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八代目 春風亭柳枝


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 八代目春風亭柳枝の音源が、大好きだ。

 柳枝のことをより深く好きになったのは、立川談志の著作からだった。

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立川談志_談志絶倒昭和落語家伝

 立川談志家元は『談志絶倒昭和落語家伝』の中で、こう書いている。

 俗名を「お結構の勝っちゃん」といって、つまり相手に逆らわない。
「晴れてきたね」
「ええ、結構な晴れで」
「降ってきたね」
「ええ、降ってきました。また結構で」
何かってえと、“結構”と言う。その会話は、私も聞いている。

CDで聞くどの噺も、非常に丁寧で、その紳士としての人柄が偲ばれる。
ただし、気骨のある紳士である。上述の書から再び引用する。

 この師匠、何処へ出しても受けた。爆笑させた。といっても大してオーバーに演るわけではない。天下一品の柳好の『野ざらし』に対して、同じ噺を演ったのは柳枝師匠しか知らない。
 その柳好師匠の『野ざらし』は緻密なものであり、柳好を“陽”とすると、“陰”とまではいかないまでも柳枝独特で、『野ざらし』は“柳好とは比べものにならない”と言い切れないものがあるのだ。

 家元は同書の三代目春風亭柳好の章で、「“誰のどの噺が一番か”と絞っていったら、文句なく、春風亭柳好『野ざらし』となる。」と語っているのだから、なおさら、柳枝のすごさが分かろうというものだ。


 上の画像はポニー・キャニオンの第一集で『元犬』『山号寺号』『たらちね』が収録されている。
 
 同シリーズ第二集の『節分』『ずっこけ』『堪忍袋』『高砂や』も素晴らしい出来だ。
また、コロンビアミュージックからは、柳好『野ざらし』『がまの油』と柳枝の『花色木綿』のカップリングという贅沢なCDも発売されている。ユニバーサルミュージックからは『甲府い』『搗屋無間』がCD化されており、これも佳作である。
 滑稽噺、お店噺、芝居噺、どれをとっても丁寧でツボを押さえた名人上手。聞き終わった後の爽やか感は、現在の落語家にはまず見当たらない。

 昭和34(1959)年 9月23日、ラジオ公開録音で『お血脈』を口演中に脳出血で倒れ、10月8日日比谷病院にて死去、享年54歳。

 「月並みな文句だが、その早世は惜しみて余りある。」という談志家元の言葉の通りである。

春風亭柳枝_名演集三
落語蔵出しシリーズ_野ざらし/ガマの油/花色木綿
春風亭柳枝_甲府い・搗屋無間
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by kogotokoubei | 2008-06-27 15:22 | 落語家 | Trackback | Comments(0)

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