噺の話

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匿名性の功罪

このブログを見ていただいている人の中には、すでにお気づきの方もいらっしゃるのだろうが、私はAmazonで落語関係本中心にブックレビューを書いている。(ニックネームは幸兵衛ではない。)
今日、久しぶりに自分のレビューの状況を見て驚いた。たった4~5日で、ある自分のレビューの「参考にならない」という数が30ほど増えている。通常ではありえない数だ。ここまでカミングアウト(?)したのだから、そのレビューの対象も明らかにしよう。昨年発行間もない頃に読んだ立川談春の『赤めだか』である。通勤電車の中で読了し、ついつい涙が出たことを今でも思い出す。もちろん星5つで評価した。しかし、なぜ今になって、あえて「No」という意思表示を一日平均5~6件も受けたのか・・・・・・。これは普通ではない。高い評価の定まった本であり、ここ数カ月は、私のレビューへの投票は2~3週間に一つあるかどうかという状況だったのだから。そう思って最近書かれた他のレビューを見ていると、以前にはなかったネガティブなレビューが並んでいた。加えて、そのレビューへの支持が、短期間では考えられないレベルで多い。一週間で20も30も「参考になった」という投票があるのは、よほど話題性のある新刊の場合くらいである。非常に不思議だ。また、そのレビューを読むと、「この本は楽しめた。しかし・・・・・・」と、本そのもののことではなく、この本を高く評価することが過剰な「談春礼賛」だと短絡している。「本」は本であり、「高座」は高座、「人」は人である、という当り前のことが分からないレビューが、なぜそんなに支持されているのか?

あえて勘ぐるなら、何らかの「談春憎し」といった意図を持った人が『赤めだか』憎し的な動きにつながったのだろう。そして、ポジティブなレビューの中で「参考になった」という支持の多いものに、意図的にネガティブな評を入れているように察する。技術的にどんな手法を使っているか分からないが、私以外の高い評価のレビューにも同様の現象が見られるのだから、尋常ではないと思う。もちろん私は談春の身内ではないし、出版社の回し者でもない。良い本と思うから良いと言うのであって、それは本という作品への評価ではあるが、著者を「礼賛」するものではない。

しかし、私のレビューへの「賛成票」とともに「反対票」の数の多さは、これから初めて読もうとする人への影響もあるだろう。また、何らかの作為的な、あるいは不自然な動きに自分のレビューが曝されるのは許せない。自分のレビューを本日削除した。
もちろん『赤めだか』が素晴らしい本であるという思いは今でも変わらない。

なぜ、一年も前のブックレレビューに、いきなり「No」「No」「No」という意思表示をされなくてはならないのか・・・・・・。匿名であることは、メリットもたくさんある。匿名だからブックレビューも書きやすいし、このブログも書いていると言える。しかし、今日は匿名であることの、特にネットでの危険性を、身にしみて感じた。よく「ブログ炎上」という表現があるが、これはたぶんに「便乗派」の付和雷同がもたらしているのだと思う。“みんなで渡れば怖くない”というギャグは笑えるかもしれないが、特定のポジティブ、あるいはネガティブなキャンペーンをするのに「匿名性」は“みんなで渡りやすい”、格好の隠れ蓑ともなり、この現象は笑って見過ごせない恐さがある。「匿名」であることは、群がりすごいエネルギーで流れを突き動かすこともあるが、反面大きな危険性も持つ。2チャンネルも氏名を公表するのなら成立しない。身をもって匿名性の功罪を再認識したのだった。

しかし、これからも「良いものは良い」「悪いものは悪い」と、幸兵衛は書く。もし、何らかの作為的な意図でこういうことをする人がいるのなら、私はその人を心底かわいそうに思う。また、やたらネガティブなレビューばかり投稿している人にも、憐れみを感じる。私のレビューの基本姿勢は、ほんの一部の例外を除き、「ぜひこの本を他の人にも読んでもらいたい」というポジティブなお奨め本紹介である。お奨めできない本は、レビューを書かなければいいのだ。どうも、世の中には良い面を発見することがヘタで、悪い面ばかり見えてしまうかわいそうな人もいるようだ。小言は言うが、幸兵衛は“良いもの”がわかるつもりだから、その目指すレベルと現状とのギャップに小言を言っているのである。最後はちょっと偉そうだが、自分が受けたショックから立ち直るには、これ位は許していただこう。
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Commented by home-9(ほめく) at 2009-07-11 11:56 x
こちらのサイトに、初めてコメントを寄せさせて貰います。
以前からamazonのコメント欄の中で、明らかに著作を読んでいないもの、又著作とは無関係なその著者の思想や行動をとりあげて批判しているカキコミは散見されていましたが、この例は酷いですね。
ネットというのはある意味、元来が性善説を前提としたシステムなので、悪意を持った人の言動を完全に規制するのは難しいんです。
それと、ネットの特長は双方向性(コミュニケーション)と匿名性ですが、昨今はコミュニケーションの側面が薄れ、匿名性の弊害ばかり目立つようになりました。
ネットの将来は憂慮すべき状況にあると思われます。

Commented by 小言幸兵衛 at 2009-07-13 08:58 x
コメントいただきありがとうございます。先週末は田舎に帰っていたため、まった
くネットを見ない状況だったので、返事が遅くなり失礼しました。
非常に悩ましい問題ですね。その「功」を生かしながら「罪」をいかにして抑える
かということなのでしょうが、確かにマイナス面のほうが目立ってきました。
本来守るべき「マナー」「モラル」というところに行き着く問題でしょうから、学校
や家庭、ご近所といったあらゆる場で真剣に議論し、留意する必要がある
と思います。しかし、先週末帰った田舎では、市町村合併やら道路拡張やらで、
昔の家並は消え、ご近所の共同体などはどんどん消え去る方向に行政
は拍車をかけているように思えてなりません。昔はご近所にも「恐い人」がい
て、マナーやルールを守れないと、他人の子供にでも愛情を込めて叱ってくれ
たのに・・・・・・。
自分ができることは、「小言」をブログに書きつけるのが精一杯ですが、一人
でも読んでいただき、あるいは共感をしていただけるのなら、書いていて無駄
ではないのかな、と感じている次第です。
「ほめく」さんのブログもよく寄らせていただき、参考にさせていただいて
おります。今後ともよろしくお願いいたします。

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by kogotokoubei | 2009-07-01 23:50 | 幸兵衛の独り言 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛