噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

三枝の「R1ぐらんぷり」に関する発言は、公私混同ではないのか!

この記事を最初webのニュースで読んだ時は、「何を、また馬鹿なこと言って・・・・・・」とは思ったが、ブログに書こうまでは思っていなかった。SANSPO.COMの該当記事

2012.5.26 09:57
三枝、落語家鍛えてR−1決勝に

 上方落語協会の理事会と総会が25日、大阪・北区の天満天神繁昌亭で行われ、現会長の桂三枝(68)が再任された。6期目に突入する今後2年の任期では、若手育成を目標に掲げ、ピン芸人日本一決定戦「R−1ぐらんぷり」に出場する落語家をバックアップすることを明かした。

 三枝は、“R”は落語のRだと指摘した上で「これまで残念ながら決勝に残っていない。持ち時間は短いが落語家は力がある。我々もテレビでの経験を踏まえて指導したり、応援できる態勢を作っていきたい」と本気。ほかにも大喜利などを指導する方針という。

(紙面から)



朝日の記事も紹介したい。
ASAHI.COMの該当記事

(速報〉桂三枝が会長再選「R1」バックアップも
2012年5月25日13時40分

 公益社団法人上方落語協会の定期総会が25日、大阪市北区の天満天神繁昌亭で行われ、会長には6期目、10年目に入る桂三枝(68)が再選された。三枝は「(上方定席小屋の)繁昌亭もできて、公益社団法人にもなって、今年は(上方落語協会)会館もできた。ある程度、目指してきたことはできた」とし、今後は若手育成により力を注ぎたいという。

 「将来に向けて、次の世代を担う人物、落語家を作り上げていかないといけない」。三枝は、その手段の1つとして、ピン芸人ナンバーワントーナメント「R−1ぐらんぷり」をあげ「個人の自由やけど、挑戦したい言う意欲のある者がいれば、協会としてもバックアップしたい」と話した。

 というのも、02年10月に第1回大会が開かれた同ぐらんぷりは、当初、若手漫才トーナメント「M−1グランプリ」に対抗して、落語家の「R」から命名された。第1回大会は、落語家の挑戦を視野に、座布団の上でネタをする規定もあったが、持ち時間は3分と、落語に適さない環境から、ピン芸人の主戦場へと変遷していった経緯があった。三枝は「出るとすれば、枕だけとか、アイデアはある」とし、若手の挑戦を求めていた。

 またこの日、笑福亭鶴瓶の副会長など、他の役職も再任された。



 あらためてこの記事を読むと、やはり腑に落ちない。

 上方落語協会の「若手育成」の施策の一環が、なぜ「R1」なのか。

 Rが落語のRから取ったもので、当初は落語家の出演も多かったのかもしれないが、問題は「R1グランプリ」は吉本興業主催のイベントである、ということだ。
 三枝は吉本の看板芸人であるのは周知。
 しかし、上方落語協会の会長の立場で、「R1」出演勧奨の発言は、果たして妥当なのだろうか。


 上方落語協会は吉本のグループ会社ではない。

 以前に、佐藤義和さんの『バラエティ番組がなくなる日』(主婦の友新書)を紹介した。2011年1月19日のブログ

 本件に関連するので、同書で著者の佐藤さんが、“ひな壇形式”のバラエティについて次のような制作者達の問題を指摘していることを、再度引用したい。

 たとえば、6人の出演者を選ぶという場合、その人選はひとりひとり入念に行われなければならない。それが10人であっても同じことである。しかし最近のバラエティ番組は、とりあえず、そこそこのレベルのタレントを集めておけばなんとかなるといった安直さが目立つ。その典型例がひな壇形式のバラエティ番組である。(第3章)


 そして、この後に、ご自分の経験に基づく鋭い指摘につながる。

 30年前の『THE MANZAI』において演じている漫才師たちを、それ以前に浅草や花月の舞台で見た人がいても、テレビの画面で演じている漫才師と同一人物とは思わなかっただろう。それほどに、『THE MANZAI』は、出演者たちを化けさせることに成功した。私自身が、彼らの変貌ぶりに驚いたのだ。
 だからバラエティ番組において、出演者選びを安直に行うべきではないし、使い捨てにすることを前提にタレントを使うべきではない。ひと目見ただけで、素人でも与えられた役割がわかってしまうような予定調和的なバラエティ番組は、視聴者にばかにされるのがおちである。(第3章)


 どのチェンネルに合わせても同じような、あえて言えば吉本系のタレントの顔ばかりが、楽屋の内輪だけの馬鹿話をしているのを見ていれば、飽きられるのも早い。

 そして、「R1」だ。私はあの番組も、佐藤さんが指摘する「使い捨て」を前提にした“バラエティ番組”の一つと思っている。そこに“競技”としての要素は加わっていても、優勝後しばらく仕事が一挙に増えようとも、かつて『TEH MANZAI』や『花王名人劇場』のような、ライブラリーとしての存在価値のある芸の披露の場とは言えないだろう。

 私は前回の「R1」を見ていない。しかし、その後の番組やニュース、ブログなどによると、二位になった芸人の方(「ワイルドだろう~」というフレーズを繰り返す芸人さん)が上という視聴者の感想も多かったようだ。
 結果は、吉本所属芸人の審査員が最後の一票を投じて、吉本所属の漫才コンビの片割れの芸人が優勝し、非吉本の芸人が二位となった。これでは出来レースと言われても仕方がなかろう。

 その持ち時間が3分から少し長くなろうが、「R1」の現在の番組の位置づけは、一発芸、瞬間芸の延長でしかないのではないか。また、非常にテレビ的な番組であって、ラジオでは審査不可能な一人芸も多いように思う。すでに、「しゃべくりの戦い」とは言えない様相を示しているのではないのか。また、「マクラ」は本編のネタがあってこそ「マクラ」であろう。
 三枝が、どうやって鍛えるのか知らないが、「R1」が、「上方落語」の若手が覇を競うにふさわしい場とは、私には思えない。

 NHkの新人演芸大賞の落語部門の持ち時間11分だって、「芸」としてコンペするにはギリギリの時間だと思う。しかし、そこには落語に特化した若手達のしのぎ合いがあるから、見ていても楽しめるのだ。

 「M-1」がなくなった吉本において、「R1」は大事な商売道具の一つなのかもしれない。しかし、「上方落語協会」の会長が、「R1」への出演を協会が支援する、と言う背景には、落語家の成長を思う気持ちよりも、たぶんに襲名披露でも世話になる吉本への配慮が働いていると思う。

 あえて、たとえるなら、東京に日本テレビ主催で「大喜利ぐらんぷり」なるコンペティションができたとして、歌丸会長が芸術協会の若手に参戦を奨励する、とでも言うようなものではなかろうか。

 それは、長い目で落語家の育成を考えた施策などではなく、所属する吉本の番組に話題性をもたらそうとする、公私混同の発言としか思えない。自分の会社への利益誘導、と言えば大袈裟かもしれないが、吉本以外にも様々な事務所に所属する噺家を会員とする協会の長として、とてもいただけない不適切な言動ではなかろうか。
 また、上方落語協会に、「R1」に出演したいという意欲のある若手がいたのなら、その人は落語家よりも、落語の体裁をしたピン芸人を志向しているのではなかろうか。それならそれでも結構。しかし、「R1」に出演するための鍛錬が「上方落語」の上達につながるとは、到底思えない。
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Commented by hajime at 2012-05-30 23:17 x
こんばんは(^^)
この三枝師の発言は、おつしゃる通りに吉本への利益誘導の意味が強いかもしれませんね。とりあえず、何処まで本気か判りませんが、六代目襲名を控えて、しかも上方落語協会の会長の発言ともなれば、マスコミはこぞって取り上げるという目算があっての発言ですね。

後は、いかにも新作落語家だなぁ~と感じたのは、「我々もテレビでの経験を踏まえて指導したり、応援できる態勢を作っていきたい」と言う発言です。

そこには、目新しくて面白い話をテンポよく語っていけば良い。と言う思いが透けて見える様な気がします。
本来、噺家とは、お客の感じを掴み、ストーリーを知られている話を語っても、心からの笑いを取り、お客を満足させなくてはならない訳でして、決して目新しさだけを追求した笑いでは無いハズです。
古典の笑いとは、もっと人の気持ちに根ざした暖かいものであると思います。
所詮レベルの違う笑いだと私は思うのです。
幽霊の正体見たり枯れ尾花じゃありませんが、三枝と言う方が考える落語が少し判った様な気がしました。

R1なんか見るより喬太郎のビデオ見たほうが100倍も笑えます(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-30 23:51 x
こんな男が文枝を継ぐのかと思うと、正直ガックリします。

くどい位に書いてきましたが、落語作家としては認めます。しかし、噺家としてはまったく・・・・・・。
それに加えて、上方落語会会長としても、これでは。
彼の人気を頼りに仁鶴などがかついだのでしょうが、そろそろ限界でしょう。
○○協会となると、どうしても政治的な色合いがあり、芸の道に打ち込もうと思う噺家は距離を取りたがりますが、そろそろ内部から批判があってもよい時期かもしれません。
文我が、いまだに協会に所属しない理由も分からないではありません。
もし三枝本人が「R1」に参加したら、間違いなく予選で失格です!

Commented by 上方の落語愛好者です at 2012-05-31 01:53 x
こんばんは。三枝による文枝襲名の記事以来の書き込みをさせていただきます。

例えば、落語家に有利にするために、R-1挑戦者1人あたりの尺を長くするよう吉本にプレッシャーをかけます!といったことでもやるのであれば、吉本の看板タレントとしても三枝の面目躍如になるかもしれません・・・が、彼の意図はそんなところにはないでしょうなあ・・・。
短い尺でインパクトの強い表現を行うことが、いかに落語家にとってマイナスになる(=芸が荒れる)か。これは、彼自身が自ら体現していると思っています。
彼自身に、落語、そして落語家に対するリスペクトがあまり感じられないんですわ。
四代目米團治が「代書」を作り、橘ノ圓都が「加賀の千代」を作り、米朝が「一門笛」を作り、最近では三代目桂桂歌之助が「はなしか入門」というおもしろいネタを作り・・・という上方の新作落語の系譜には、落語や落語家へのリスペクトを強く感じるのですが。彼の作品には、そこまで・・・との感もあります。単純に作品としては面白いと思うものもありますし(「鯛」など)、否定はしませんが。

話が逸れました。ともかく、役職上は上方落語協会会長かもしれませんが、あまり彼に「落語」や「落語家」は語ってほしくはないと思っております。「組織運営」の手腕は認めますので、「経営」についてはガンガン語ってもらっても、個人的に気になりませんが。
こんな男が文枝を継ぐようでは、上方落語の先行きが本当に心配になります。

長くなりました。お許しくださいませ。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-31 08:25 x
お久しぶりです。
たぶん、事前に吉本と三枝の間で会話があってのことでしょうから、持ち時間を長くする位はやるでしょうね。
それにしても、若手落語家の育成の場にはなりえないでしょう。

ご紹介された上方落語の“新作”は、「はなしか入門」は聞いたことがないのですが、他の三作は十分に“古典”になり得る、落語らしい噺ばかり。どのネタも私は好きです。

吉本は、「競争」「自然淘汰」と言ったポリシーを大事にする会社のように思いますが、儲けることばかり考えているうちに、所属する芸人への指導や育成がおろそかになり、今回の生活保護騒動にもなっているように思います。
三枝は最近「上方落語への恩返し」などと言っているようですが、実態は吉本への恩返ししか考えていないのでしょうね。
かつて初代春団治や三打目円馬などが所属した吉本とは、あまりにもかけ離れてしまいました。
本当に「上方落語」への恩返しをしたいのなら、やることは他にいっぱいあると思います。まずは、落語を披露する場を削ってきた吉本に、若手が切磋琢磨できる「場」をあらためて作らせるなどを、吉本に提言するのなら、彼の味方も少し変わるのですが、無理でしょうね。

Commented by ほめ・く at 2012-05-31 10:40 x
こうした団体に会長になるには二つのタイプがあって、一つは芸を極めてトップに立つ場合と、あと政治力で会長になる場合とがあり、これはかつて東京でもそういう例がありました。
三枝は後者でしょう。
吉本も今経営が苦しくなってきているので、何とか利益をあげようと必死になっています。文枝襲名もR1発言もすべて吉本の方針だろうし、上方落語界にとっては迷惑でしかありません。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-31 11:14 x
小三治だって歌丸でさえ、噺家としても、組織の長としても相応の力量と存在感はあります。
もちろん、東京と大阪では協会の歴史も意味づけも違いますが、公的な組織の長であることには相違ありません。
米朝事務所や松竹に所属するベテランは、いったいどう思っているのでしょうね。
自らの芸の精進を優先する人は政治的な活動から身を遠ざけがちですが、このまま放っておくと協会が吉本の食い物にされないか、心配です。

Commented by 創塁パパ at 2012-06-10 08:14 x
この人は、すべて「欲得」のみ。この人が「私の履歴書」とはあほらし・・(苦笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-06-10 15:36 x
「いらっしゃ~い」と言っている相手は「金」なのでしょうか。
襲名に関する談志とのやりとりを暴露していますが、まったく美談でもなんでもなく、談志は文枝襲名には反対だったのです。そのへんを芸能マスコミは書ききれていない。吉本相手に喧嘩できる奴はいないのでしょうね。

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by kogotokoubei | 2012-05-30 21:33 | 幸兵衛の独り言 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛