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今どき落語 林家彦いち 『睨み合い』 (BSジャパン) 11月17日

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BSジャパン「今どき落語」11月17日のページ
 木曜日放送の録画を、今ほど見たところ。彦いちが2000年にNHK新人演芸大賞を受賞した時のネタを、初めて聞いた。
 「ドキュメンタリー落語」と説明していたが、彦いちが経験した「ある晴れた日の夜の上りの京浜東北線での出来事」、という触れ込み。
 川口と西川口の間で、“接触事故”で電車が急停車してからの物語。彦いち描く乗客達の姿が、可笑しくもそれぞれの人々の典型的と思える姿を浮かび上がらせている。

 上司と部下の“疲れたサラリーマン”二人連れ。上司が「人身事故だな」と言うと、調子のいい部下が「そうですね、人身でしょうね」と合わせる。
 そういった声を耳にして、「人身事故らしいわよ」と、噂を事実に昇格させるのが得意な“オバちゃん達”。
 マナーを守らず、「(ふ)ザケンナヨ~」とわめく、“切れる若者”、など。

 マクラも良かったし、途中で入る若者言葉の事例(?)も可笑しかった。

 10年前の内容からどう変わったかは分からないが、

 ・何の合理的な根拠もなく、頼りにならない勘と経験のみで自説を主張する上司
 ・本音は「何言ってんだこの人?」と思いながらも、「その通り!」と調子よく合わせる部下
 ・周囲を気にすることなく大きな声で、その場にいない人のことを噂する、オバちゃん達
 ・「キレ」たフリをするのがカッコいいと思い、“ぶっちゃけ”など定型フレーズしか話せない若者

 という登場人物は、ここしばらくは社会という舞台の中心的なプレーヤーとして存在し続けるだろうから、この噺の息は長いだろう。秀逸な新作である。

 新作、と言えばSWAの会は結局一度も行ったことのないうちに、解散となった。新作よりは古典が好きだし、複数の高座の中の一部が新作ならまだしも、全部新作の落語会というのは、どうしても腰が引けてしまう。

 喬太郎の新作は秀作が多いが、本音のところは常に古典を期待しているので、落語会で彼の新作に出合った時は、その高座がどれだけ良くても、心底喜べないのだ。

 新作には、どうしても“無理”を感じることが多い。その設定、笑いをとるための筋書き、サゲ、などにおいて。しかし、彦いちのこの噺は、本当にあった話のように思える、無理のなさを感じる。この噺なら、また生の高座でも聞きたい、そんな気がした。
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by kogotokoubei | 2011-11-19 07:05 | テレビの落語 | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛