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テレビの「瞬間」「一発」お笑い芸ブームについて

こんなことを書くつもりはなかったのだが、公共の電波を使った横暴が目に余るので書く。あまりにも「瞬間芸」「一発ギャグ」中心の、個々の持ち時間の短すぎるお笑いの番組が多すぎる。
 多くの若い芸人さん達が切磋琢磨すること自体は結構。しかし、それぞれの漫才やコントの芸人さんの持ち味が十分にわかろうはずのない「瞬間芸」や「一発ギャグ」といわれるものばかりを、どこのチャンネルでも放送しすぎる傾向に嫌気がさすのだ。「嫌なら見なきゃいいだろう」という声も聞こえるが、広告費を商品購入という形で支払っているのは、我々視聴者である。
 今のテレビのお笑い番組、いや「お笑いを中心とするバラエティ番組」は、正直言って見る気がしない。別に落語を放送しろ、と言っているのではない。漫才にしろコントにしろ、優れた芸は見たいと思うし、理屈ぬきで笑いたいとも思う。しかし、テレビの、それもゴールデンタイムで「瞬間芸のカタログ」とでもいうものをたれ流しするだけの番組には魅力を感じない。
 テレビ局側の理由はわかる。制作費は安くあがるし、そこそこに視聴率もとれるのだろう。しかし、そういう理由で作られた番組ばかりではもっとお笑いの「芸」を楽しみたいと思っている視聴者には迷惑だ。民放こそ、もっと良質の「お笑い・演芸」番組を編成して欲しいと思うのだが、現状ではNHKにはるかに劣っている。地上波での視聴率競争から開放される可能性のあるBSや地デジの普及は「お笑い・演芸」ファンにも期待をもたらしたはず。しかし、番組枠は確実に拡大しているのに、増えるのはテレビ・ショッピングや音楽番組に名を借りた通販番組ばかりではないか。
 持ち時間に関していえば、M-1にしても少なすぎる。オンエアの関係など、もろもろの事情はあるのだろう。しかし、寄席での持ち時間約15分とまでは言わないが、決勝くらいは持ち時間を10分程度で行うべきではなかろうか。その位の時間でしっかり芸のできる漫才でなくてはグランプリの価値などないだろう。しかし、テレビ用の「瞬間芸人グランプリ」の大会であれば、いたし方ない。
 
 そんなことを考えていると、最近は良質のお笑いのバラエティがないから、同じような番組ばかりになるのかと思い当たった。古くは「シャボン玉ホリデー」「ゲバゲバ90分」少し前なら「花王名人劇場」や「オレたちひょうきん族」など。プロデューサー他の作り手の志にしても、芸人の意気込みにしても、そして「瞬間」ギャグのおもしろさにしても、今日とは雲泥の差だった。 さて現在のお笑いバラエティは・・・というと、どのチャンネルも同じような顔ぶれの芸人達が、ほとんど「素」のままで楽屋話をするだけの番組や、ある一部の人気者とその取り巻きたちが学芸会レベルの他愛ない、そして笑えないコントでお茶を濁すような番組しかないのではないか。その人気者たちもかつてデビュー当時は光るものがあったはずだが、昨今の過剰露出の結果、彼ら自身も構成作家たちも企画が枯渇し、そして若くして゛大御所゛としての傲慢さだけが目立ってくる。
 
 もちろん五十路男の「ノスタルジー」もある。「団十郎じじい」と言われても結構だが、かつての「お笑い・演芸」と言う言葉のイメージは、今日ほど軽くなかったはずだ。挑戦的な番組をつくろうという意欲も明確なコンセプトもない現在のテレビ界には、「瞬間芸」「一発ギャグ」を数だけ並べて番組を制作するしか、それこそ゛芸゛がなくなっているのだろう。
 つまらない「瞬間」「一発」芸オンパレードの番組を提供しているスポンサーの商品はできるだけ買わないようにしようと思う。個人でできる抵抗はこれぐらいしかない。広い意味で落語も「お笑い・演芸」という範疇に入るわけだが、テレビという「お笑い・演芸」の舞台での余りにも寒いプログラム構成が、特に年末・年始に凝縮されるのが憂鬱のタネである。
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by kogotokoubei | 2008-12-29 11:14 | お笑い・演芸 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛