噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

WOWOW 「落語家・柳家喬太郎~やっぱり噺が好き」、を見て思う。

WOWOWの「ノンフィクションW」で6日の夜10時から放送された、“柳家喬太郎を追っかけた90日間”、という番組を見た。WOWOWサイトの該当ページ
 有料チャンネルの番組について書くのは気が引けるのだが、以前にこのチャンネルでしか見たことのない志乃輔のパルコのことを書いた2010年3月23日のブログ前科(?)もあるので、許していただこう。

 ちなみに、1/8(日)午前11:00と1/16(月)深夜0:00から再放送されるので、見逃した方はご覧のほどを。

 イントロで昇太や鶴瓶が喬太郎を絶賛するなど、いろいろな映像の後にSWAの解散落語会があり、プロフィール紹介。その後、よみうりホールでの『道灌』。
 「柳家と立川」という企画で9月に行われた談笑との二人会において二席目(トリ)のネタに前座噺『道灌』を敢えて選んだというもの。この『道灌』について、本人は終演後に楽屋で落ち込んでいる。出来に満足できなかったようだ。実際に、この会のことを書かれた方のブログを以前読んだが、噛む場面も多く出来栄えは今ひとつだったようだ。

 その会からしばらくして、喬太郎の言葉。
 「せっかく落語家になったんだから・・・いっぱい落語をやりたい」
 
 よみうりホールでの会のすぐ後にあった前進座での親子会の楽屋(と思しき場)で、師匠さん喬が語った言葉が、重かった。
 「二ツ目の頃からちやほやされて・・・苦労をしていない」
 「古典落語に関しては・・・他の人に七~八年遅れている」

 さん喬がこのように思っているのは、私は意外だった。そして、さん喬の言う“他の人”が誰を指しているかを想像し、白酒や三三をイメージした。

 では、喬太郎本人は、どう思っているのか。こんな言葉が語られた。
 「基礎は古典落語・・・基礎のやり直しをしたい」
 「前座とは言わないけど、二ツ目さんに戻るつもりで・・・」
 「それでないと・・・将来だめになると思う」
 
 喬太郎自身の危機感も、結構深い。そして、この人は分かっている。

 この後にラジオ番組のDJシーンや学校寄席などの様子、末広亭での主任口演などなどが続くが、もっとも楽しかったのが昇太と飲んでいるシーン。これ以上は再放送を期待する人のために伏せておこう。

 古典と新作の両方であれだけの高座を演じることのできる当代の噺家は、喬太郎以外に見当たらない。彼の実力、センス、個性などは私が言うまでもなく飛び抜けている。
 しかし、私は喬太郎の古典が好きだし、もっと演じて欲しいと思っている。この番組の喬太郎の言葉から、これからしばらくは期待できるかもしれない。
 また、ここ数年、彼が迷いがあるようにも見受けたが、この番組で、その悩みのほんの一部を覗くことができたような気がする。彼が目指す落語家、高座でかけたい噺などについてもいくつかヒントがあった。

 今後も喬太郎をしっかり聞きたい、と思わせた好企画だった。
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Commented by ほめ・く at 2012-01-07 13:56 x
wowwow残念ながら我が家のTVでは映りませんが、この記事で十分なような気がします。
喬太郎は2000年の真打昇進から2007年まで昇り続けてきましたが、その後は明らかに停滞しています。
このままではファンから、「あの時が旬だったね」などと言われかねません。
そういう危機感が師匠や本人が共有できているなら、もう一度ギアを入れ直してくるでしょう。
この記事を拝見して、少し安心しました。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-07 18:40 x
書くか否か少し迷ったのですが、ほめ・くさんのコメントを拝見し、書いて良かったと思っています。
文中で、よみうりホールでの『道灌』の内容として参考にさせてもらったのは、もちろん、ほめ・くさんのブログです。
今年、チケット争奪戦に今まで以上に参戦し(?)、喬太郎を少し意識して聞こうと思っています。

Commented by mama at 2012-01-07 20:35 x
私もさん喬師匠の言葉を意外に感じました。喬太郎が悩んでいたときに師匠から「好きなようにやれ」と言われて吹っ切れたという様なことを、以前話していましたから。
でも2010年に喬太郎を初体験した私は、この人の噺に(「初音の鼓」以外は)あまり魅力を感じていないのです。「アウェー」という言葉を彼はたまに使いますが、自分で「アウェー」の空気にしているように感じたりもします。きっちりした噺を聴きたいな。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-07 21:58 x
 「アウェー」感覚を過剰に抱いているのは、喬太郎本人なのでしょうね。
それだけ、「古典」を演じている時に「新作」期待の客のこと、「新作」の時には「古典」派の客の思いを意識するのかもしれません。
 そういう意味では、まだ“吹っ切れて”いないのでしょう。
 昨年は『錦の袈裟』、一昨年は『うどん屋』に喬太郎の底力を見たようなき気がします。古典本寸法は、決して悪くない、いや、白酒や三三も及ばないものがあります。
 今年は、昨年以上に喬太郎を聞いてみようと思っています。

Commented by 創塁パパ at 2012-01-09 16:12 x
いつでも、できると思う。いまこそ、古典にいどむキョンキョンが見たいですね(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-09 19:23 x
今年は「古典の喬太郎」、期待できるかもしれませんよ。

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by kogotokoubei | 2012-01-06 22:15 | テレビの落語 | Comments(6)

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by 小言幸兵衛