噺の話

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ある落語会の木戸銭について、思ったこと。

盆休み前半を、越後長岡の連れ合いの実家で過ごした際、テレビでこの落語会の広告を見た。その木戸銭の高さには驚いた。

 今週末8月25日の土曜、「六代 桂文枝」は、新潟の1500席を誇る(?)大ホールで襲名披露興行をするらしい。
 会場であり、地元テレビ局とこの会を共催する新潟テルサのサイトから、イベントの概要を抜粋。「新潟テルサ」サイトの該当ページ

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三枝改メ 六代桂文枝襲名披露公演

【出演】 桂文枝   林家正蔵 桂きん枝 桂小枝 桂三風 桂文華

日付 2012年8月25日(土)14:00~

料金 全席指定 S席¥5,000 A席¥4,500
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 ちなみに、この会場は新潟市の繁華街にあるのではなく、新潟駅からバスで15分ほどの鳥屋野潟公園エリアにある。サッカー場などもある一帯だ。

 果たしてこの木戸銭で、1500席の会場は、どの程度埋まるのだろうか・・・・・・。

 そして、この落語会に行ったお客さんは、どんな思いで残暑厳しい週末の夕暮れの中、帰っていくのだろうか。

 なかなか落語会のない地域で、テレビで名前だけは売れている噺家の襲名披露公演。夏休みの終盤、もしかすると子供連れで大枚をはたいて行く家族連れのお客さんもいるのだろう。なかには、これが初の落語会という人も含まれているかもしれない。果たした、初落語体験の大人や子供のお客さんは、この落語会で「落語ファン」になるのかどうか・・・・・・。

 「新潟テルサ」のサイトには、大ホールの特徴が次のように記されている。

特徴:
ウィーンのムジークフエラインザール大ホールを念頭に入れ設計されました。
1,510席のワンスローププロセミアム形式のものであり、全国的にも余り例がなく、クラシックからポピュラー、演劇、大会などにも利用できるよう、残響可変装置を備えております。
オーケストラピット有り。



 S席5,000円、A席4,500円が、この立派な会場にふさわしいコンサートやオペラなどなら、決して高い木戸銭ではないかもしれない。しかし、あえて言うが「たかが、落語会」である。

 ちなみに、客演に売れっ子の名が並んだ9月12日の国立劇場は、一階席が8,000円、二階・三階席は6,500円。
「キョードー東京」サイトの該当ページ


三枝改メ 六代 桂 文枝 襲名披露公演

2012.9月12日(水)
桂文枝
春風亭小朝 笑福亭鶴瓶 春風亭昇太 立川談春
桂きん枝 桂文珍


国立劇場 大劇場

1階席 ¥8,000
2・3階席 ¥6,500



 国立劇場に出向く人は、他の落語会や寄席がある中で選ぶわけなので、新潟のお客さんとは、選択肢の多さが比較にならない。越後の人は、「滅多にない落語会だ、少し高いけど・・・行こう!」ということだろう。

 新潟の会について、誤解のないように補足。

  客演の方々には、何の恨みもありません!
  しかし、これだけの人数が必要なのかは疑問。
 
  木戸銭が、S席3,500円、A席3,000円なら、こんな小言は書いていません。


 しかし、ネットで調べてみると、この会場での落語会、この木戸銭が“相場”のようだなぁ。
 
 昨年3月の歌丸・小朝二人会が同じ金額。昨年10月、歌丸の芸歴六十周年記念を「笑点」メンバー三人(小遊三、好楽、たい平)で固めた落語会は、S席にお土産(湯呑、手ぬぐい、扇子)付で7,000円、A席は4,500円だったようだ。

 出演者のギャラや交通費、会場費用、チラシやチケットの印刷費、広告費用、その他諸経費。そして、予想売上から経費を引いた粗利の設定。その中のどれが、木戸銭の設定に大きな要因になっているのか、詳しく知る由もない。しかし、私は、明らかに「高い」と思う。

 実際に行かれた方は、いったいどのような感想を抱かれるのだろう。滅多にない落語会、ある意味で“ハレ”の日のちょっとした贅沢、ということで納得されているのだろうか。それとも、「高い!」と思いながらも「仕方がない」とあきらめているのか。

 今日から発売された10月の「朝日名人会」4,300円の木戸銭が、やたら安く思えてしまった。(でも行かないけど)

 こんなことを書きながら、途中でネットを調べていた。なんと、入船亭扇辰と扇辰後援会のホームぺージである「扇辰日和」に、この落語会の前日24日(金)の夜、同じ新潟市内で、雲助との二人会が予定されているのを発見。
「扇辰日和」のスケジュールのページ
 


24日(金)
18:00開場
18:30開演

新潟卸センター
納涼落語会

五街道雲助
「牡丹灯籠 お札はがし」

入船亭扇辰

入船亭辰じん

新潟卸センター
NOCホール 025−273−4181
新潟卸センター事務局 前売り
3,000円

当日
3,500円



 会場は250席ほどのようだ。この会場も新潟駅から車で15分ほど郊外にある場所だが、顔ぶれ、木戸銭、会場の程良い大きさ。この落語会なら、私が地元にいたら何とか野暮用を片付けてでも駆けつけたいではないか。

 地域の落語会もいろいろある。だから、大ホールにテレビの人気者を集めて、法外な(と私が思う)木戸銭を取る会ばかりではないようなのでホッとした。好みは人それぞれだが、私が新潟市に在住していて、この週末に落語会に行くのなら、どちらを選ぶかは明白だ。
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Commented by 佐平次 at 2012-08-21 07:52 x
お金をもらってもいかないでしょうね。
地方を馬鹿にしています。

Commented by ほめ・く at 2012-08-21 08:16 x
国立劇場を例にとると、完売の場合の総売り上げが約1200万円。ザックリ半分をギャラとすれば出演者には総額で600万円。このうち文枝
小朝 鶴瓶、談春、文珍の5人だけで各100万円で計500万円。
とすれば、およそのコスト計算は合います。
文枝ファンがご祝儀で観にいくような会ですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-21 09:08 x
たしかに、新潟の人を馬鹿にしています。
先にギャラが決まっていての木戸銭の設定なのでしょうね。
テレビ局が共催なので、広告もたくさん出すわけです。
これが初落語会の方には、「落語って、そんなもんじゃない!」と言ってあげたい!

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-21 09:09 x
なるほど、そういう計算になりますか。
顔ぶれとギャラが先に決まって、その後に木戸銭がはじき出されたのでしょうね。
噺家が贅沢な暮らしをして、長屋の噺をする時代なのかなぁ・・・・・・。
どこもかしこも「金、金、金・・・」の世の中、せめて落語の世界には、そういう光景を見たくなかったのですがねぇ。

Commented by hajime at 2012-08-21 18:06 x
以前、小朝師が著書で、「東京に噺家が350人以上いて、その誰もが平均的サラリーマンの年収を上回る収入を得ているなんてほとんどの人は知りません」と書いていました。
随分戴けるのですね。ウラヤマシイです。
私の街の師匠、小袁治師は地元で無料の落語会をよく開催してますが、新聞の販売店がスポンサーですが、前座、二つ目、真打、そして小袁治師と出ますが、
内訳はどうなってるかは知りませんが、
交通費くらいだと云う事です。

六代目文枝襲名披露の落語会の情報は「東京かわら版」にも沢山載ってますが、あまりに高いので驚いていました。
でも、去年の夏の独演会(東京)でも、
¥5000取っていましたね(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-21 18:56 x
そういえば、鶴瓶も東京の落語会の木戸銭は高いですよね。
志の輔のパルコ、行ったこともなければ行こうとも思いません。
同じ噺を20日間、というプログラムも腑に落ちないです。

ホール落語会全盛の時代、他の芸能と比較して落語への評価が高くなった、とも思えません。
八っつぁん熊さんの世界は、私は庶民の感覚で聴きたいと思います。
テレビで顔を売った噺家が、増長して自分の芸に見合わない木戸銭をふっかけていると、間違いなくしっぺ返しがあると思います。

Commented by きゅー at 2012-08-21 19:31 x
大阪から初めて書かせていただきます
いつも楽しみに読ませていただいてます。

この顔ぶれで上方落語をしてくれるのは、文華さんと、(たぶん)きん枝さんだけなので、江戸落語がお好きな人はたしかに無理ですね。

でも、テレビの人気タレント二人が各30分楽しい話をしてくれるので、母親を連れて行くなら襲名披露で5千円なら手頃かも(笑)。
そして、わかりやすい創作落語なら、満足するかもしれませんしね。

落語会ではなく、襲名興行と銘打っている分良心的かも。

表題が、あくまで一例だと重々わかっているつもりです。
失礼あれば削除願います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-21 21:26 x
貴重なコメント、ありがとうございます。
管理者のみ公開モードでしたが、返信させていただきたいので書かせてもらいます。
価格の妥当性は、それぞれの人の価値観の違いに依存するということは、よく理解できます。
六代文枝ファンで、その襲名披露公演に参加できて、他にも落語が楽しめて5,000円は高くない、という判断をする方もありえるでしょう。
あくまで、私の価値判断ということで、ご了解ください。
私は、その内容に無関係な場合は別として、コメントを削除したことはありません。
今後は、他の方の参考のためにも、コメントを頂戴する場合は、是非公開モードでお願いします^^

Commented by 明彦 at 2012-08-22 01:04 x
久々にお邪魔します。幸兵衛さんの仇敵?の襲名披露の出演者について、一言申し上げますと・・・。
桂三風師は六代文枝師の五番弟子で、師匠とはまた違った、社会派の自作を精力的に演じ続けています。風貌も芸風もなかなか骨太です。
桂文華師は先代文枝の十六番弟子、数多くの受賞に輝く古典の実力派で、いつも全身全霊の高座で爆笑か感動を提供してくれます(少し扇辰師匠に似ているかも)。
商業的な会も、こういった方々が大勢の前で演じ、知られる機会であるという一面があるような気がします。

なお鶴瓶師は関西では、後輩や弟子の小さな落語会に、よく飛び入りで出没します。
僕は2回遭遇しています。そのうち1回はちょっと寂れたスーパーの2階、木戸銭千円の会でした。

ところで、幸兵衛さんやお仲間の方々に是非見て頂きたい、上方の会が東京であります。
9月9日(日)、12時半よりお江戸日本橋亭で開かれる「花のお江戸に出没!ラクゴリラファイナル」。
笑福亭生喬・こごろう改め二代目桂南天・桂文三・林家花丸の、一門を超えた四十代同期の会。
タイトル通り、残念ながら東京公演は今回が打ち止めです。
木戸銭は喜六・清八の世界の範囲内と言える、前売二千円・当日二千五百円。
僕としては、お釣りが来るぐらいだと断言します。
予約は事務局(℡・fax共)06-6713-3082までお願いします。 

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-22 08:36 x
コメントありがとうございます。
私の“真意”について十分お察しいただいての情報ご提供と理解しております。
創作落語家としての桂三枝は評価していますし、上方落語協会会長としての実績も高いと思います。
私のこだわりは、文枝襲名を喜べないことと襲名披露において金儲け主義が露骨に見える、という点です。
五代目文枝の他の弟子の方々の芸に触れる機会になることは、たしかにプラス要素でしょうね。私も聴きたいくらいです。しかし、六代抜きでね^^
9月9日の情報、ありがとうございます。
大いに興味のある会なのですが、私は土曜の夜と日曜は落語会や寄席には行かないことにしておりますので、他の落語愛好家の方にお勧めしたいと思います。
日曜ではなけりゃぁ・・・・・・残念。

今後も上方から貴重なコメントをお寄せくださることを期待しています。

Commented by ほめ・く at 2012-08-22 11:26 x
ご紹介の「花のお江戸に出没!ラクゴリラファイナル」、是非観に行きたいと思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-22 11:58 x
さすが、ほめ・くさん!
明彦さんからご紹介していただいた甲斐がありましたね。
十年に渡って開かれていた会のようですね。
こういう会を知らなかったとは、迂闊でした。
初代桂南天は米朝も私淑していた噺家さんのようです。
二代目にも期待したいですし他の噺家さんも、ぜひ後日、生の高座に接したいと思います。
ブログでのご報告が楽しみです。

Commented by 注意力が三萬四萬五萬 at 2012-08-29 09:48 x
船徳のレスありがとうございます。
貧乏人にとっては、寄席特別興業でさえも、オアシが…。
近所の寺で、馬石、佐吉、半輔で700円とか、町屋で菊之丞2席ほか二つ目と色物で、500円(500円の木戸銭を払うと500円の商品券をもらえるので実質只)って寄席がありました。
これを考えると、小朝師、談春師、三枝などの5000円クラスって誰が行くのかいなって思います。東京会館のメシ付き落語もウン万ですもんね。それでイイっていわれりゃそれでよしですし、止めはしませんが。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-08-29 14:03 x
江戸時代、文化・文政の頃、寄席木戸銭の相場が三十二文だったようです。
一両を六万円と仮に考えると一両=四千文なので一文が十五円ですから、木戸銭は四百八十円。
その後に四十八文に上がっているようですが、それでも七百二十円。
庶民の憩いの場だったわけですね。
今日の寄席と単純比較はできません。
出演者も増えていますし、建物や人件費など維持管理費が高くなっていますからね。
それでも、私は、寄席で二千円、落語会で三千円が、庶民感覚と釣り合う木戸銭ではないかと思います。
希望的な数字、とも言えます^^

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by kogotokoubei | 2012-08-20 20:39 | 幸兵衛の独り言 | Comments(14)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛