噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

桂宮治のNHK新人演芸大賞受賞から、少し歴史を遡ってみると・・・・・・。

スポーツ新聞や一部の全国紙で報道されているので、すでに多くの方はご存知であろうが、10月20日に開催された今年の「NHK 新人演技大賞」の落語部門で、桂宮治が大賞受賞(要するに、優勝)した。
 落語芸術協会は、うれしさの余り(?)、次のように、放送日を含めてニュースとして報じている。落語芸術協会サイトの該当ページ

NHK新人演芸大賞 受賞

下記の演者が平成24年度NHK新人演芸大賞(落語部門)において大賞を受賞致しました。

桂宮治(落語:二ツ目 かつらみやじ)

なお、大会の模様は、
NHK総合 2012年11月4日(日) 15:05 ~ 16:15
放送の予定となっております。

*放送日に着色したのは、当ブログの管理人。

先日、あまり自信はないと言い訳しながら次のような予想を書いた。
2012年10月2日のブログ

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◎ 桂宮治
○ 笑福亭喬若
▲ 春風亭ぴっかり
△ 桂二乗
△ 春風亭昇吉
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接戦だっただろうが、何とか予想があたって、悪い気はしない。

この大会について書く時には、いつも下記の優勝者履歴を紹介している。
*参考→Wikipedia「NHK新人演芸大賞」
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        西             東
1994年                桂平治(→桂文治)
1995年                柳家三太楼(→三遊亭遊雀)
1996年                古今亭志ん次(→志ん馬)
1997年  桂宗助
1998年                柳家喬太郎
1999年  桂都んぼ(→米紫)
2000年                林家彦いち
2001年  桂三若
2002年                古今亭菊之丞
2003年                古今亭菊朗(菊志ん)
2004年  桂かい枝
2005年                立川志ら乃
2006年  笑福亭風喬
2007年  桂よね吉
2008年                三遊亭王楽
2009年                古今亭菊六(→文菊)
2010年                春風亭一之輔
2011年  桂まん我
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 遊雀が受賞した際は落語協会の所属だったので、芸協所属の噺家さんの優勝は、18年前の今年文治を襲名した平治以来となる。
 
 その平治が十一代目文治を襲名した年に、同じ十代目文治一門でのお目出度が続き、芸協にとっては、ここ数年の停滞を打ち破るためにも大きな励みになるだろう。
 
 決勝(本選、と言うのが正しいようだが)出場者の入門年と年齢は次の通り。

喬若 1998年入門(38歳)
二乗 2003年入門(34歳)
ぴっかり 2006年入門(31歳)
昇吉 2007年入門(不明)*芸協サイトのプロフィールには、相変わらず生年月日がない。
宮治 2008年楽屋入り(36歳)

 年齢はすでに三十代半ばだが、入門5年目での受賞は、これまでのスピード記録になるのではなかろうか。紹介した文治以降の入門年と大賞受賞年を並べてみる。

 文治  1986年入門→1994年大賞受賞(入門から9年目での受賞)
 遊雀  1988年→1995年(8年目)
 志ん馬 1981年→1996年(6年目)
 宗助  1988年→1997年(10年目)
 喬太郎 1989年→1998年(10年目)
 米紫  1994年→1999年(6年目)
 彦いち 1989年→2000年(12年目)
 三若  1994年→2001年(8年目)
 菊之丞 1991年→2002年(12年目)
 菊志ん 1994年→2003年(10年目)
 かい枝 1994年→2004年(11年目)
 志ら乃 1998年→2005年(8年目)
 風喬  1998年→2006年(9年目)
 よね吉 1995年→2007年(13年目)
 王楽  2001年→2008年(8年目)
 文菊  2002年→2009年(8年目)
 一之輔 2001年→2010年(10年目)
 まん我 1999年→2011年(13年目)
 宮治  2008年→2012年(5年目)
 
 この大会は名前や表彰方式など微妙に変わってきているのだが、過去まで遡ってみて、スピード受賞者を調べてみたら、実はもっと早い人がいた。

 桂福楽(受賞当時は桂小福) 1979年入門→1982年受賞(4年目)
  
 福楽(二代目)は、入門が1979年12月なので、もし年を越して四代目福団治に入門していたら、3年目(まるでネタみたい)ということになっていた・・・・・・。ちなみに、福楽は福団治の総領弟子。福楽は、二年前から体調を崩して高座を休んでいたようだが、今は復帰して繁昌亭にも出演しているようだ。上方落語協会サイトの桂福楽のプロフィールページ
 聴いたことがない。まだまだ知らない噺家さんが多いのだ。
 こういう人の生の高座は、ぜひ聴きたいのだが、東京での開催はないのだろうか。

 また、私にとっては意外だったのだが、林家正雀が1974年入門で、6年目の1979年に受賞している。

 ちなみに、小朝は1970年に15歳で入門し、9年目の1978年に受賞。古今亭右朝は1975年入門、11年目の1985年に受賞である。

 もちろん、参加資格や大会の形式なども違いもあったので、過去の例と単純には比較できない。

 たとえば、現在の「NHK新人演芸大賞」という呼称は、その前の「新人演芸コンクール」を第6回目から名称変更したもので、その第4回から第8回までは、落語部門と漫才などの演芸部門の区別はなかった。部門別表彰のなかった最後の第8回、受賞者の顔ぶれは次の通り。

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第8回 新人演芸大賞(1993年) 
大賞:爆笑問題、優秀賞:林家たい平「松竹梅」、林家染吉「湯屋番」
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 爆笑問題に敗れた林家たい平。彼と染吉を、落語部門の最高位受賞者と考えると、たい平は1988年の入門から6年目でのスピード受賞と言うこともできる。

 
 同じ基準と表彰形式における1994年以降過去19回の大会において、宮治の入門5年目の受賞は十分に誇っていいだろう。

 当日の宮治の勝負ネタは、いくつかのブログを拝見したところ、私も何度か聴いたことのある『元犬』だったようだ。他の4人も含め、11月4日の放送を見るのが待ち遠しい。

 芸協は、定席でも宮治などの若手を深い席で登場させるなどの試みをしており、観客も増えているように思う。私が何とかもぐりこんだ先月の末広亭での文治襲名披露は、大変なお客さんの入りだった。
 一時話題になった他の流派の手助けなどは必要なく、活気のある高座を一人づつが積み重ねていくことで、定席席亭に苦言などを言わせないようにして欲しいし、きっとできるはずである。

 つい、今年の結果から歴史を遡って、ダラダラと書いてしまったが、来年の真打昇進が年功にもどった落語協会と対照的に、芸協での抜擢昇進が数年のうちにあるような予感もさせる宮治の大賞受賞で、落語界全体が活気づくことを期待したい。
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Commented by U太 at 2012-10-26 16:51 x
小言幸兵衛さんが宮治さんを観たのは前座時代ですか?先週運良く生で観る事が出来ましたが、二ツ目になって以降の宮治さんの高座は、素人目に見ても他の二ツ目とは格が違うと感じます。大賞受賞はむしろ順当かと。

昇吉さんの年齢は1979年生まれでもうすぐ33歳のようです(かわら版写真名鑑より)。昇吉さんは正直微妙ですね。ネタも季節外れですし。ネットの評を色々見ましても酷評が多かったですね。東大出身インテリタレントでいった方が良いかも。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-10-26 18:02 x
今年三月に二ツ目になったのですが、私が聴いたのはすべて前座時代です。
初見は2009年5月の「らくだ亭20回記念」落語会ですが、この時は携帯電話の注意と小噺で四分のみ。
その後、横浜にぎわい座での一之輔や兼好などさまざまな落語会や、らくだ亭の開口一番で聴いています。
前座でも、次に出てくる二ツ目さんより光っていましたし、今なら、二ツ目でも下手な真打よりは間違いなく上でしょう。
いわゆるフラがあって、噺家として得(?)な見た目^^
三十路を過ぎての入門ですので、根性も座っているのではないでしょうか。
某国立大卒の、この時期に夏のネタで勝負しようとする季節感のない噺家とは、一味もふた味も違うと思います。
しばらくぶりに聴きたいのですが、なかなか都合が合わないんですよねぇ。
とにかく、今回の受賞を機に成長してくれることを期待しています。

Commented by U太 at 2012-10-26 18:59 x
昇吉さんの「たがや」は、少なくとも一月から演っていました。とある若手の会だったのですが、その会にはまだ前座だった宮治さんも二ツ目に混じり(開口一番としてでは無く)、他と遜色無いどころか喰っちゃうくらいの「太鼓腹」を演じていて、初めて宮治さんを意識するようになったある意味忘れられない会です。

最近、高学歴芸人というのが増えていますが、こういう芸能の世界ではそういう学歴は足枷にこそなれ、プラスにはならないような。クイズ番組で重宝されるぐらいか。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-10-26 22:03 x
そうですか、一月・・・・・・。
あの噺は、まず三代目三遊亭金馬、そして三代目の桂三木助ですね。
それぞれ隅田川の情景をマクラにふって川開きの舞台を浮かび上がらせるのですが、それは旬に演じられるからこそ聴くほうも楽しいのです。
季節感のある噺は、やはりその「旬」にかけることで高座も客席も一体になれる。
そういった落語の「旬」を知ることも重要なことでしょう。

「幇間腹」や「元犬」のように季節とはあまり密着していない噺は、それだけ、高座にかける機会も増えます。
それは、決して悪いことではなく、特に寄席の場合、先に出たネタにつかないようにするには、さまざまな噺を引き出しに入れなくてはいけなくなります。
そして、前座、二ツ目のい時期は、とにかくネタの数を増やすことが大事です。
噺家としての知恵は、間違いなく宮治が昇吉より上、ということですね。

Commented by 明彦 at 2012-10-26 23:29 x
宮治さん、全く未知の方だったですがちょっと検索してみると、「これぞ噺家」というべき見た目に加え、勉強会では『宿屋の仇討』なども立派にこなしているようですね。
今度帰省した時にでも拝見したいものです。

福楽師は温和そうな男前で・・・療養前に繁昌亭で聴いた『京の茶漬』がよかったので、先日『らくだ』をネタおろしされると聞きいそいそと出かけました。
しかし、「らくだ」を若旦那のなれの果てとしたり、サゲをハッピーエンド?にしたりといった、噺の本質に沿ったとは思えない独特過ぎる改作が目立ち、あまり感心出来ませんでした。
一方93年に優秀賞を取った染吉は・・・現・林家染二師(84年入門)ですね?
ハイテンションの演じ方はいささか癖があり好き嫌いは分かれるようですが、既に繁昌亭ではトリを取る立場で、多くの受賞歴があります。
とにかく客を捕らえようというパワー、ネタの幅広さに伝統芸能の素養、そして演出から伝わって来る人柄のよさには、頭が下がります。
(なおこの方の『らくだ』は、誰と比べても恥ずかしくないと思えました)
正直お2人の名を並べると、対照的に思えてしまうのですが・・・。
染二師は東京でも精力的に会を開いていますので、機会があったら是非。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-10-27 07:33 x
福楽さんは、プロフィールにも次のように書いていますね。
「私は古典をどこまで現代に通じるようにアレンジできるかというのがテーマと思っています。分からないくすぐりや落ちなどをどんどん変えていきたいと考えています。」
こういう考えは、やや立川談笑的で、どんな高座なのかなぁ、と思っていました。
改作もハマル場合とハズレル場合がありますからね・・・・・・。

染二さんは、テレビ(CS)では結構拝見しており、その愛嬌のある表情や語り口の良さは好きです。
まだ生の高座に出会っていないので、そのうち聴きたいと思っています。

宮治、ぜひ生でお聴きのほどを!

Commented by U太 at 2012-10-28 22:58 x
追記。
昇吉さんが一月に何故「たがや」を演ったのか。マクラで小三治師匠が冬に夏の噺を演っていたから自分も、という事らしいです。
あと、CDからの聞き覚えか知りませんが、喜多八師匠がマクラで話す立ち食いそば(かき揚げ二枚載せ)の話をマクラでそのまま話していました。

思考が独特すぎて、協会内(二ツ目の中)でも浮いているんじゃないでしょうか、この人。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-10-29 09:13 x
小三治の『青菜』のことですね、きっと。
自分と一緒にしちゃあいけません^^

落語を、「頭」で考えているんでしょうね。
問題は、「了見」です!

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by kogotokoubei | 2012-10-25 18:47 | テレビの落語 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛