噺の話

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TBS-落語研究会- 古今亭志ん朝『火焔太鼓』

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昨日の深夜、正確には本日の早朝、古今亭志ん朝のDVD発売記念、ということでTBS「落語研究会」で放送された。解説の京須さんによれば、昭和48(1973)年、志ん朝が35歳のとき、父親志ん生が亡くなった年の収録とのこと。調べてみると10月31日の公演であり、志ん生の命日が9月21日だから、亡くなってから約1カ月後、ということになる。すでに発売されたDVD(上)に収録したものは平成10(1998)年、60歳のときの収録だから、見比べるのには適した選択といえる。
志ん朝の落語に関するテレビ放送の記録は、NHKも数多く所有しているのだろうが、残念ながらDVD化はされていない。「落語研究会」のDVDは、解説で登場した京須偕充さんが監修だが、発売にあたってこの人の存在が大きいだろう。志ん朝が唯一人CDのプロデュースを許した人であり、榎本滋民さんを継いだ「落語研究会」の解説者でもある。音だけでも記録に残すことを渋っていた志ん朝、映像の発売には遺族も慎重であったろうし、京須さん自身も複雑な思いがあったに違いない。いきさつはもちろん私などに知るすべはないが、昨年七回忌、今年3月が生誕70年ということで、何らかの縛りがほどけ、あるいはふんぎりがついてのDVDの発売、そして昨夜の放送ということなのだろう。

とにかく若い。35歳の志ん朝の芸は、その20数年後の円熟した味わいがないかわりに、溢れんばかりのパワーとスピード感がたまらない魅力となっている。前年昭和47年に文部省芸術選奨を受賞し、長男も誕生している。3年前からテレビ時代劇「鬼平犯科帳」に木村忠吾役で出演、のり平劇団でも看板俳優として活躍していた時期で、文字通り“油が乗っている”時期だ。父志ん生が磨いた噺に自らの工夫も加え、観客を笑わせながらも登場人物を見事に演じ分け、おもわず「うまい」と声をかけたくなる場面の多い名演である。

志ん朝の芸の記録は、落語ファンと落語界で広く共有すべき財産ではなかろうか。これを機に、NHKが所有する「東京落語会」などの財産が、時おり思い出したようにBSで放送されるだけではなく、DVD化してリリースされることを期待したい。『愛宕山』『大工調べ』『酢豆腐』など「落語研究会」の内容とは時期、場所の違う内容を見比べることもできるし、NHKにしか残っていない貴重な記録も多いはず。

DVD発売のキーマンである京須さんには、ちくま文庫『志ん朝の落語』全6巻をはじめ数多くの落語関係の著作があるが、もっとも意欲的かつ革新的な作品は『らくごコスモス』(弘文出版、1996年)だと思う。落語関係本の復刊で奮闘している某出版社などでぜひ再刊されることを祈る次第である。
らくごコスモス
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by kogotokoubei | 2008-06-15 12:07 | テレビの落語 | Comments(0)

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by 小言幸兵衛