浜松町かもめ亭 龍玉・小せん 真打昇進襲名披露の会 12月20日
2010年 12月 20日
2009年12月18日のブログ
口上で白酒もふれていたが、残念だったのはこの会のマドンナ(?)立川こはるがインフルエンザで休演となり、春樹が代演になったこと。
結果として構成はこうなった。
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口上 白酒・龍玉・小せん
立川春樹 『ろくろ首』
柳家小せん 『夜鷹の野ざらし』
(仲入り)
桃月庵白酒 『転宅』
蜃気楼龍玉 『夢金』
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口上 (19:02-19:09)
三人が高座に上がり、まずは白酒から。「真打昇進披露だから、本来は二人の師匠が登場すべきなんですが・・・まだ龍玉は同じ一門だから私が代わりでもおかしくはないですが、小せんは違うし、仲がいいわけでもないし・・・」とサラッと彼らしいか幕開けで、お辞儀をしていた小せんが驚いて頭を上げるという構図が、なかなか可笑しい。定席ではやらない本人達の、彼ららしい口上も短くあって、あっさりと終了。
春樹『ろくろ首』 (19:10-19:31)
少し酷な言い方になるが、こんな噺を20分もダラダラ聞くために来たのではない。こはるの欠場は痛い。彼自身も急な出番となって緊張もあり可愛そうだが、よく談春に入門できたものだと思う。どこか褒めるところをと探したのだが、残念ながら太鼓も含めて、相当覚悟をして修行するか、早めに転職を考えるべきだろう。
小せん『夜鷹の野ざらし』 (19:32-20:07)
ようやく後半がこの人のオリジナルという『野ざらし』を聞くことができた。前半は本寸法の内容、八っあんが向島で骨つりに精を出していたのを聞いていたのが、幇間ではなく大年増の夜鷹だった、という設定。なかなか楽しい趣向である。サゲは、まだ練り上げて欲しいと思うが、全編に渡りこの人らしさが活かされているように思う。声がいいし、様子(?)が渋めなので侍が登場する噺も合うし、江戸の香りもする。軽妙な語り口でも流されないリズムも持ち味だろう。今後は、ぜひ新たな小せん像を少しづつつくり上げて欲しい。この名跡を選んだ一つの理由に先代小せんにいくつか稽古をつけてもらった、と話していたが、ぜひ先代のネタ、また初代の郭ネタにも挑戦していただこう。
白酒『転宅』 (20:18-20:44)
マクラは、本人が「ここは固有名詞を出したから、またカットでしょう」と言っていたが、たしかに音源として販売する場合は残念ながらカットだろうなぁ。12月19日に放送されたばかりのTBS「情熱大陸 柳家三三」をイジッタ話で、頗る笑えたが、私も割愛する。一つだけ暴露すると、「私もちょっと写ったんですが、事前に相談もなければギャラもない」とのこと。まぁ、あの数秒間、三三の後ろに顔半分写った程度ではしょうがないわな。本編は、今年1月に二俣川の地域寄席でも聞いたが、ほぼこの人の十八番として手中に入れたな、という印象。なぜ、あの顔、頭、そして体(?)であれほど女性を色っぽく演じることができるのか、いつ見ても不思議な思いでいる。それが、芸なのだろう。マヌケな泥棒も、いつ見ても笑える。
龍玉『夢金』 (2045-21-16)
ニンな噺だとは、思う。こういう噺を聞くと、この人は将来どんな噺家さんになっていくのだろう、という疑問もわく。見た目の表情のキツさ、というか渋さ(?)と語り口の重さなどは、良くも悪くも個性なので、それを生かした噺をするのはいいのだが、そうなると暗めの人情噺ばかりになってしまうような気がする。6月に国立の睦会で聞いた『夏泥』は良かったが、やはり他の多くの噺家が明るく演じるのとは違って、弾けた笑いというよりは、一瞬の間を置いた笑いになる。しかし、それでもいいじゃないか、という意見もあるだろう。かつての噺家さんで言えば、八代目三笑亭可楽あたりの線が狙い目なのかもしれない。いつも不機嫌そうな顔をしながら、『味噌蔵』『反魂香』『らくだ』あたりで玄人を唸らせた人だが、そういった持ち味はある。しかし、それで今の時代にどれだけのファンを獲得できるのか、という心配もあるのだ。まだ、昇進したばかりなので、今後長い時間をかけて見守りたい、そんな気にさせる器であることは間違いない。
定席で昇進披露に行きたくて行けなかった二人だったので、そのお祝いが出来たと個人的にはホッとしている。そして、白酒の“毒”と“芸“を楽しむこともできた。こはる欠場は何とも残念だが、これもめぐり合わせである。定席に彼らを祝いに行けなかった天からの罰とあきらめれば、気も楽だ、と紅羅坊名丸も言っている。
どうも、この会が今年の落語会の打ち止めになりそうだ。年末はいつになく飲み会や野暮用で結構埋まってしまった。今年の落語会・寄席は年間で47回と過去最多となった。さぁ、これからマイベスト十席を選ぶ楽しみを味わおうと思うが、昨年以上に悩みに悩みそうだ。備忘録代わりに書き始めたこのブログの本領を発揮してもらい、日に日に物忘れが進む五十代半ばの疲れた脳を叱咤して各落語会を振り返ってみるとしよう。マイベスト十席は、今週末には公表するつもりです。順位はつけずに十席。それを選ぶだけでも大変なのよ、これが。
なんて、人のことも言えないか(笑)私も後で、ベスト落語会10を決めようかな。ちなみには、私は、
後26日・27日。の2日間です。
26日なんて、「落語」を演る前に落語会に行きます。
後、10日ですが、今年は素敵な先輩おふたりに出会えて感謝ですよ!!!
創塁パパさんのベスト10も、ぜひ拝見したいですね。
そういえば、お台場寄席で志ん五師匠の『孝行糖』をあらためて取り上げていましたね。
塚ちゃん、いいとこもある!
正月は11日のにぎわい座「睦会」からになるか、その前に末広亭が最初になるかも、というところです。
私も、素晴らしい落語仲間が出来た良い年になりました。
立川流でググってこちらのブログに
たどり着いたので質問です
1、談春門下の前座が落協の真打披露
にゲストで呼ばれたんですか
2,柳家花緑『紺屋高雄』を談春から
稽古をしてもらった経緯はご存じないですか?
ご質問に、私なりにお答えします。
1について
「ゲスト」ではありません。小学館主催の「かもめ亭」は、理由やいきさつは知りませんが、立川こはるが開口一番を、ほぼレギュラーとして担っていて、この日の彼女の急遽の病欠に一門メンバーでカバーした、ということかと思います。
2について
相当前のブログ(2008年12月2日)で採り上げた花緑の本を読まれることをお奨めします。私のブログは次の通りです。
http://kogotokoubei.blog39.fc2.com/blog-date-20081202.html
花緑が談春のこの噺を聞き、ぜひ習いたいと思った、ということかと思いますが、この本にはその後日談なども楽しき書かれています。