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第一回 大手町落語会 日経ホール 2月27日

企画・制作・主催がサンケイリビング、会場および協力は日経ホールという新しい落語会の第一回。顔ぶれの良さで楽しみにしていた。なお、チケット販売にはミックス寄席のオフィスエムズさんの名もある。企画にも関係しているのかは、不明。

演者とネタ。
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(開口一番 柳家小権太 金明竹)
三遊亭白鳥  はじめてのフライト
柳家喬太郎  ハンバーグができるまで
(中入り)
瀧川鯉昇   長屋の花見
柳家権太楼  御神酒徳利(「占い八百屋」)
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白鳥(13:56-14:22)
まだ実演三回目のネタで池袋では完全にすべった、とのこと。今日の会場の沸き具合からすると、お蔵入りにしなくても良いだろう。私も目一杯笑った。ただし、ある意味「時事ネタ」でもあるので、今だから笑えるということも言える。もし、その時代時代の“あこぎな政治家”を題材にしていけば長生きするネタともいえる。あっそうか!この噺は結構ロングライフかもしれない。なぜならそういう政治家はいなくならないからね。まだこなれていない部分もあって、特にサゲはもっと検討すべきのようだ。次の出番の喬太郎が冒頭で親切に解説してくれなかったら分からなかったお客さんも多かっただろう。そして、ネタの名前もいまひとつじゃないかな。今は思いつかないので、何かアイデアが浮かんだら書くことにします。

喬太郎(14:23-14:50)
上述した通り、まず最初にSWA仲間である白鳥の噺のサゲを解説してくれた。それも、この人らしさで。そして、白鳥のネタと同様にプログラムに「お楽しみ」となっていた噺は白鳥に対抗するかのような新作。喬太郎らしい。このネタを聞くのは初めてなのだが、以前に他の方のブログで読んでいた内容からは、部分的に演出が変わっていたように思う。それは喬太郎落語が生きている証拠なのだろう。男と女の物語に味付けされた笑いとペーソス、そして必ずしもハッピーエンドではないリアリズム。彼の新作の中でもこの噺は異質な魅力ももっているように思う。サゲもなかなか洒落ている。発表されてから5年位はたつようなので十分に練れていながらも演出への工夫や演技時間による構成の変化があるのだろう。上手いし強い、というのが今日の喬太郎の印象。

鯉昇(15:03-15:35)
定番といえるマクラ(バレンタインデーの倍返し、しゃぽん玉ホリデーの放送日、など)で、多かったと思われる初鯉昇のお客さんをしっかり掴んで本編へ。以前(2008年3月13日)に池袋の東京芸術劇場で行われた喬太郎との二人会以来のこのネタだが、やはりこの人にかかると、あたりまえだが“鯉昇の噺”になる。特に“大家の家の猫”のクスグリが冒頭での強烈なアクセントになるのだが、この人だからこそ笑って聞ける。以前にも感じたがオリジナルのサゲも秀逸。『時そば』『ちりとてちん』『茶の湯』『蛇含草』などと同様にこの人の重要な十八番ネタだと思う。

権太楼(15:36-16:16)
冒頭で「喉がちょっと・・・・・・」とことわりがあったが、なるほど絶好調の権太楼ワールドとはいえなかった。しかし、ツボはしっかり押さえていた。終演後のロビーでの会話を聞くと、主役が番頭ではなく八百屋という柳の型のこの噺を初めて聴く人も多かったようなので、それだけでもそのお客さんには良い経験だっただろう。もちろん初権太楼のお客さんならば、その表情を含む演出で強い印象を持ったとは思うが、まぁ、三割バッターが4打数1安打、というのが今日の権さんかなぁ。


白鳥が沸かせ、喬太郎が聴かせ、鯉昇が唸らせ、権太楼がなんとか安心させた、そんな落語会だった。
この会場、残念ながら都合がつかず行けなかったが今年1月には会場主催の「日経ホール落語」で、春團治と小朝の二人会が開催されている。二つの落語会で、ここに来る機会が増えそうだ。休日の大手町は喧騒がなく郊外の住宅地のような静かさ。ホールは立派で座席もゆったりしている。大会議場としても使われるのだろう、収納式のテーブルも広い。しかし館内放送で客の出入りの妨げになるから使用禁止と通達あり。まぁ、これは仕方なかろう。

サンケイ&日経という大手町チームが新たなホール落語会として朝日やTBSに伍していこうということかもしれない。八月からは一ヶ月おきに開催予定とのこと。落語会という市場で競争が活性化することは大歓迎なので今後に期待したい。ただし、8月7日の第二回目プログラムが権太楼、小さん、市馬、花緑、右太楼というこてこての柳家の会。
この落語会がどんなコンセプトや方向性なのかは、しばらく慎重に見ていく必要もあるかもしれないが、とにかく楽しみが増えたことは間違いない。
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by kogotokoubei | 2010-02-27 18:38 | 落語会 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛