噺の話

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落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。

TBS系「情熱大陸」 “柳家三三” 12月19日

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*MBSの番組紹介ホームページより

 昨夜、「浜松町かもめ亭」から帰ってから、録画を見た。毎日放送 「情熱大陸」12月19日放送“柳家三三”のページ
 かもめ亭で白酒がさっそくマクラで話していたので、見ないわかにもいかなかったのだが、なるほど、白酒も少しだけ写ってはいた。私も初日行った「談洲楼三夜」での『嶋千鳥沖津白浪』の通し口演をヤマにしてはいるが、日常の定席での高座姿や楽屋での様子、掛け持ちでの移動の姿なども紹介されて楽しいドキュメンタリーだった。

 中でも今年一月に師匠小三治からひどく叱られたという一件が印象に残る。たぶん与太郎噺についての一言だったのだろう。「利口が馬鹿のフリをしている、いやらしさがある」といったことだったらしい。
 そして、小三治と久しぶりに会うという鈴本の楽屋では、三三が到着する前に禽太夫に対して小三治が言う。「思いをなかに入れて、表に出さない。噺なんだから、所作はいらないんだよ・・・・・・」と言っているなかで三三が登場。そのまま師匠の言葉は誰にともなく続く。 「皆おもしろくやろうとしている。笑いをとろうとしている、そうすると客はどんどん逃げていく・・・・・・」
 この後にナレーションが、「事態を飲み込めていない三三は、俺のことか、と勘違いしたのじゃないだろうか」と続く。なかなかの演出だと思う。

 「受けよう、笑わせようとしてはダメだ」という格言(?)は、大師匠五代目小さんが小三治にも常々言っていたこと。なるほど、 “芸の継承”は“小言の継承”でもあるなぁ、とあらためて納得。鈴本の楽屋の一幕の後、小三治の『初天神』の高座が、なんとも楽しそうであった。

 さて、三三に戻る。「三夜」のための三宅島への“取材”が、本人の意志なのか、それとも(白酒がかもめ亭でイジったように)テレビ局の“やらせ”なのかはともかく、私が行けなかった三夜目の高座が少しだけ放送されたのを見ても、間違いなく厳寒の海を前に立ちすくんだ彼の実体験が生きたはずだ。大それたことを言えば、かの円朝が『塩原多助』を生み出すに至る”取材”などは、ちょっとした大旅行であり、旅行中もいろいろと苦しみながらも詳細な記録を日記に残していった。戻ってからその膨大な記録を再吟味して、もがき苦しんで、さまざまな話とつなぎ合わせて編集していって、あの歴史的な新作の誕生なのである。そういえば、今はこの噺を演る人がいないなぁ。
 円朝に比べれば(比較に無理は承知!)、三宅島一泊二日(だと思うが)など、ある意味当然の下準備なのだ 。かと言って誰でも出きることではない。 また、大師匠小さんが、「登場人物の了見になれ」と言っていた言葉をかみ締めれば、自ずと噺の舞台を訪れようという了見にもなろうと言うものだ。
 
 日常生活の、甘党、缶ピース、カラオケボックスでの稽古といったことは、あくまでも演出の一つ。毎日放送(MBS)のスタッフがこの番組で訴えたかったことが、三三という若手噺家を紹介するにあたり、彼が柳家のDNAをどれだけ継承しつつあるか、またその了見があるのか、ということを明かすためであるなら、それは概ね成功したといえるだろう。非常によくまとまった、そして質の高い30分だった。

 あえて比較するが、三三を評する噺家の一人として登場した立川談春についてBSフジが制作した12月15日放送の「らくごの時間」とは、まったく違う出来栄えの番組であった。 もちろん、談春本人が問題というわけではない。番組としてのコンセプトから始まって、まったく根っこのところで大きな差がある。噺家で例えるならば、前座と真打の差である。番組という作品づくり、モノづくりに対する「了見」が根本的に違うのだ。「らくごの時間」は録画を見てからデリートしたが、「情熱大陸」は保存しておこうと思う。それだけの大きな違いである。
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Commented by 創塁パパ at 2010-12-22 12:56 x
昨日も学校の同窓の飲み会で、この話が出ました。小三治の大ファンの友人と小三治の「言葉の重み」を語り合いました。談春の番組は見ていませんが
間違いなく内容はこちらでしょうね。
三三の今後が楽しみですね。

Commented by 小言幸兵衛 at 2010-12-22 13:15 x
お立寄りありがとうございます。
私も年末年始は、例年になく忘年会やら新年会が多いです。
皆、寂しいんでしょうね(笑)
小三治が予想以上に語っていて、やや驚きでした。そして、なかなか味のある言葉です。
20日の「浜松町かもめ亭」で、白酒が結構マジで嫉妬していたように思います。
私は、どとらも好きですが、発展可能性の糊しろがあるのは、三三ですね。

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by kogotokoubei | 2010-12-21 17:41 | テレビの落語 | Comments(2)

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