『よってたかって古今亭志ん朝』志ん朝一門(文春文庫)
2008年 06月 22日
志ん朝一門_よってたかって古今亭志ん朝
今月文庫になったのを機に初めて読んだ。志ん朝ファンなので、どんな些細なことでも新たな発見があればうれしい。まず、昭和39年に役者志ん朝に弟子として入門し長らく運転手を勤めた郡正明さんから、平成10年入門の最後の弟子朝太まで、綴れ織りのような歴史の流れを背景にしてそれぞれの弟子たちに語られる師匠志ん朝の姿を知ることがうれしい。もう一つの大きな収穫は、末尾に記載された「古今亭志ん朝 主要演目一覧」である。
・東横落語会 72回
・紀伊国屋寄席 68回
・東京落語会 71回
・落語研究会 101回
・二朝会 28回
・志ん朝の会 19回
・志ん朝七夜
・大須独演会 30回
上記の開催日ごとのすべての演目が記載されている。この記録だけでも価値がある。この膨大な演目のことについては別の機会に記したいと思う。
本書は志ん朝のことを多くの弟子の視点から描いた好著には違いないが、もっと美濃部強次という一人の男の恋や青春のこと、昭和53年の騒動での苦悩などを知るためには、本書でも触れられているが兄馬生の弟子で同時代に身近にいて海外での落語会にもよく同行した金原亭伯楽著『小説・古今亭志ん朝』がお薦めである。また、生い立ちから亡くなるまでを地道な取材で綴った評伝として大友浩著『花は志ん朝』がある。
金原亭伯楽_小説・古今亭志ん朝
大友浩_花は志ん朝