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落語協会、今秋の二ツ目昇進は年功的だが、辰じんに期待!

ここのところ、落語芸術協会について書いていたのだが、先週25日に落語協会の“二ツ目”昇進者の発表があったことを書くつもりで、つい忘れていた。
 次の四名が昇進する。落語協会HPの該当ページ
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一朝門下   春風亭朝呂久
歌之介門下  三遊亭ありがとう
市馬門下   柳亭市也
扇辰門下   入船亭辰じん

(平成24年11月上席より)
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 それぞれの入門と前座修業が始まった年月そして生年月日(今年の満年齢)は、協会HPのプロフィールによると次の通り。見事な年功的昇進。まぁ、前座から二ツ目までは、“抜擢”はなくてもよいのかもしれない。二ツ目から真打ちへの昇進とは意味合いが大きく違うだろう。

朝呂久 平成19年8月入門、平成20年4月1日より前座、昭和56(1981)年7月13日生(31歳)
ありがとう 平成19年11月入門、平成20年5月1日より前座、平成3(1991)年5月9日生(21歳)
市也  平成19年12月入門、平成20年7月1日より前座、昭和59(1984)年2月10日生(28歳)
辰じん 平成20年2月入門、平成20年9月1日より前座、昭和58(1983)年11月24日生(29歳)

 ありがとう以外は聞いたことがある。その三人について、少しだけ書いてみたい。

 何と言っても、辰じんに期待している。彼の開口一番は結構数多く聞いており、端正な高座姿は、入門仕立ての頃から気に入っていた。師匠扇辰譲りの江戸っ子の威勢のいい啖呵が好きだ。この人には、一之輔、菊六などと同様に、先輩の二ツ目を追い越して真打ち昇進の可能性が十分にあると思っている。

 らくだ亭の開口一番などで聞いている朝呂久にも、その体の大きさのみならず大器晩成の予感がする。体を揺らし汗をかきながら“一所懸命”という感じの高座には好感が持てる。今時点において“切れ味”では辰じんに劣るが、先輩に一之輔がいることもあり、今後十分に化ける可能性があると思う。

 最後の市也。私のブログをご覧の方は、彼の高座への小言を数多く見かけられたかと思う。以前は期待させる部分もあったのだが、基礎が十分に出来ていない印象。先日も“ざま昼席落語会”で聞いて酷評したのだが、「滑舌」が悪すぎる。少し“噛む”程度なら許せるが、肝腎の科白がはっきり聞こえない。ぜひ、基礎づくりから改めて精進してもらいたい。


 とにかく、辰じんに期待。昨年2月、喬太郎・文左衛門・扇辰の会で聞いた『道具屋』などは、ここ数年のこの噺でベスト3に入る出来だった。2011年2月16日のブログ
 しかし、それ以来、なぜか辰じんを聞いていないことに気がつく。どうしてか・・・・・・。扇辰の出る会にもっと行かなきゃだめなのかもしれないし、寄席は私は末広亭中心だが、どうも鈴本への出演が多いようだ。また、彼の実力を認める先輩から地方の落語会の開口一番を頼まれることも多いのかもしれない。いずれにしても、二つ目昇進の後は、意識的に辰じんを聞きたいと思う。

 “小三治改革”が続くのであれば、順調に精進を重ねて、あと六年、菊六と同じ入門から十年で真打ち昇進の可能性すら秘めている、そんな器だと思っている。二ツ目になれば、寄席への出演機会はめっきり減るだろうが、楽屋仕事から解放されるので、先輩たちの落語会での開口一番には、今まで以上に声がかかりそうな気がするし、きっと小さな会場での勉強会なども数多く行うはず。古今亭志ん輔が支援している“たまごの会”のメンバーにもなっているようだ。1月29日の古今亭志ん輔「日々是凡日」ぜひ、今後追いかけて、そして応援してみたい人だ。

 余談だが、辰じんの師匠扇辰と同じ年に入門し前座時代の苦労をともにした喬太郎は、弟子をとらないなぁ。自分のことに集中したいのかもしれないし、寄席も、ホールでの落語会も、そして学校寄席なども数多くこなしているから、弟子をとる余裕はないのかもしれない。しかし、先日紹介したWOWOWの番組でも本人が語っていた“古典回帰”をし、より自分の芸を磨くには、弟子をとることも一つの方策のように思う。人に教えることで自分が勉強することって、結構多いからね。しかし、あの番組で、「古典は7~8年遅れている」と言っていた師匠さん喬が、弟子をとることを許さない、ということも考えられる。これは、まったくの邪推。


 さて、辰じんのことに戻る。この人が二ツ目で飛躍して、どんどん上手く、そして大きな器になって先輩の一之輔や菊六、朝太たちを脅かす存在になって欲しい。一之輔や菊六のことも結構このブログで書いてきたつもりだが、これからは辰じんのことを書く機会も増やしたいと思っている。“青田買い”を煽るわけではないが、まだご存知でない方には、ぜひお聞きいただきたい若手の有望株です。
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by kogotokoubei | 2012-01-30 16:41 | 落語協会 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛