌日に自殺した問題で、大阪市教委は15日に会議を開き、バスケ部の体罰について今後1カ月以内に事実関係を調査し、顧問ら関係者を処分することを決めた。さらに、今年度中にすべての市立学校で体罰や暴力行為の実態調査を行う方針。

 市教委は永井哲郎教育長をトップとする20人の対策本部を設置。弁護士5人でつくる外部監察チームと連携して体罰の実態調査にあたる。全市立学校の体罰調査では、特に運動部での暴力・暴言などの実態を詳しく調べるという。
 桜宮高では13日から部活動を自粛してきた。市教委は今後、バスケ部のほか、過去に体罰事件で処分された顧問が再び体罰をしていたことが発覚したバレーボール部も無期限の活動停止とし、指導法を抜本的に改革できるか検討のうえ部の存廃を判断する方針。ほかの運動部は1カ月以内に指導の実態を調査し、問題がなければ再開するという。



 もし顧問が処罰されるのなら、この高校の責任者として校長にも何らかの処罰があって然るべきだろう。

 この高校の入試の是非は市教委の管轄だが、案の定、橋下徹が吠えている。
朝日新聞サイトの該当記事

2013年01月16日
橋下市長、体育科入試の中止求める 

 体罰問題の高校 大阪市立桜宮(さくらのみや)高校バスケットボール部主将の男子生徒(17)が顧問の男性教諭(47)の体罰を受けた翌日に自殺した問題で、橋下徹市長は15日に記者会見を開き、「(男子生徒が所属していた)体育科は生徒の受け入れ態勢ができていない」として、今春の体育科とスポーツ健康科学科の入試を止めるべきだと市教委に伝えたことを明らかにした。

 入試を変更する権限は市教委にあり、長谷川恵一教委委員長は「非常に大きな問題であり、ちょっと今すぐには受け入れがたい」と述べ、21日に改めて判断する考えを示した。

 橋下市長は午後4時から約3時間20分にわたり市教育委員と意見交換。その後、長谷川委員長らと共同で記者会見し、「クラブ活動について顧問の緊急研修会をするなど意識改革をやっていく」などの再発防止策を発表した。

 その中で市長は、桜宮高の体育科は「指導において体罰が黙認され、歯止めがかけられない状態」と指摘。「いったん入試は止めてもらって、実態解明をする。体育科のあり方を冷静に検討する必要がある」「そのまま入試をすれば大阪の恥」として、スポーツの実技教育を行い、原則全員が運動部に所属する体育科とスポーツ健康科学科の体育系2学科の入試中止を強く市教委に求めた。

 ただし「入試が迫っているので混乱を最小限にとどめる」ため、体育科(定員80人)とスポーツ健康科学科(同40人)の計120人を普通科の定員へ振り替えることを提案したという。

 桜宮高の体育科とスポーツ健康科学科の入試は、2月13、14日に願書の受け付けがあり、同20日に学力検査と運動能力検査、21日に運動技能検査が予定されている。合格発表は26日。



 「入試を止め」なければ「実態解明」ができない、と橋下は思っているのか?
 「大阪の恥」だから、この高校へのペナルティを与えよう、ということなのか・・・・・・。

 もしスポーツ強豪校における体罰の容認が問題とされるのなら、主将の自殺、という顕在化した問題が発生した当事者の高校だけではなく、大阪市の高校教育全般の問題として、市長として考えるべきことがあるはずではないか。
 
 相変わらず、この男は狭い視野で、直接的で目に見えやすい被害者を対象として徹底的に叩くことが好きなようだ。
 この高校に対する橋下の発言は、あくまで「悪に対する正義の男」を演出するためのパフォーマンスと見なすべきだろう。


 少し、私自身の経験から、運動部のあり方について考えたい。

 私は中学で軟式野球部、高校、大学で軟式庭球(現在の呼称はソフトテニス)部に所属していた。高校時代は、顧問の先生はあくまで遠征の付添役が中心で、練習には時たま顔を出す程度。主将など三年生が指導役の中心であった。それでも伝統的な強さがあり、地域では優勝することも多く、インターハイ出場の一歩手前までには進むことができた。

 私は大学入学後、好きなスポーツをもっとも強い集団で行いたい気持ちで、体育会に所属した。しかし、全国レベルの俊英と、田舎の井の中の蛙との差は大きかった。四年次には主務として部の目標である団体日本一を目指し、自分ができることを考え、四十数名の部員をどうまとめるか悩みながら学生生活を送った。この大学には体罰を容認する文化も、顧問が練習を押し付ける文化もなかった。練習方法は基本的に学生自らが考え、監督やコーチがその内容を確認して、修正すべき点を改訂しながら実施する、言わば民主的な文化の中でスポーツに取り組んだ。ライバル校の中にはスパルタ式で強い大学もあったし、なかなか勝てなかったこともあった。しかし、学生の自主性を元に部員が目標を共有し、仲間を励まし合いながら日々を過ごし、結果として勝ったことも負けたことも、後から思えば人生において得難い経験をさせてもらったと感謝している。結果も重要だが、その目的を目指すプロセスこそ大事だと思う。
 
 私の経験から、体育会=封建的=スパルタ式、というイメージが強いと思うが、中にはそうではない運動部もたくさんあることを知ってもらいたい。


 私は、結果としてインターハイには行けなかった高校時代の経験も、目標として日本一にはなれなかったが、自主性を優先する大学時代の体育会の経験も、非常に貴重なものだったと思っている。
 大学時代はオフシーズンに遠征費を稼ぐためアルバイトなどもやったが、基本は親からの仕送りに頼っていたのだから、非常に恵まれた学生生活だったことは間違いがない。しかし、その親の支援を無駄にしなかった、という思いもある。また、結婚式の仲人を、今は亡き学生時代の恩師と慕っていた運動部の総監督にお願いすることができたのも幸せだった。この恩師の教えに体罰の文字はなかった。いや、必要がなかったのである。
 もし、別な環境で、顧問や監督などの強制的な、場合によっては体罰も厭わない“指導”によって、それ相応の成績を残すことができたとしても、あの時代に、学生たちが自分たちで考え悩んだプロセスを経験することは出来なかったと思う。親の支援、そして恩師や良き先輩や同輩、後輩との出会い、全てが感謝すべき経験だった。同じ“釜の飯”を食べた同輩たちとは、数年前から年に一度集まるようになった。それぞれ、親の介護や子供のことなどで苦労と悩みもあるようだが、会えばすぐに学生時代の話題で会話が盛り上がる。彼ら彼女たちとの現在に至る友情こそ、運動部で得た最大の財産かもしれない。

 さて、少しノスタルジーに浸り過ぎたようだ。

 このような私の経験からも、行き過ぎた体罰は決して容認できない。もし、この高校に体罰容認の文化があるのなら、それは大いに反省し改善されるべきだろう。“やらされて”勝つことより、“自らやって”負けることのほうが、得るものは多いかもしれない。そういう自主性を養う環境づくりや指導をすることに、本来の教師や顧問の使命があるのではなかろうか。 
 残念ながら、この高校には、そういった文化が稀薄なようだが、とはいえ、いきなり入試中止などの処置を主張する橋下には、全体がまったく見えていないと思う。

 もし直前に迫った入試の中止や、体育科とスポーツ健康科学科合格者の普通科への振り替えが実行されることになれば、この高校という組織にとっての大きなペナルティになるだろう。もちろん、入学を目指してきた受験生にとっても、万が一入試中止などになったら、大きな痛手になる。

 過度な連帯責任は、決して問題の解決にならないし、無実の被害者を数多くつくることは、決して良策とは思わない。

 大阪市教委が、然るべき判断をして欲しいと思う。橋下の言い分は、あくまで彼のパフォーマンスでしかない。

 もし、高校の構成員である生徒を、大阪府の構成員である職員に置き換えて、「職員の自殺」に関して組織が責任を取る必要があるなら、橋下が大阪府知事時代の職員の自殺について、彼はどう責任をとるつもりなのだろうか。

 「現代ビジネス」サイトに、次のような記事がある。これは、2010年の大阪府職員の自殺などに関して「大阪の地方自治を考える会」が執筆した本“「仮面の騎士」橋下徹 独裁支配の野望と罠”(講談社)の内容紹介と関係者への取材で構成されている。
「仮面の騎士」橋下徹
「現代ビジネス」サイトの該当記事

まず、タイトルはこうだ。
大阪府幹部職員が爆弾証言「私の同僚は橋下徹府知事に追い込まれて自殺した!」

内容を一部引用。

 特筆すべきは、冒頭に紹介した橋下氏というトップの人材の活用についてであろう。警告の書には、こんな一節がある。

〈二〇一一年三月八日の大阪府議会総務委員会において、府職員(知事部局)の自殺者が一年間で六人に上ったことが明らかになりました。その直後に、七人目の自殺者が出たのです。それ以前の五年間では年平均一~二人でしたから、橋下府政になってからは異常な増加です〉

 では、この増加は橋下氏というトップあってのものと言えるのだろうか。警告の書の存在が明らかになり、橋下府政の歪みについて〝告発〟しようという声が、少なからず出始めた。本誌もその一人と接触することに成功した。

 以下は、 '10年10月13日に淀川で水死体で発見された商工労働部職員のN氏(享年51)が自殺に追い込まれるまでの詳細を知る府幹部職員の証言である。引き金になったのは、 '10年9月5~8日の橋下氏の台湾出張をめぐるトラブルだったという。

「知事は帰国した際、空港で記者団に『台湾の要人には会わなかった』と発言しました。ところが1週間後の9月14日、府の部長会議で知事が突然、商工労働部の杉本安史部長を捕まえて、激しく怒鳴ったのです。『中国に配慮してくれというのに、調整が悪かった。リスク管理ができていない』『自分は行く前にわざわざ台湾側に要人との会談をキャンセルするように謝罪に行った』。

 台湾側というのは、台北駐大阪経済文化弁事処(大使館に相当)のことで、自ら要人との会談をキャンセルしてもらうよう謝罪しておいたのに、会談が組まれていたことに腹を立てたと言いたいのでしょう。しかし知事は、台湾で要人(経済大臣)と会っています。なのに記者には『会っていない』と発言した。

 台北駐大阪経済文化弁事処のホームページに橋下知事が経済大臣と会ったという記事も出ているんですよ。そして1週間も経ってから突然、台湾の経済大臣と会う段取りが生きていたことを『リスク管理ができていない』となじったのです。この時の現場責任者が、参事だったN氏でした」

 役人でないと背景が汲みにくい状況だ。この府職員は、理不尽な橋下氏の怒りについて、こう解説した。

「商工労働部長の杉本氏と関係の悪い別の幹部を引き立てるために、好き嫌いやその場の思いつきで商工労働部を攻撃する発言につながったんです」

 結果的に、橋下氏の一喝で、現場責任者のN氏は叱責を受けた。警告本にはこう書かれている。〈知事自ら台湾側に謝罪して、要人との面談をキャンセルしていたにもかかわらず、現地入りしてみると面談が復活していたということになります。まったくもって信じかねる話ですが、自殺した生真面目な参事にとっては、「橋下知事に、ウソまでつかせた」と、自責の念に駆られるほどの大きな衝撃だったのでしょう〉。



 この本を読んでいないので、大阪府職員の自殺と、大阪府という組織や、当時の知事橋下との関係については詳しくは分からない。しかし、事実として、橋下が知事の時に、従来以上に職員の自殺があったようだ。

 橋下は生徒の自殺→高校の処罰、という図式を桜宮高校に与えるべきとして、入試中止などを要求している。

 組織と構成員との関係から、職員の自殺→大阪府庁の処罰、という同様の論理で考えるなら、当時の大阪府庁の最高責任者も、処罰を受容すべきであろう。

 しかし、彼に責任を迫っても、「それこれとは別」と声を荒げるに違いない。そして、彼の自己保身のための理屈をあれこれ並べることだろう。

 私は、入試を中止しなくても可能なはずの「実態解明」の元に、あの高校の処罰を検討すべきだと思う。現時点では、これまでのマスコミ情報から得た情報が事実とするなら、あの高校の顧問と、顧問の管理責任のある校長には何らかの処罰が必要だと思っているが、他の運動部や、受験生が連隊責任を取ることには反対だ。

 同じ論理で、大阪府の職員の自殺と、当時の府庁における業務や対人関係との因果関係も、「実態解明」が求められて良いはずだ。商工労働部のN氏の自殺を取り上げても、たった二年三か月前のことである。まだ、時効にはならない。

p.s.
 この記事を書いている途中の休憩(?)で、「内田樹の研究室」に「体罰と処分について」という記事が掲載されていることに気が付いた。まだよく読んでいないので、その内容については、別途書きたいと思う。
「内田樹の研究室」の該当記事
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by kogotokoubei | 2013-01-16 19:44 | 幸兵衛の独り言 | Comments(0)

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