噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

三三から、『嶋鵆沖白浪』の“手書き”あらすじが届いた!

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*三三から届いた“あらすじ”

 昨年11月16日に、三三の談洲楼燕枝作『嶋鵆沖白浪』三夜通し口演の初日に行った時、三三が仲入り後に、アンケートに「あらすじ希望」と書けば、ワープロやパソコンを使えないので“手書き”で時間がかかっても送る(つもり)と言ってくれたので、アンケートに希望する旨書いた。
2010年11月16日のブログ

 少し時間は経過したものの、昨日、無事(?)手紙が送られてきて、素直に喜んだ。本人にも、そしてあの会を主催したショーキャンプにも感謝したい。

 コピーではあるが、約束通りの“手書き”である。なかなかの達筆。一夜分ででA4サイズに一枚なので、彼の肉筆三枚が収められており、行けなかった二日間の内容を知るとともに、一夜目を思い出しながら、やや感慨にふけってしまった。

 その内容は明かせないが、三夜目のあらすじの末尾に、次のような文章と署名があったので紹介したい。
 

遅くなり済みませんでした。実はこの噺、もう少し続きがあるんですが、
またいつか機会を見て申し上げるということで・・・・・・。   柳家三三


 ぜひ、今年は残りの噺をサゲまでやっていただきましょう。

 「嶋鵆沖白浪」の第一夜を楽しんだ後、三三の師匠小三治の奥さんである郡山和世さんの著書『噺家カミサン繁盛記』を読んで笑ったのでブログで紹介したが、この本に書かれている三三の入門当時のエピソードを、あえて再び引用したい。
2010年12月2日のブログ
 

 高校卒業したての小多けが、長い手足を置きどころがなくブラブラさせて入門してきた時は、(いいいかなァ)と思うほどの童顔で、眼一点の曇りない清純無垢なオトコノコだった。
 ただひとつ気になることは、イヤんなっちゃう位、気が小さくて、いっつもオロオロ、チリチリ、ピクピク、ブルブル。まるで病気持ちのチワワみたいだ。
 ちょっと私がつつくと、すぐにも「ワァ~ン」と泣いちまうほど。ほとんど自分からは話もしない。
「まったく、まともに話もできゃしない。人間と話してる気がしないヨ」と、いつものようにグチると、
「おかみさん、あたしの前座時代にも、同じことおっしゃいました」と助平。
「そうだったかな。早いはなし、新弟子なんて、みんな人間っぽくないんだネ」
「ま、あたしから小多けに、少しおかみさんとフツーの話ができるようしろヨ—とでも言っときますから。きっと緊張してるんだと思います。まだあいつはウブですから」
 その後数日たっての食事時。
「おかみさん!」と何やら頬をこわばらせて、小多けが叫んだ。
「な、なんだヨ」
「あのォ~、今、いただいているこれなんですけど・・・・・・これはやっぱり・・・・・・ニンジンですか?」
「おまえバカじゃないの?ニンジンに決まってるでしょ、見れば分かるだろ!」
「ハイ」
 翌日の又、食事時、
「おかみさん!」
「何だヨ」
「今いただいてるこれなんですけど・・・・・・」
「・・・・・・」
「これはやっぱり、だいこんです・・・・・・ヨネ・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 ぶったたいてやろうかと思った。
 八百屋の回しものじゃあるまいし、助平にどう云われたかしらないけど、フツーの会話ってこういうんじゃない、少しは考えてからモノ云え!


 ちなみに助平は現在の一琴である。

 あの小多けが、その昔に柳派の頭取として円朝と向うを張った談洲楼燕枝の大作に挑み、三夜とも来れない客への気配りから約束したことを反故にしなかった。彼の温かみがあって丁寧な手書きのあらすじを読んで、月日の経過と一人の男の成長を感じるのは私だけじゃないだろう。

 三三は師匠から直接稽古をつけてもらった噺はない、とよくマクラで話しているが、修行は師匠から噺そのものを習うことばかりではない。師匠の家に通い、さまざまな仕事やら雑用を通じて学ぶことも多い。もちろん、師匠の高座を袖で聞くことも勉強だし、時たま叱られることだって大事なこと。何と言っても師匠やオカミサン、そして兄弟子を通じて、人間として、そして噺家としての生き様を学ぶことが大切なのだろう。

 あえて、過去の彼の恥を再びさらすようなことをしたのは、あまりにもこの手紙が嬉しかったからである。そして、今後は人間としても噺家としても今以上に大きくなることを期待しているからなのだ。頑張れ、将来の名人、三三!
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Commented by 佐平次 at 2011-02-03 09:02 x
なかなか出来ることじゃないですね。
もっとも本人の修行にもなるのですが。
彼はおっしゃる通り大きくなると思います。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-02-03 09:48 x
お立寄りありがとうございます。
家に帰って封をあけ、彼の肉筆を見た時は、うれしかったですよ^^
結構時間も経過していましたし、彼の過密なスケジュールなどを考えると、難しいかなと思っていましたからね。
こういう人は、今後も絶対伸びると思います。

Commented by 創塁パパ at 2011-02-05 14:01 x
届きましたか。たいしたもんです。
本当に料簡がいい。ますます好きになりますね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2011-02-05 14:09 x
そうなんですよ、うれしいじゃありませんか。
もちろん、あの方にコピーを送りましたよ^^

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by kogotokoubei | 2011-02-02 11:34 | 幸兵衛の独り言 | Comments(4)

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