噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

落語者 春風亭一之輔 『短命』 (7月1日深夜)

録画を今見たところ。3月に『あくび指南』で出演していたので、このシリーズ二度目の出演。前回は震災後最初の放送で私は見ていないが、想像はつく。今回のネタは、一之輔にしては“おとなしい”印象。無理に笑わせるクスグリなどをはさむことはないが、若い女性のお客さんが多い会場だろうから、表情や仕草を大袈裟にしてもう少しドッカンさせるかと思ったので、意外だった。

 会場に会わせてネタを考えることはあっても、そのネタの演出を替えるのは本道ではないだろう。だからネタ選びが重要になるわけだ。どうだったのかなぁ、若い女性の多い会場でのこの噺。お客さんも大きな声で笑いにくかったかもしれない、とも思う。しかし、桃月庵白酒のこの噺、隠居と八とのやりとりで腹をかかえて笑えるのだ。そう考えると、今ひとつ、ということなのだろう。まだ一之輔にはこのネタを磨いてもらおう。
 
 演出ということで先日末広亭での小三治の高座を思い出す。師匠小さん仕込みの、無理に笑わせようとせず結果として会場が沸く素晴らしさだったが、なかなかそういう境地に至るのは難しいものだ。一之輔も、今その理想の境地に向かってもがいている途上なのだと思う。

 少し手放しでこれまで褒めすぎたかな、と思わないでもない。もちろん、二ツ目のレベルははるかに超えて、真打の真ん中から上に実力はあると思っている。しかし、人が成長するには周囲の厳しい目も必要で、彼を評するには、もう少し高い基準で見るほうがいいのかもしれない。「二ツ目にしては上手い」という評価は、もう卒業でいいのだろう。将来の落語界を背負って立つ噺家として見ていこう、と思う。
 

 来週は、菊之丞の『幾代餅』。古今亭のお家芸で、これまた楽しみ。
 兼好、吉坊、扇辰、百栄と二週連続放送が続き、また一週ごとの交代になるのかどうか、とにかく9月まで放送がありそうなので、良かった。
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テレビ朝日のHPより
テレビ朝日HP「落語者」次回予告ページ
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Commented by 創塁パパ at 2011-07-02 11:21 x
京都です。暑いです。
一之輔は確かにうまいと思うのですが
やはり、最近小三治を何度か聴いていると物足りません。当たり前か。
少し噺を「いじり過ぎるなあ」と感じる
ことがあります。「青菜」もそうでした。やっぱり小三治と比べちゃまずいですよね。
でも期待しているからこそです。充分真打ですものね。

Commented by home-9(ほめ・く) at 2011-07-03 02:26 x
「全ての道は小さんに通ず」ってぇとこでしょうか。
先代・小さんの前では、誰もが霞んで見えます。
「短命」は客席をクスッとさせる噺なので、まだ一之輔には荷が重いのかも知れません。

Commented by hajime at 2011-07-03 13:23 x
いつも落語の時のコメントを楽しみに拝見しています。
上のお二人「創塁パパ 」さん「home-9(ほめ・く」さんを始め、ブログ主の「小言幸兵衛」さんら達人のコメントを読むと勉強になります。
今回のコメントを拝見して、「東京かわら版」7月号の桂小金治さんのインタビューの中のエピソードを思い出して仕舞いました。
二っ目の頃「三越落語会」にさら口で出て「長短」を演じた時のこと、先代文楽師から「受けてて良かったけど、「長短」は真打の噺だよ、あんたが一番先に真打の噺を掛けたから後の真打がやりにくいだろう。物事には順序があるんだ、それをわきまえるって事は大事なんだよ」と言われたそうです。
今でも、その忠告に感謝しているそうです。
記事と関係ない事ですいません。
お二人nコメントを読んでどうしても書きたくなって仕舞いました。m(_ _)m

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-07-03 21:26 x
返事が遅くなり失礼しました。
土日はテニス仲間との箱根合宿(?)でした。
宴会で、『居酒屋』と『親子酒』の、完全に酔っ払いでつくネタ二席ご披露し、予想以上に好評でした。
もちろん、小三治のが月で一之輔がスッポンなら、私は上げ潮のゴミというところでしょう^^

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-07-03 21:33 x
なるほど、おっしゃる通りですね。
先代小さんの凄さが、今になって一層分かります。
一之輔の成長は、少し長い目で見ていくようにします。
実力はあり、伸びしろもある、それだけ長く成長の様子を見ていく楽しみがあるということですよね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-07-03 21:41 x
“達人”は、ちょっと持ち上げすぎかと^^
ネタ選びは、なかなか難しいものですね。
小金治さんと八代目文楽とのエピソード、なるほどと思います。
この文楽こそが、“達人”ですね!
こういう先輩の一言で、人は成長できるのでしょう。
いい話をお知らせいただき、ありがとうございます。

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by kogotokoubei | 2011-07-02 07:31 | テレビの落語 | Comments(6)

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by 小言幸兵衛