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笑福亭亭松喬の復活を祝い、今後の“本格運転”を期待する!

東京の落語ファンの間では話題に上ることが稀かと思われる、上方落語家さんの“復活”のニュースを遅ればせながら紹介したい。スポニチアネックスの該当記事

笑福亭松喬 肝臓がんで入院、体重8キロ減も「はい上がった」

 肝臓がんの治療で入院していた落語家の笑福亭松喬(61)が27日、大阪市内で会見を開き、退院と病状を報告した。体重8キロ、ウエストは10センチ減ったが「崖っ縁からはい上がりました」と笑顔で復調をアピールした。

 12月の検査でがんと判明。肝門脈にがんが達し、手術不能の深刻な状態だったことを明かした。12月下旬から抗がん剤治療などで病状が安定し、4月10日に退院。笑福亭仁鶴(75)ら激励してくれた人に「いい落語をして恩返ししたい」と涙ぐみ、「がんと共存し75歳までは生きたい」と意気込んだ。今後は「通院治療しながら高座にも上がる」とし、28日には大阪市内で“試運転”と題した落語会を開く。 [ 2012年4月28日 06:00 ]


 この記事からも察することができるが、松喬(*敬称は略させていただきます)は、まだ“完全復活”とは言えないだろうが、死の淵から「はい上がった」のは間違いがない。そして、この記者会見の翌日には「試運転」と題した落語会を開催している。デイリースポーツオンラインの該当記事

笑福亭松喬、がん闘病中でも本格的活動再開

 肝臓がんで闘病中の落語家・笑福亭松喬(61)が28日、大阪市内で「緊急落語会・松喬試運転の会」を開催し、本格的に活動を再開した。

 抗がん剤治療などで徐々に回復し、今月9日に退院。久々の本格的な落語会とあって「生き返ったような気分です」とあいさつした。マクラでは40分間、病状報告を行い「最初は便秘と診断されましてん」「フィットネスに行くより、病院はやせられますで」などと病気をネタにし、芸人魂を見せつけた。(2012年4月29日)



 落語会については、ご本人のホームページの4月29日の日記に、次のように記されている。
笑福亭松喬のオフィシャルHP

市立こども文化センターでの「試運転の会」多くの方々がご来場頂き
感激でした。2週間前に急きょ決まったので宣伝も行きと届かなかったのに
開演前には150人以上が並ばれ、私が楽屋入りの時に一斉に拍手が湧き
涙が出ました。舞台ではたっぷり「闘病日記と崇徳院」を1時間20分
自信が付きました、これからは本格運転を目指します。



 「落語者」に桂まん我が出演することを書いたが、上方落語ファンの方からいただいたコメントの中に松喬のことが書かれていて、「そう言えば入院されていたはずだなぁ・・・・・・」と思い、少しググッて見たところ、うれしいことに退院し落語会まで開催されたことを初めて知った次第。

 上方落語も好きだ、などと言っているが、どうも関東に住んでいると自然と関心は薄くなるなぁ。これではいかん、と思った。落語のルーツは、やはり上方なのだ。

 昨年、9月5日と22日に、それぞれの命日である六代目松鶴、七代目松鶴(松葉)のことを書いた。
2011年9月5日のブログ
2011年9月22日のブログ

 六代目の父、五代目松鶴の存在は、上方落語においてあまりにも大きい。

 上方落語の灯が、まさに消えかかろうとしていた戦前の物資乏しい時に、『上方はなし』を刊行(通巻49号まで続いた)、自宅を「楽語荘」と名付け、若手の稽古場として開放した。昨年9月5日のブログから、少しだけ引用。
 「楽語荘」とは、自宅につけた名前であり、若手噺家の稽古場、そして“上方はなし”の勉強の場であった。
 そして、雑誌の『上方はなし』は通巻49号で資金不足で廃刊となったが、この雑誌そのものと、五代目が上方落語界において遺した功績は大きいようだ。もちろん、その子どもである六代目も、一人の噺家としての実績に加え、上方と東京の落語界との交流への貢献、そして自らの一門の育成においても、父に負けず劣らずの足跡を残したように思う。何と言っても志ん朝を精神的に支えただろう功績が大きいと、私は思っている。


 松喬(しょきょう)は六代目の五番目の弟子にあたる。上方落語協会のサイトにある六代目一門の系図には四番目に位置しているが、これは六代目の子息五代目枝鶴(しかく)が協会を破門されたため。この人は未だに消息が不明である。上方落語協会サイトの「六代目松鶴一門」の系図
 枝鶴を除くと、総領弟子が仁鶴、次は東京を地盤とし落語芸術協会に加盟している鶴光、そして福笑と続き、松喬の順。松喬の総領弟子が三喬。この師匠と弟子は、柳家さん喬、喬太郎と「喬」つながりということもあるのだろう、師匠同士、弟子同士の二人会を上方および東京で開催している。
 大阪での開催は、かつて「ワッハ上方」を主会場にしていたが、吉本興業による“漫才シフト”により、現在は、大阪市立こども文化センターを会場にすることが多い。だから、この度の松喬の「試運転」は、いわばホームグランドでの開催と言うこともできるのだろう。

 私はたまたま近所に高層マンションが建築されることになり電波状況が悪化するため、工事費無料でケーブルテレビに加入することになったので、SKY Aの「らくごくら」を楽しむことができ、松喬・さん喬二人会、三喬・喬太郎二人会をテレビではあるが何度か見ている。実は今月も昨年3月11日に大阪(やはり、市立こども文化センター)で開催された三喬・喬太郎の二人会の内容が放送されている。
SKY Aサイト「らくごくら」のページ
 この放送でも、松喬の復帰後の高座を、早く楽しみたいと思っている。

 一之輔の真打昇進披露興行のことを書く中で、一朝一門の総領弟子である柳朝が手術入院から復活したことを紹介した。今週末から始まる国立演芸場での披露興行では高座に上がってくれるようなので、大いに楽しみにしている。柳家権太楼も完全復活に近い印象を受ける。
 そして、上方のベテラン松喬の復活も、うれしい限り。六代目から直接『らくだ』の稽古をつけてもらった希少な存在であり、さん喬、喬太郎師弟との交流以外に、入門が同期の東京の噺家柳家小里ん、古今亭志ん橋との三人会も行っている。
 七代目を追贈された松葉亡き今、六代目の高座の雰囲気をもっとも醸し出している人ではなかろうか。そんな気がする。

 まだ、通院治療の日々が続きそうだが、より快復していただき、ぜひ“本格運転”の高座を期待したい。東京での開催も可能になれば、できるだけ都合をつけて生で聞きたいとも思っている。それが懇意にしているさん喬との二人会なら、なおさら楽しいに違いない。


 さて、今回から新たなカテゴリとして「上方落語」を追加した。テレビや生の高座、書籍などを含め幅広く、これまで以上に上方落語のことを書いていきたいと思っている。
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Commented by 明彦 at 2012-05-09 09:08 x
度々失礼します。早速松喬師匠を取り上げて頂き、ファンの端くれとして嬉しく思っています。
上方では「トップランナー」「大御所」と言われる存在でありながら、まだまだ東京では十分知られていないのではないでしょうか?
マスコミによる知名度はともかく、本業一筋の叩き上げで9人の一門を率いる立場であり、言動にも「今の上方では自分がしっかりしなくては」という自覚がうかがわれます。
昨年は新橋演舞場での還暦記念の会・自伝『おやっさん』の出版・大阪での5日連続独演会と、節目となる催しが続いていたのですが・・・。
とにかく息の長い活動を続けて頂きたいものです。CDもコロムビアから最近まとめて出ましたので是非。
また、「もう弟子やない、ライバルです」と折り紙つきの筆頭弟子・三喬師匠の東京独演会が、12日14時より深川江戸資料館であります。

五代目文枝師匠には、とうとう間に合わなかったのですが・・・。
三枝会長は繁昌亭を作った一点に限っても、否定出来ない功績を残されたと思います。
文枝一門は知名度の高い高弟達がよくも悪くも注目されがちですが、最近失明をカミングアウトされた文太師匠を始め、真剣に古典に取り組まれている中堅・若手も多いですよ。

Commented by 佐平次 at 2012-05-09 11:01 x
新カテゴリに期待します^^。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-09 11:55 x
明彦さんからコメントをいただかなければ、上方の状況について、あまりにも知らないまま過ごしてしまうところでした。
松喬師匠、文太師匠には、ぜひ今後のご活躍を期待しています。

三枝は、“創作落語”作家としての力量は十分に評価しています。協会会長としても貢献度は高いでしょう。
しかし、噺家としてはあまり買っていない、ということですので、ご理解のほどを願います^^
26日の米二師匠の東京の会には行く予定ですが、その前にも「上方落語」のことを何か書きたいと思っています。
今後もよろしくお願いいたします。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-09 11:58 x
プレッシャーかかるなぁ^^
枝雀のことなら、いくらでも書けそうな気がしますが、できるだけ他の一門のことや、現役の噺家さんのことを取り上げたいですね。
今年は芸協の強化年のみならず上方落語強化年にもなりそうで、忙しくなるなぁ!

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-05-09 13:52 x
三喬さんの12日の落語会、私も調べて分かっていたのですが、今週末は友人達と一泊旅行がありまして残念ですが行けないんですよ。
宴会で私が下手な落語を演じなければならないのです^^
都合を何とか合わせ、今後は上方の噺家さんの関東での落語会に行くつもりです。
少し、長~い目で、お付き合いのほどをお願いいたします。

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by kogotokoubei | 2012-05-08 15:29 | 上方落語 | Comments(5)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛