落語協会 新真打昇進者決定—2013年秋と2014年春に五人づつの昇進
2012年 10月 22日
落語協会の10月21日のニュース
新真打昇進決定
2013年 秋
川柳つくし(川柳川柳門下)、金原亭小駒(金原亭伯楽門下)、三遊亭天どん(三遊亭圓丈門下)、三遊亭金兵衛(三遊亭小金馬門下)、柳家喬四郎(柳家さん喬門下)
以上、5名
2014年 春
柳家小権太(柳家権太楼門下)、鈴々舎風車(鈴々舎馬風門下)、三遊亭亜郎(三遊亭圓丈門下)、古今亭志ん公(古今亭志ん橋門下)、桂才紫(桂才賀門下)
以上、5名
が真打に昇進することが決定いたしました。
この十人、風車と亜郎以外は生の高座を聴いたことがある。
さて、一之輔、そして文菊、志ん陽と続いた抜擢昇進が、もう終了したということなのだろうか・・・・・・。
念の為、落語協会サイトの芸人紹介の「二ツ目」の上から(香盤)順に並べる。
落語協会サイトの該当ページ
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川柳 つくし
金原亭 小駒
三遊亭 天どん
三遊亭 金兵衛
柳家 喬四郎
柳家 小権太
鈴々舎 風車
三遊亭 亜郎
古今亭 志ん公
桂 才紫
三遊亭 司
柳家 喬之進
三升家 う勝
柳家 麟太郎
入船亭 遊一
金原亭 馬治
金原亭 馬吉
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まったくの香盤順での昇進。
来年春に昇進者がないのは、「まだ早い」という意図の現れか、はたまた、披露興行の本人達と寄席側の準備期間をつくるためかは、不明。
昇進者の入門年と二ツ目昇進年月は次の通り。
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川柳つくし:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年11月、二ツ目。
金原亭小駒:平成9(1997)年入門、平成12(2000)年11月二ツ目。
三遊亭天どん:平成9(1997)年入門、平成13(2001)年5月二ツ目。
三遊亭金兵衛:平成10(1998)年入門、平成13(2001)年11月二ツ目。
柳家喬四郎:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年11月二ツ目。
柳家小権太:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年11月二ツ目。
鈴々舎風車:平成11(1999)年入門、平成14(2002)年11月二ツ目。
三遊亭亜郎:平成9(1997)年入門、平成14(2002)年11月二ツ目。
古今亭志ん公:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年5月二ツ目。
桂才紫:平成11(1999)年入門、平成15(2003)年5月二ツ目。
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ちなみに、同じ時期の二ツ目昇進の場合は、入門が少しでも早いと香盤は上になる。たとえば、志ん公と才紫は、志ん公の入門が平成11年の3月1日、才紫が同3月25日。
さて、あらためて今回の発表を見て浮かぶ二つの疑問。
(1)あれ、また年功昇進に戻ったのか?
(2)平成15年5月の二ツ目昇進までか?
(1)の問題は大きいので、後に譲って、(2)の件。実は平成15年5月に二ツ目になった人でも、漏れた人がいる。
才紫に続く二ツ目の入門と二ツ目昇進時期を、少し詳しい情報を加えて並べてみる。
三遊亭司:平成10(1998)年5月三木助に入門→平成13年3月より歌司門下、平成15(2003)年5月二ツ目。
柳家喬之進:平成12(2000)年1月入門、平成15(2003)年10月二ツ目。
三升家う勝:平成12(2000)年1月入門、平成15(2003)年10月二ツ目。
柳家麟太郎:平成11(1999)年4月入門→平成12年4月より前座、平成15(2003)年10月二ツ目。
入船亭遊一:平成11(1999)年12月入門→平成12年6月より前座、平成15(2003)年11月二ツ目。
金原亭馬治:平成12(2000)年4月入門→7月より前座、平成15(2003)年11月二ツ目。
金原亭馬吉:平成12(2000)年4月入門→7月より前座、平成15(2003)年11月二ツ目。
昇進する志ん公、才紫と同じ、平成15年5月に二ツ目になった三遊亭司。
「入門だって、他の二人より早いじゃないか・・・・・・」と思うのが当然の疑問。その芸も、私はほぼ二年前のらくだ亭で聴いているが、なかなか艶のある高座で結構だった。実は、彼は最初に入門した四代目桂三木助でしくじって、しばらく落語の世界を離れてから歌司に再入門している。ある情報(?)では、三木助を破門になった、とも言われている。そんなキャリアの空白と最初の師匠でのしくじりが、昇進の妨げになっているのは間違いなかろう。
まぁ、この“流れ”が変わらなければ、司は平成26年の春の昇進になるのではなかろうか。
しかし、年功昇進を会長小三治は否定したはずではないのか・・・・・・。
では、(1)の問題について少し書きたい。
20日の土曜にようやく文菊と志ん陽の披露興行に行くことができたのだが、二人の昇進披露に関して8月27日に行われた記者会見の記事を、少し遅れて紹介したことがある。
2012年9月3日のブログ
紹介した記事に小三治会長の言葉があるが、あらためてご引用したい。MSN産経ニュースの該当記事
*太字は、管理人によるものです。真打ち昇進に関しては、小三治は「私の方針としては、いいものは引き上げたい。年数で真打ちにするのは、はっきりいうと私の好みではない。新しく入ってきた人が『やろう』という気持ちになるのがいい」
落語協会では、しばらくは年功序列はなく、抜擢による昇進が続きそうだ。
最後は「(落語家は)保護されてのぼっていくものではない。振り落とされてもあがっていく心意気を見せてほしい。それは私自身にもいえること。安全なんてどこにもない」と、小三治は厳しい言葉で結んだ。
さて、なぜ小三治会長の考えは変わったのか?
いろいろ思うに、一之輔、文菊、少し差があるが志ん陽のように、抜擢したくなるほど際立った二ツ目が見当たらなかった、というのが本音ではなかろうか。
よって、「修業年数も重要な基準」ということで、「待て」と言われ、精神的にも辛い日々を過ごしてきた香盤上位の二ツ目に、ある意味では、お返しのようなつもりでの年功昇進のように思う。
私も、小三治会長の言葉を紹介したブログの後半で、もし私なら、ということで三名ほどの名前と挙げたが、自分の限られた経験と好みが左右しており、決して自信をもってのリストアップとは言えなかった。
そう、今年の昇進者のように際立っている噺家はいないだろう。
数年後、この11月に二ツ目になる入船亭小辰(辰じん)や春風亭朝呂久が抜擢されるまでは、なかなか小三治会長の厳しい目に応える人が出てくるようには思えない。
私の邪推は、意外に当たってるよう気がするが、いずれにしても、どこかで小三治会長の見解を確認したいものだ。
真打昇進が「香盤」とリンクしている以上、昇進はプロとしての死活問題にかかわります。
そこを無理を押し通そうとすれば摩擦が起き、過去のような内紛に発展しかねません。
会長の一存だけで全てが決められない、そんな事情も垣間見えます。
それ以上は思いつかないのですが・・・・
昨日、浅草の夜席に行ってきました。
宮治(コンクール優勝おめでとう!)鯉八、夢吉の三名が仲入り後に時間もたっぷり取り、気合の入った高座が聴けました。
今度は芸協が抜擢をするのでは無いでしょうか?
トリの遊雀師ももちろん気合が入った「寝床」でした。
40分に及ぶ寄席としては長講でした。
芸協にはいい若手が育っていますね(^^)
十数年修業した本人たちにとっては、たしかに“死活問題”でもあるでしょう。
よほどひどくないのなら、「これからが始まり」ということで昇進させる、ということもありなのかと思います。
そして、数年に一度、そこに抜擢者が一人二人加わってくる、ということかもしれませんね。
いずれにしても、昨年の昇進なし、今年の抜擢三名昇進は、ぬるま湯に浸かっていた若手や師匠たちにとって刺激的だったでしょう。修行への取組み方も以前よりは緊張感のあるものになると期待したいです。
その波及効果は芸協にもあったのではないでしょうか。若手は結構頑張っています。
NHKで宮治が大賞をとったようですが、非常に象徴的な気がします。
「来年は抜擢に価する者はいないね。それじゃあ、香盤順で昇進させて今後も励んでもらいましょう。自覚と準備のために来春はなし、としますか」てな会長の意向を、理事の皆も了承した、ということではないでしょうか。あくまで想像ですが。
宮治のことは、すでにいくつかのメディアで報道されていますね。漫才の方が大きな扱いではありますが^^
予想が当たったのはうれしい気もしますが、きっと接戦だったのでしょう。喬若やぴっかりの高座も含め、11月4日の放送が楽しみです。
来年の秋の披露興行で、五人が意識の面も含め、今からどれだけの積み上げができたか、ぜひ確認したいものです。
次に控える二ツ目や前座さんには、ただぼんやりと月日を経ているのではないように、修業していただきましょう。会長の狙いはそういうところにもあるはずです。
たまに「抜擢もあるぞ!」という含みがあることで、若手は動機づけされていると思います。
御説にまったく同意です。
「死活問題」ではあるでしょうが、実際に当事者が真打として高座に上がったときに客はさて納得して帰れるかと心配になります。当然真打の位置は小三治師が言うようにあくまでスタートラインに立っただけかも知れませんし本人の精進次第なんでしょうが、少々危なっかしい顔があるのも事実ではないかと思ったりします。
協会の意志を知りたいものです。
来年昇進者なしでは寄席も活気が出ない、という興行的な問題もあったのでしょうねぇ。
小三治会長の真意はどこにあるのか、本当にお聞きしたいものです。
ブログ拝見しました。
上方から関東へいらしたのですね。
どちらの生の高座も数多くご存知とは、うらやましい限りです。
今後も気楽にお寄りください。
早朝寄席ではなく、飛行機に乗った際の落語で、初めて一之輔、文菊を聴いて、面白さだけではない、きらめきみたいなものを感じて、圧倒されました。志ん陽は生で2つ目最後の勉強会で聴きましたが、人柄が滲み出るいい高座だったなぁ、と感じました。
それほど聴いたことがあるわけでもなく、自分が好きなタイプの噺家さんがまだ分からないのですが、風車、小駒さんは割りと好きな感じでした。
ちなみに、落語にはまったきっっかけは、友人から借りた、TBS落語研究会のDVDの文七元結です。
早朝寄席は、まだ行ったことがないのですが、そういう会にいらっしゃるお客さんが若手を育てるのだと思います。
私はなかなか早朝や深夜の企画には行けないのですが、結構賑わっているようですね。
一之輔、文菊に続く若手が今後も出てきて欲しいと思います。きっと、どぎーさんのようなお客さんが、彼らを育てるのだと思います。
また、気楽にお立寄りください。