人気ブログランキング | 話題のタグを見る

睦会 扇遊・鯉昇・喜多八 横浜にぎわい座 1月6日

会場はほぼ六分の入り。寄席らしい雰囲気がほど良い。
演者とネタは次の通り。
--------------------------------------
春風亭正太郎 牛ほめ
瀧川鯉昇    武助馬
柳家喜多八   盃の殿様
(仲入り)
入船亭扇遊   厩火事
瀧川鯉昇    宿屋の富
--------------------------------------

正太郎(19:00-19:17)
昨年3月のビクター落語会の開口一番(『初天神』)以来、久しぶりで聞いた。
前座としてなら「よく出来ました」といえるが、正朝師の唯一の弟子なら、もっと江戸弁でテンポの良い元気な落語ができるよう、今後がんばって欲しい。

鯉昇『武助馬』(19:18-19:42)
カミさんとタミフルをネタにしたマクラが可笑しかった。その後、昔は役者になりたかった、という伏線から『四段目』など歌舞伎系かと察していたら、生で初めて聞くこの噺。トリの一席もあるため手短かなネタということなのだろう。馬の前足を担当する兄貴分の放屁で「目にしみる」と演ずる場面などは、十八番の『時そば』でまずいそばに七転八倒する場面を彷彿とさせる名演技。この人は、やはり生で聞かないといけない。まだエンジン全開という感じではなかったが、そのパワーはトリに残していたのだろう。

喜多八(19:43-20:17)
寄席初席の慌しさ、というこの時期にはお決まりのマクラでなごませながら、12月20日のビクター落語会大感謝祭と同じネタ。本人が弁解がましくマクラでふっていたように、少し初席とアルコールの疲れであろう、東海道の道中言い立てもやや噛みっぱなしで生彩がない。お客さんが暖かく拍手は出たものの、12月20日の出来とどうしても比べてしまう。残念ながら今日は喜多八の日ではなかったようだ。終了後は三人で都内で一杯飲る予定とかマクラで言っていたが、今夜は反省の弁が多そうだ。

扇遊(20:28-20:50)
良かった。髪結いのお崎さんも相談相手の旦那も、そして年下の髪結いの亭主も、十分に人物が生きていて、そこになんとも言えない落語の世界が広がっている。昨年も結構拝見したが、『夢の酒』や『佃祭』など、夫婦をはじめ江戸庶民の世界に、ス~ッと連れて行ってくれる。今年も安心して落語の世界を楽しむために、この人に会いに行く回数は増えそうだ。

鯉昇『宿屋の富』(20:52-21:26)
扇遊師の出来に刺激を受けたのだろう、気合が入っていたように見受けた。とにかく十分に笑えた。冒頭の「庭に富士山」「池が琵琶湖」という上沼恵美子ばりのオリジナルのくすぐりも秀逸だが、ヤマ場は何と言っても富くじ番号を照合する場面。何度も当たり番号を読み上げながら次第に変わる表情と仕草。これだけは生でしか味わえない。鯉昇ワールドを堪能した。

この会は昨年5月7日以来。その時は、三人の中での主任が扇遊師で『人形買い』と『佃祭』の2席。どちらも結構だったし、喜多八師の『鰻の幇間』、鯉昇師『蒟蒻問答』も大いに楽しめた。
「睦会」は現在の正蔵が発起人だったようなことを、この時に誰かが言っていたが、今の三人会で十分。三人三様ながら、昔ながらの落語の世界を味わわせてくれる。

今年の初落語会。寄席の空気が一杯の環境とお気に入りの噺家さん達に満足した夜だった。定時退社で間に合うこともあり番組もいろいろ工夫されているので、できる限り通いたい。しかし、談春、志の輔の独演会に加え、明日の”ほぼSWAの会”など、チケット争奪戦の激しい番組も増えてきた。無理しない範囲で、喜多八師いわく「昔と違ってきれいごとの寄席」の雰囲気を味わうことにしよう。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2009-01-06 22:58 | 落語会 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛