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落語家をジャズプレーヤーに、やや強引に譬えてみたら・・・・・・。

最近、落語仲間でジャズでも趣味の合うYさんと楽しいお酒を飲んだり、今話題のジャズピアニスト上原ひろみが桂南光のファンで南光もジャズが好きらしいことなどを知って、落語とジャズで何か書こうと思っていた。
 北村英治が八代目三笑亭可楽のファンだったことは結構有名な話。談志はディキシーランドが好きだった。他にもジャズプレーヤーで落語ファンも多いし、志ん朝をはじめ落語家でジャズ好きも多い。

 そこで(何が“そこ”なのか?)、落語家をジャズプレーヤーに、やや強引に譬えててみようと思った次第である。
 実は、昨年3月10日のブログで、『落語を聴くなら 古今亭志ん朝を聴こう』『落語を聴くなら 古今亭志ん朝を聴こう』という本を紹介した時、同書の志の輔の話を引用してから少し発展させて、次のように書いたことがある。
2010年3月10日のブログ

-------------------2010年3月10日のブログから-------------------
立川志の輔の章から、少し長いが引用。

 確か地方の落語会でご一緒した時なんですが、驚いたのは、志ん朝師匠がいらっしゃるだけで、楽屋がパーッと明るくなったこと。
 志ん朝師匠は、おかみさんと楽屋で何ごとか話してたんですけど、居場所が見つからなくてうろうろしていた私にふと気づいて、「ねぇ志の輔さん、お弁当あるからさ、こっちぃ来ておあがんなさいよ」って声をかけて下さった。
「わー、志ん朝師匠がわたしの名前を呼んで下さった」って、もうまるでジャニーズのファンのような気分でした。
 そして、驚いたことに、その声がもう高座そのままだったんです。
 志ん朝師匠は落語の時だけ、ああいう口調になるわけじゃない。
 普段の会話からしてもう、人が心地よいと感じる口調なんです。
 しかも、どんな言葉も落語の台詞に聞こえるんです。
 そういう音、リズム感が体中から出てたんです。
 志ん朝師匠って、やっぱりミュージシャンなんだ、って、その時改めて確信しましたね。
 私の知人で、大の落語ファンのジャズ・ミュージシャンがこんな風にたとえてくれました。
 志ん生支師匠が、チャーリー・パーカー。
 我が師匠の談志は、マイルス・デイヴィス。
 そして、志ん朝師匠はビル・エヴァンスだよ、と。
 ついでに、私のこともたとえてくれたので、言っていいですか?
 本当にいいですか?(笑)
 ハービー・ハンコックですって。うれしいー、ははは。


 ジャズ・ミュージシャンのたとえは、志ん生のバード、談志のマイルスと管楽器できて、なぜ志ん朝でピアノになるの?管で揃えるなら、私なら迷うことなく志ん朝さんはクリフォード・ブラウンだ。たとえば、「チェロキー」のノーブレスのアドリブ・ソロのような、凄くて美しくて心地よいメロディー。マイルスならミュートを使いそうなバラードもオープンで泣かせる技術、まさに志ん朝落語に通じると思う。ビル・エヴァンスねぇ・・・・・・。もしピアノで揃えるとして、志ん生がモンク、談志がキース・ジャレット、そして志ん朝がビル・エヴァンスときて、まぁそれもあるかな、という感じ。金管・木管でたとえるなら、バード、マイルス、そしてブラウニーでしょう。人によっては異論もあるでしょうが、志ん朝さんはブラウニー。
そうそう、これはジャズのブログじゃなかった・・・・・・。そのうち、ジャズと落語についても書こうとは思っている。
-------------------------------引用ここまで-------------------------------

 私のジャズの好みは、1950年代から60年代前半に活躍した木管と金管、要するに“ラッパ”のジャズプレーヤーだが、昨年3月も書いた次の組み合わせは変らない。その“理屈”も簡単に添える。

古今亭志ん生  —  チャーリー・パーカー
:飲む・打つ・買う揃い踏み、奔放さの中の繊細さ、天才肌、など多くの共通点があると思う。後輩が真似しようとしても、そうは簡単にはコピーできない芸、そしてその人生、という点でも似ている気がするなぁ。

立川談志     —  マイルス・デイヴィス
:ある意味で、その“芸の道”の改革者。また、その“芸”の「優れた聴き手」である。加えて、数多くの若手を育てた。なかにはその哲学について行けなくて離れていった者もいる。

古今亭志ん朝  —  クリフォード・ブラウン
:両者とも“毛並み”が良い、と言うことはできると思う。「天才」と言われるが、「努力」の人でもある。志ん朝の流れるような、そして唄うような“語り口”は、アドリブがそのまま計算されたような絶妙なフレージングになるブラウニーと、相通じるものを感じる。

 すでに亡くなった噺家の中から、今日は一人だけ加えたい。

三遊亭円生 — ジョン・コルトレーン
:円生の昭和53年落語協会脱退後の動きは、「ブルートレイン」や「バラッド」のコルトレーンが、あの「至上の愛」にまで行っちゃったのと、何故か相通じるものを感じる。もちろん二人とも紛れもない「名人」なのだが、人物としては他人から誤解の多い“My Way”な人なのも似ているのではなかろうか。

 落語とジャズの両方お好きな方から、「それはない!」というクレームの声も聞こえなくはないが、あくまで“酔狂”としてお笑いのほどを。また、そのうち続編を書くつもり。本日はこれでお開きということで。
Commented by 佐平次 at 2011-12-21 09:38 x
平岡正明はジャズも落語も語りましたが志ん朝が日暮里の「シャルマン」でビリ−ホリデイを聞いて親父の「お直し」を超えようとしたという幻想を書いてます。「大落語(上)」

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-21 13:00 x
ビリー・ホリディで「お直し」ですか・・・・・・。
なるほど、そういう見方は分からなくもないですね。
平岡正明の本、読まなきゃ!

Commented by mama at 2011-12-21 17:18 x
わ~、素敵な写真! こういうお写真もご自分で撮られるんですか? ジャズのお話も、男性の世界だなあ。うちの棚にもジャズが並んでますが・・・こんなふうに意識して聴いたことがありません。お正月に聴いてみようかなあ。

Commented by 創塁パパ at 2011-12-22 00:33 x
志ん朝は、ブラウニーにしたいですね。
文楽は誰でしょうか。難しいなあ。
グレンミラーかなあ。いやベニーグッドマン
無理がありますね(苦笑)

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-22 13:25 x
すでに替えさせていただきましたが、私が撮影した写真ではなく、用意されているテンプレートです。
ぜひ、ジャズもお聞きいただき、mamaさん流のインスピレーションで、落語家をイメージしてください^^
昔から聞いていると、つい理屈っぽくなりますが、思いのまま好き好きにお聞きいただければよろしいのだと思います。
落語とジャズ、いろんなつながりがあるように思います。
また、そのうち続編を書かせていただきます。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-12-22 13:27 x
昨夜は楽しかったですねぇ!
また、落語とジャズで、おいしいお酒を飲みましょう^^
つい飲みすぎるのも、お互い様!

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by kogotokoubei | 2011-12-20 17:46 | 幸兵衛の独り言 | Trackback | Comments(6)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛