噺の話

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「落語研究会スペシャル『追悼 立川談志さん』」(12月30日放送)を見て思う。

BS-TBSで12月30日に放送された「落語研究会スペシャル『追悼 立川談志さん』」の録画を見た。BS-TBSサイトの該当ページ  
 国会議員時代である昭和48(1973)年の高座『鉄拐』よりも、昭和41(1966)年に余興として行われたであろう、師匠小さん・談志・小三治(当時、さん治)の三人による『蒟蒻問答』が、珍しくもあるし、お三方の若々しい映像と芸が楽しかった。師匠小さんが51歳、談志が真打昇進から三年経た30歳、当時まだ二ツ目の小三治(さん治)は26歳という若さ。
 蒟蒻屋の六兵衛を師匠小さん、六兵衛の所に転がり込んだ政五郎役を談志、六兵衛を禅僧と思い込み問答を挑む越前永平寺の僧(沙弥托善)に小三治が扮し、三人での落語が、何とも貴重な映像だった。
 リレー落語で上と下を二人の噺家が演じることは今でも時折行われるが、同時進行の高座を三人で役割分担して演じるというのは珍しいし、この三人が演じたのである、出来が悪かろうはずがない。

 45年前の二十代の映像を挟んで、インタビューで登場するのが、現在の小三治。小三治が、談志を、特に小三治が前座当時、二ツ目時代の談志を思い出して、絶賛していた。「志ん朝よりも・・・・・・」と言う言葉には、ちょっと抵抗があったが、考えれば、入門したての郡山剛蔵少年の目の前に、談志はいたのだ。当時二ツ目の柳家小ゑんは、年齢は小三治の三つ上だが、入門では七年先輩。しかも、すでに若手落語家のホープとして周囲も実力を認め将来性を高く買われていた存在だったわけだ。前座時代の小たけにとっては、あまりにも遠い、そして光輝く存在だったであろう。

 談志が亡くなるまでは、落語協会の幹部という立場上もあって本音を吐露できなかったであろう心の底の思いを、過去を振り返りながら訥々と語る小三治の姿から、その感慨の深さを察することができる。教員である親の反対に抗して入門した若き日、間近で見て圧倒されていた天才的先輩談志への羨望の眼差しを、思い浮かべることができる。

 三人落語の行われた昭和41年は、ちょうど談志の発案で「笑点」の放送が始まった年である。ある意味で、もっとも才気に溢れエネルギッシュな時期と言えるかもしれない。その三年後、さん治は十七人抜きで真打に昇進し、小さんへの出世名と言える小三治を襲名することになる。*六代目小さん、継いで欲しかったなぁ・・・・・・。 
 同門のすぐ近くにいる天才肌の談志、そして古今亭で輝きを放つ“プリンス”志ん朝を遠くに見上げながら、達者な先輩達に追いつこうと小三治が必死にもがいていたのは、間違いがない。

 懐かしい小三治の映像と現在のインタビューを見ながら、だからこその、今春の一之輔の抜擢でもあるのかもしれない。そんなことやあんなことを思わせる番組だった。 


p.s.
TBSチャンネルで、2月5日に放送されるようです。TBSチャンネルのサイトの該当ページ
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Commented by hajime at 2012-01-04 19:17 x
あけましておめでとうございます。
旧年中はコメント欄にお邪魔させて戴き、有難う御座いました。本年も宜しくお願い致します。

その番組は見ませんでしたが、幸兵衛さんの記事を読ませて戴き、納得するモノがありました。今まであえて避けていた感じがしたのですが、公式のコメントを読んでも少し覗えましたが、思いの丈を話たのですね。(^^)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-04 19:48 x
あけましておめでとうございます。
旧年中は、数多くのコメントを、本当にありがとうございました。
特に、3.11以降、いろいろ悩みながら書き続けたブログについても、有り難いお言葉をいただいたことは、忘れません。
この番組、テーマは談志でしたが、私にとっては「三人落語」と、途中の小三治の言葉の重さが残りました。
入門当時の小三治、二十代の若者が右も左も分からない時、それも異質の文化の世界に入り込んだ時に感じたものは大きかったと思います。
そういう“あの時”の思いや経験、どんどん忘れてしまいますよね。そういう意味で、小三治会長には、まだまだ元気で後輩達の先頭を走って欲しい、と思います。

今年も、よろしくお願いします。

Commented by 佐平次 at 2012-01-04 21:44 x
談志の考えていたことはなんだったのか、いちど公開討論をしてみたかったと最後に冗談めかして言ったのが印象に残りました。

Commented by mama at 2012-01-04 23:49 x
「落語研究会」の再放送がまとまってあったのは録画したのに、この番組だけ見逃しました。
小三治は独演会でも、談志への思いを、言葉少なに語っていました。マスコミが言うような単純なものではないと。
大名人たち、そして志ん朝や談志の身近にいて、騒動も目の当たりにして・・あの時代と今をつなぐ貴重な存在として、後の世代をしっかり育てて欲しいです。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-05 09:14 x
確かにどんな思いだったのかは気になりますが、公の場では、たぶん本音は出ないようにも思います。
それぞれ多くの弟子や後輩を配下に持つ身では、一個人のセンチメンタルな感慨は隠されそうな、そんな気がします。
二人っきりの会話になれば、ポロッと漏れる言葉もあるんでしょうね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-05 09:22 x
あけましておめでとうございます。
こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします。
噺家の後輩や弟子達に小三治から伝えて遺して欲しいことも多いし、落語愛好家にとっても、小三治に語って欲しいことって、あまりにも多いですよね。
昭和14年12月生まれ、まだ72歳になったばかり。これからも長生きしてもらい、“小言”も一杯言ってもらいたいと思います。

Commented by 創塁パパ at 2012-01-05 12:14 x
もったいない。見逃しました(苦笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-05 13:27 x
それも“縁”ということで・・・・・・。
年末に家を空ける直前のチェックで発見し予約ができた番組で、ラッキーでした!
今後、きっと小三治がマクラなどでいろいろと語ってくれそうな、そんな気がします。
本にでも書いて欲しい、とも思いますね。

Commented by 創塁パパ at 2012-01-05 16:53 x
2月、やるそうです(笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2012-01-05 17:09 x
それは良かった!
忘れず録画のほどを^^

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by kogotokoubei | 2012-01-04 15:13 | テレビの落語 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛