噺の話

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今どき落語 三遊亭兼好 『一分茶番』 (BSジャパン) 11月10日

木曜夜の放送の録画を見たところ。兼好のこの噺は、今年7月に横浜にぎわい座の「地下秘密倶楽部」(?)のげシャーレで聞いているし、二年前の12月には、同じにぎわい座の芸能ホールで聴いて、その年のマイベスト十席に選んだ位で、やはり楽しい。

 マクラの時事性を除けば、ほぼ同じ内容だったように思う。そう、マクラも大事。兼好のこの噺が光るのは、歌舞伎に関するマクラが楽しいからでもある。今回の海老蔵ネタは、この人らしい味付けで笑えた。さて、本編だが別名『権助芝居』と言うように、飯炊きの権助が主役。そして、この主役が何とも生き生きと描かれていて楽しいのだ。

 素人芝居の役者が一人少ないので、飯炊きの権助に白羽の矢。番頭が権助を呼び出して、「芝居をしたことがあるか?」と尋ねてからの二人のやりとりから、聞くものを引き込む。

 村芝居で、「鮒っ子」「泥鰌っ子」という言い合いで喧嘩になる『提灯蔵』という芝居に出た、という話から、どんどん権助ワールドが広がる。『七段目』のお軽役で、九つ梯子が三段しかなく二階から飛び降りた、という逸話や、権助の役が(有職鎌倉山の)泥棒(権平)だと告げられて、出演をグズル場面など、ともかく最後まで楽しい高座。それにしても、せっかくの「最近は泥鰌も偉いんだ」のギャグ、泥鰌ご本人同様に、すべったなぁ^^

 楽しかった、しかし、ふと考える。この人で印象に残る高座は、ほとんど滑稽噺である、ということ。今年は『蛙茶番』も良かったが、今回のネタと芝居の滑稽噺で共通しているし、昨年のマイベスト十席に入れたお寺で聞いて感心した『天災』なども含め、笑いの多い噺ばかり。少し定義を拡げても人情噺に入りそうなネタで聞いたことのあるのは、『井戸の茶碗』『ねずみ』『死神』位だろうか。『紺屋高尾』や『文七元結』には出会ったことがないし、そもそも彼のネタ帳にあるのかも不明。

 滑稽噺が好きなのだろうし、聞くほうも楽しい。しかし、今後より一層噺家としての器を大きくするには、代表的な人情噺も自分のものにして欲しいし、それが出来る人だと思う。もし、私が聞いていないだけで、素晴らしい人情噺の高座を聞かれたことのある方は、ぜひお教えいただきたい。
 
 来週は、彦いちらしい。
「今どき落語」サイトの次回予告

 落語そのものとは関係はないが、番組冒頭のジャズのBGMが良い。今回は(いつもか?)、マイルス・デイビス・クインテットの「Bye Bye Blackbird」。レッド・ガーランドのピアノの後でマイルスのミュートの音色が聞こえてくると、なぜか安心する。
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Commented by らくだ at 2011-11-14 10:16 x
お邪魔いたします。
兼好師匠のファンですし、実は師匠の落語会をひとつやらせていただいています。人情噺についてはファンの間でもよく話題になるようですが、いつぞや師匠が「泣いたり、暗くなったりする落語をやりたいとは思わない。笑ってこそ落語」という意味のことを言ってました。

『紺屋高尾』や『文七元結』はまだかけたことがないと思います。でもこういった噺はどちらかと言えばハッピーエンドの後味のいい噺ですから、そのうちかけるのではないでしょうか。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-11-14 11:05 x
お立寄りいただき、貴重なコメントを頂戴し誠にありがとうございます。
なるほど、本人の滑稽噺へのこだわりが相当強い、ということですね。
確かに笑いの一杯ある高座は、大いに結構です。
でも、らくださんがおっしゃるように、高尾や文七は、“暗い”噺ではないので、ぜひ近い将来、兼好版で聞きたいものです。「泣き」「笑い」の入り混じった噺でこそ「笑い」が活きる、そんな気がします。
落語会の開催、いろいろと裏方さんは大変かと思いますが、頑張ってください。

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by kogotokoubei | 2011-11-12 08:56 | テレビの落語 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛