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今年のマイベスト十席 -その壱-

さて、いろいろあった今年も、恒例(?)のマイベスト十席を選ぶ時期となった。
 明日まとめて書こうと思っていたが、今年の候補作を振り返っていたら、とんでもない分量になりそうなので、まず「その壱」として書くことにした。それは、明後日(30日)からミミー、ユウと一緒に旅行と里帰り(連れ合いの実家へ)の予定のため、明日29日までに書く必要があったことも、理由の一つである。

 今年行った落語会と寄席の数は、昨夜日付変更線を越えて帰宅した末広亭を含め、偶然にも昨年と同数で、赤穂浪士の討ち入りみたいな数の四十七。定席寄席は、末広亭ばかり初席を含め六回。結果として、末広亭で始まり、末広亭で締めとなった一年。
 後で探しやすいように候補を朱書きしていた効果もあり、リスト化は結構楽ではあった。しかし、選ぶのは大変だ。
*「大変だったら、やめりゃあいいのに」、という“ツッコミ”を聞き流して、ブログは続く・・・・・・。
 
 選考作業の前に、“別格”扱いの二席。「ますますお元気で賞」ということでご紹介。

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桂小金治『渋酒』、および、あのサプライズ発言。
:桂文我 極彩色高座賑 第五幕-其の二- 国立演芸場 9月29日
2011年9月30日のブログ
今年のマイベスト十席 -その壱-_e0337777_11080832.gif
桂春団治『お玉牛』
:第七回 落語 東へ西へ 赤坂区民ホール 12月21日
2011年12月22日のブログ

 昨年もこのお二人の高座を別格としたが、やはり今年もお二人は、私ごときがランキングの対象などにするのはおこがましく、その場に居合わせただけで幸せ、という特別の高座だった。
 小金治さん(落語家として真打ちになられる前に映画界に転出されたので、残念ながら“師匠”とは呼べない)の、あのサプライズ発言には、座布団に座ったままの文我も、会場の我々も一瞬“絶句”だった。
その後どのように過ごされているか分からないが、高座に上がらなくても、元気な姿に、また是非お会いしたいものだ。
 三代目の『お玉牛』には、本当に感心し、爆笑し、圧倒された。お玉ちゃんも可愛いんだ、三代目が演じると。あの高座こそが、「名人芸」なのだと痛感した珠玉の時間だった。来年も、ぜひこの会には行きたい。

 さて、別格二席を棚に祭って(?)、他の候補を並べてみる。六月までの「上期」と七月以降の「下期」では、二十一と十八で、ほぼ同数。その顔ぶれは次の通り。
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<上期(1月~6月)>
(1)瀧川鯉昇『二番煎じ』
:睦会 ~扇遊・鯉昇・喜多八 三人会~ 横浜にぎわい座 1月11日

(2)三遊亭兼好『蛙茶番』
(3)桂かい枝『天王寺詣り』
:西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月14日

(4)入船亭扇辰『明烏』
:如月の三枚看板 喬太郎・文左衛門・扇辰 銀座ブロッサム 2月16日

(5)桃月庵白酒『火焔太鼓』
:桃月庵白酒独演会 県民ホール寄席 神奈川県民ホール(小ホール) 2月23日

(6)入船亭扇辰『徂徠豆腐』
(7)白酒『幾代餅』
:通ごのみ 扇辰・白酒二人会 日本橋社会教育会館 2月25日

(8)柳家小満ん『盃の殿様』
(9)小満ん『夢金』
(10)小満ん『景清』
:弥生の独り看板 柳家小満ん (雪月花の夕べ) 東京芸術劇場 3月1日

(11)柳家花緑『蜘蛛駕籠』
:第六回 大手町落語会 日経ホール 4月9日

(12)桂平治『禁酒番屋』
(13)柳家喬太郎『錦の袈裟』
:桂平治独演会 日本橋社会教育会館ホール 4月18日

(14)三遊亭兼好『締め込み』
(15)瀧川鯉昇『時そば』
:シブヤ落語会~兼好 朧月の会~渋谷区 大和田伝承ホール 4月27日

(16)古今亭志ん輔『幾代餅』
:国立演芸場  五月中席 5月14日

(17)春風亭一之輔『粗忽の釘』
:第3回 ハマのすけえん 横浜にぎわい座(のげシャーレ) 5月20日

(18)柳家小満ん『花見小僧』
:第36回 人形町らくだ亭 通し口演『おせつ徳三郎』 日本橋劇場 6月8日

(19)桃月庵白酒『化け物使い』
(20)柳家権太楼『青菜』
:第七回 大手町落語会 日経ホール 6月11日

(21)柳家小三治『馬の田楽』
:新宿末広亭 6月下席 夜の部 6月23日

<下期(7月~12月)>
(22)柳家三三 『嶋鵆沖白浪』第三夜の壱
(23)柳家三三 『嶋鵆沖白浪』第三夜の弐
:柳家三三 嶋鵆沖白浪 第三夜 横浜にぎわい座 7月7日

(24)柳家三三 『嶋鵆沖白浪』第四夜の弐
:柳家三三 嶋鵆沖白浪 第四夜 横浜にぎわい座 8月5日

(25)桃月庵白酒『千両みかん』
:白酒ばなし 横浜にぎわい座 8月9日

(26)五街道雲助『お初徳兵衛浮名桟橋』
(27)古今亭志ん輔『船徳』
:第37回 人形町らくだ亭 それぞれの徳兵衛 日本橋劇場 8月22日

(28)瀧川鯉昇『質屋庫』
:通ごのみ 鯉昇ひとり会 日本橋社会教育会館ホール 9月2日

(29)古今亭志ん丸『鰻の幇間』
:あさひ亭まねき寄席 三三・志ん丸 サンハートホール 9月24日

(30)桂文我『宿屋仇』
:桂文我 極彩色高座賑 第五幕-其の二- 国立演芸場 9月29日
*桂小金治『渋酒』とハプニング

(31)入船亭扇辰『三井の大黒』
:ざま昼席落語会 扇辰・菊志ん ハーモニーホール座間 10月8日

(32)柳家三三  『三枚起請』
:柳の家三人会 グリーンホール相模大野 10月29日

(33)立川談春 『庖丁』
:新文芸坐落語会 看板と若手たち③ 11月2日

(34)柳家喜多八 『長屋の算術』
:喜多八膝栗毛 秋之声 博品館劇場 11月7日

(35)古今亭志ん輔 『幾代餅』
:志ん輔三夜 第三夜 国立演芸場 11月15日

(36)桃月庵白酒 『転宅』
:紀伊國屋寄席 紀伊國屋ホール 11月21日

(37)柳家権太楼 『笠碁』
:ちがさき寄席 茅ケ崎市民文化会館 11月23日

(38)桃月庵白酒『景清』
:第24回 白酒ひとり 国立演芸場 12月12日

(39)柳家さん喬『棒鱈』
:新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月27日
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 眺めているだけで、それぞれの会のことを思い出し、結構時間がたつのを忘れてしまうが、そんな呑気なことは言ってられないなぁ。嬉しい苦労(?)が、これから始まる。


 一人の噺家からは一席に絞る、という自ら決めたルールに基づき、まず複数リストアップされた人の高座を一つに絞る。
 複数の高座がリストアップされたのは、小満ん、権太楼、志ん輔、鯉昇、扇辰、白酒、三三そして兼好の八名。それぞれの噺家さんのノミネート(?)は次の通り。

小満んは次のような内容。(同じ会から三席というのも珍しい。しかし、すべて良かったんだよ、本当に。)
①『盃の殿様』
②『夢金』
『景清』
:弥生の独り看板 柳家小満ん (雪月花の夕べ) 東京芸術劇場 3月1日
④『花見小僧』:第36回 人形町らくだ亭 通し口演『おせつ徳三郎』 日本橋劇場 6月8日
 この中では、震災前、あの3月1日の素晴らしい会のトリネタである『景清』を選びたい。所要時間は20分余りだったが、最初の師匠であった文楽譲りの見事な高座を思い出す。

権太楼は次の二席。
①『青菜』:第七回 大手町落語会 日経ホール 6月11日
『笠碁』:ちがさき寄席 茅ケ崎市民文化会館 11月23日
 迷わず、まだ記憶も新しい『笠碁』を選択。当初3月12日に予定されていた会の仕切り直しだったが、権太楼ワールドは健在だった。地域落語会での権ちゃんは凄いのだ。

志ん輔は次の三つの高座。
①『幾代餅』:国立演芸場 五月中席 5月14日
②『船徳』:第37回 人形町らくだ亭 それぞれの徳兵衛 日本橋劇場 8月22日
『幾代餅』:志ん輔三夜 第三夜 国立演芸場 11月15日
 三夜”の『幾代餅』を選びたい。師匠没後十年の節目に、その“呪縛”から解放された思いでの落語企画の千秋楽の高座には、肩の力が抜けた新たな志ん輔の姿を見た。

鯉昇は次の三席。
①『二番煎じ』:睦会 ~扇遊・鯉昇・喜多八 三人会~ 横浜にぎわい座 1月11日
②『時そば』:シブヤ落語会~兼好 朧月の会~渋谷区 大和田伝承ホール 4月27日
『質屋庫』:通ごのみ 鯉昇ひとり会 日本橋社会教育会館ホール 9月2日
 悩ましいが、『質屋庫』を選ぶ。東京の噺家さんではこの人と権太楼でしか聞いたことがないが、二人とも枝雀への思い入れを感じる。この日の鯉昇の高座は、あくまで彼のネタとして存在感があった。

扇辰は次の三席。
①『明烏』:如月の三枚看板 喬太郎・文左衛門・扇辰 銀座ブロッサム 2月16日
『徂徠豆腐』:通ごのみ 扇辰・白酒二人会 日本橋社会教育会館 2月25日
③『三井の大黒』:ざま昼席落語会 扇辰・菊志ん ハーモニーホール座間 10月8日
 『徂徠豆腐』が秀逸だった。ブログにも書いたが、このネタに関しては、やや演出過剰な志の輔よりも、私はこの人を買う。あの冷奴を食べる仕草を思い出すなぁ。

白酒は次の六席。
①『火焔太鼓』:独演会 県民ホール寄席 神奈川県民ホール(小ホール) 2月23日
②『幾代餅』:通ごのみ 扇辰・白酒二人会 日本橋社会教育会館 2月25日
『化物使い』:第七回 大手町落語会 日経ホール 6月11日
④『千両みかん』:白酒ばなし 横浜にぎわい座 8月9日
⑤『転宅』:紀伊國屋寄席 紀伊國屋ホール 11月21日
⑥『景清』:第24回 白酒ひとり 国立演芸場 12月12日
 数では最多ノミネート。それだけ白酒の落語会に行っている、ということも言えるのだが、ハズレが少ないとも言ってよいだろう。
 これは迷う。それぞれの高座が、それぞれに味わいがあって、良いのだ。
 横浜の熟練落語愛好家であふれる会場を沸かせた『火焔太鼓』か、古今亭のお家芸を大爆笑ネタにした『幾代餅』か、それとも、人使いの荒い隠居と使用人の杢助、隠居と化け物達とのやりとりが見事だった『化け物使い』、はたまた先日聞いたばかりの驚きの『景清』・・・・・・。
 悩みに悩んだ挙句、『化け物使い』を選ぶ。これこそ落語の世界、という噺そのものの魅力を十分に引き出した高座だった。当日のプログラムのことなどを巧みにアドリブで挟んだ、この人のセンスの良さも含めた選択である。

三三は、次のような内容がリストに上がった。
①『嶋鵆沖白浪』第三夜の壱
②『嶋鵆沖白浪』第三夜の弐
:嶋鵆沖白浪 第三夜 横浜にぎわい座 7月7日
『嶋鵆沖白浪』第四夜の弐
:嶋鵆沖白浪 第四夜 横浜にぎわい座 8月5日
④『三枚起請』:柳の家三人会 グリーンホール相模大野 10月29日
 もちろん『嶋鵆沖白浪』の中から選ぶことになるのだが、7月の第三夜も良かったが、あの部分には『大坂屋花鳥』として参考にすべき馬生の音源などもある。
 そういった意味では、三三が新たに作りあげた第四夜の後半(『島抜け』と題しても良いだろう)を選ぶ。貴重なバイプレーヤー役の玄若の登場や、「船幽霊」が登場する場面の太鼓と三味線の鳴り物入りで怪談じみた演出などが、高座を立体的にさせていたし、ぜひ、この部分だけでも一席の高座として今後かけて欲しいという期待を含込めた選択。

兼好は次の二席。
①『蛙茶番』:西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月14日
『締め込み』:シブヤ落語会~兼好 朧月の会~渋谷区 大和田伝承ホール 4月27日
 迷わず『締め込み』を選択。泥棒が可笑しかったこと。マクラも含め会場を大いに沸かせた。この人の滑稽噺の冴えは凄いものがある。しかし、来年は人情噺の大ネタにも挑戦して欲しい。
 
 複数の高座がリストアップされた八名について各一席(二十七席を八席に)絞ったわけだが、あらためて、マイベスト十席の候補を時系列に並べてみる。ちょうど二十席、ということになった。
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(1)桂かい枝『天王寺詣り』
:西のかい枝・東の兼好 横浜にぎわい座 2月14日

(2)入船亭扇辰『徂徠豆腐』
:通ごのみ 扇辰・白酒二人会 日本橋社会教育会館 2月25日

(3)柳家小満ん『景清』
:弥生の独り看板 柳家小満ん (雪月花の夕べ) 東京芸術劇場 3月1日

(4)柳家花緑『蜘蛛駕籠』
:第六回 大手町落語会 日経ホール 4月9日

(5)桂平治『禁酒番屋』
(6)柳家喬太郎『錦の袈裟』
:桂平治独演会 日本橋社会教育会館ホール 4月18日

(7)三遊亭兼好『締め込み』
:シブヤ落語会~兼好 朧月の会~渋谷区 大和田伝承ホール 4月27日

(8)春風亭一之輔『粗忽の釘』
:第3回 ハマのすけえん 横浜にぎわい座(のげシャーレ) 5月20日

(9)桃月庵白酒『化物使い』
:第七回 大手町落語会 日経ホール 6月11日

(10)柳家小三治『馬の田楽』
:新宿末広亭 6月下席 夜の部 6月23日

(11)柳家三三 『嶋鵆沖白浪』第四夜の弐
:柳家三三 嶋鵆沖白浪 第四夜 横浜にぎわい座 8月5日

(12)桂文我『宿屋仇』
:桂文我 極彩色高座賑 第五幕-其の二- 国立演芸場 9月29日

(13)五街道雲助『お初徳兵衛浮名桟橋』
:第37回 人形町らくだ亭 それぞれの徳兵衛 日本橋劇場 8月22日

(14)瀧川鯉昇『質屋庫』
:通ごのみ 鯉昇ひとり会 日本橋社会教育会館ホール 9月2日

(15)古今亭志ん丸『鰻の幇間』
:あさひ亭まねき寄席 三三・志ん丸 サンハートホール 9月24日

(16)立川談春 『庖丁』
:新文芸坐落語会 看板と若手たち③ 11月2日

(17)柳家喜多八 『長屋の算術』
:喜多八膝栗毛 秋之声 博品館劇場 11月7日

(18)古今亭志ん輔 『幾代餅』
:志ん輔三夜 第三夜 国立演芸場 11月15日

(19)柳家権太楼 『笠碁』
:ちがさき寄席 茅ケ崎市民文化会館 11月23日

(20)柳家さん喬『棒鱈』
:新宿末広亭 12月下席 夜の部 12月27日
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 さて、この二十席を、半分の十席に絞るわけだ・・・・・・。まるで他人事のように言っているが、誰あろう、小言幸兵衛、私が決めなくはならない。

 この続きは、明日(29日)ということで、本日はお開き。*ここからも苦闘は続くのである。
Commented by 創塁パパ at 2011-12-29 01:31 x
もう、ここまでまとめている。すごい。私はそのレベルに達する前に
整理も出来ていない(苦笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-29 10:50 x
リストだけは、折を見て作っていたので、そんなに大したことではないのです。
そのリスト作りが大変ではありますが・・・・・・。

よっしーのベストテンも是非拝見したく思います!

Commented by 佐平次 at 2011-12-29 14:18 x
今年は何席かはご一緒できましたね。わたしはもう今となってはすっかり忘却の彼方ですが。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-29 21:33 x
ようやく、さきほど十席に絞れました。
末広亭のさん喬、権太楼も良かったんでしょうね^^

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by kogotokoubei | 2011-12-28 19:57 | 寄席・落語会 | Trackback | Comments(4)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛